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Omotenacism for women女性のためのオモテナシズム

自分に反論しよう!

2018年8月3日

圭子ちゃんセミナー日、長年の友人であるサイコセラピスト(臨床心理士)の友人をゲスト講師に招き「女性のための思考のほぐし方」というワークショップを行いました。

事前に参加者には彼女の開発した心理検査を受けてもらいました。

私の結果は「良いことをなかったことにしてしまう」「全部私が悪い」と考える傾向があると出ました。

あー確かに。

反省をしすぎて、振り返りをしすぎて、「あれもダメだった、これもダメだった」その結果「私の準備不足だった」「私があんなこと言ったから」と自分を責め立ててしまう傾向があるそうなのです。おおいに思いあたる節があります。

女性が頭のなかで、ぐるぐると物事を考えては後悔する傾向があることはこのコラムで何度か書いて来ました。

過ぎてしまったことなのに、考えてしまう。そして原因は全て私にある。だからもっともっと努力しなくては・・・この繰り返しです。

 

会社員だった頃の私は、職場において、その傾向は日々発揮され、責任感が強いというようにポジティブな言葉で自分自身を肯定していました。だから反省していない他人を見ると「まったく、もっと反省すればいいのに」「そもそもあの人のせいで上手くいかなかったのに本人は気にもせずおめでたい」というように思っていました。特に男性は過ぎたことは忘れて、あっけらかんと次の事を考えていたりするので、苛立たしい想いをしたものでした。

 

それに拍車をかけるのが、私の場合「自分は論理的ではないかも」という不安です。

ビジネスの世界では、とかく背景や理由を明確にすることが問われます。「なんとなくそう思ったから」「勘が働いたから」では済まされません。自分の意見や提案を行う際には裏付けされた事実が必要です。そこで、「原因と結果」について常に私はあれこれ推理をめぐらせ、挙句の果てに、大反省となってしまう傾向がありました。

そもそも「人間は物事の因果を考える」動物だそうです。「こうなるとああなる」と思考し最良の選択をすることで発展してきたのです。*

だから、多かれ少なかれ必要な内省ではあるのでしょうが、度が過ぎると苦しくなります。

 

サイコセラピストの講師は、セミナーの中で改善のヒントをくれました。

「それは事実ですか?」

イライラ、ムカムカ、したり反省をしすぎて自分を責めているときに自分に反論しなさいと言うのです。

実は、この方法は彼女が以前に私に教えてくれたことでもあり、既に実施しているのですがかなり効果があがります。

友達の音信普通に「私があんなこと言ったから怒っているんだ」とくよくよしていても、それは私が想像しているだけ。もしかしたら彼女は忙しいだけなのかも知れません。

仕事においてもありがちです。

そもそも反省していないように見える相手に腹を立てるのだって、相手が反省していないかどうか、これも私の勝手な想像でしかありません。

 

「プロジェクトから外されたのは、この前の失敗が原因に違いない。出来ないヤツだと部長に思われたに違いない」そう考えて悩んでいても、それは冷静になれば自分の生み出した妄想でしかありません。

私も部下にそのような怒りをぶつけられたことがありました。

「そんなことありませんよ。もっとあなたの力が活きるプロジェクトに参加してもらうつもりです」と言っても「いえ、前回の私のパフォーマンスを部長がお気に召さなかったことは承知しています」と自分の思い込みに固執して聞いてくれません。この人の不幸は自分で作っている、と考えたことを思い出します。

 

そういえば、20代の頃、このセラピストの友人とヨーロッパに旅行をしたときのこと。ヒースロー空港が霧で着陸できず、ロンドンへ着くはずの飛行機がマンチェスターに着いてしまったことがありました。マンチェスターからロンドンまでバスで輸送されるとか、飛行機を乗り換えるとか、あれこれ機内で対策を説明を受けました。そのとき、怒るお客様たちを前に一人のCAが「あー、全部私が悪いんです。そうそうお天気が悪いのも飛行機が遅れるのもぜーんぶ私のせい」と叫んでいるのに苦笑したものです。

CAのせいであるわけがなく、しかし、人は何か起こると原因を追究して誰かのせいにせずにはいられなくなるのですね。

 

酷暑の夏、心はせめて清々しく過ごすために、妄想に捉われない問いかけを行いましょう。

暑いのは誰のせいでもなく、暑くていらいらするのは自分の心の持ち方のせい・・・・・あ、また自分のせいにしてしまった(笑)

(YK)

*参考

「知っているつもり 無知の科学」 スティーブン・スローマン&フィリップファーンバック著 早川書房

「心の調整セラピストKEIKOが教える【運命を変える5秒ルール】 https://ameblo.jp/therapistk/entrylist.html

 

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起業家女性に見る本物の女子力

2018年7月6日

women_imgいつも主に企業で働く女性を念頭においてこのコラムは書いていますが、実際には私の周囲には自分一人でビジネスをしている女性が多くいます。

自分で事業を立ち上げている人もいれば、資格を保有して独立している人や個人事業主の形で何かを教えたりという人もいます。

私もその一人ですが、時折、周囲のそうした女性のことを考えていると、とても愛しく心強く感じます。

 

幸いなことに私の周囲には、業種は異なっていても、課題を共有したり知恵を求めたり、励ましあったり、積極的に自分の課題を開示したりする女性起業家たちが多くいてくれます。

新しく商品を開発した、顧客開拓をしたい、広告媒体に悩んでいる、などなど課題はことなりますが、共通するのは自分のビジネスに熱い想いを持っているということです。

そして、これが大切なことなのですが、会社員と異なり、頑張らなくてはお給料が自然には入ってこないという強い危機感です。

自分のお給料だけではありません。スタッフや協力業者、税金はもちろん家賃やPCのメンテナンスまで毎月、必ず生じる支払をどう払っていくのか、日々、動き続けなければ心配が絶えないということです。

 

これは女性だけの問題ではなく、起業する人であれば共通することです。

しかし、起業した男性の多くは実際の苦労は分かりませんが、「ビジネスがうまく行っている」ように見せるプラスの表現をします。

それは「自信がない人のところにビジネスは来ない」という刷り込みがされているからだと思うのですが、女性ははったりは苦手です。

かくいう私自身がいい例で、上手くいっていないことを上手くいっているかのように見せることは苦手です。そのうえ、女性は謙虚ですから上手くい言っていてもついつい謙遜してしまいます。それではいけないと分かっていても、なかなか虚勢は張れません。

しかし、一方、虚勢は張れないけれど悩みを開示することは得意なので、他人から良いアドバイスやご縁を頂くことは多くあります。

そしてまた「好奇心旺盛におせっかい」をやいてくれる女友達が周囲に多くいることは、幸運だと思っています。

 

知人女性の一人に、他人の必要としていることを聞き取ると、自分とは関係ないことなのにその課題解決に役立つ人やことを紹介しようと懸命に考え動く、経営者女性がいます。

また、ある女友達は私について問い合わせをされたときに「もう最上級に褒めておいたから」と応援してくれます。

またある知人女性は、他の人が何かを必要としていると察知すると頼まれてもいないのに、極力自分のネットワークの女性を紹介しています。

こうした女性たちは、自分が起業をして苦労をしているからこそ、友人知人の苦労が分かりそれに役立ちたいと「利他」の思いで動く女性です。

自分でビジネスをしていれば誰でも24時間忙しいけれど、その中で、何か他人にも回せることがないか、考える余裕のある人は成功する人ではないでしょうか。

自分ひとりが抜き出て成功すればよい、という競争の原理ではなく、皆で成功したい、この思いが女性の強みだと思います。

目の前の自分のことだけに没頭する、ことは大切です。自分の頭のハエも負えないのに、、と言われるかも知れません。

しかし、女性の特性は周囲に対して配慮出来る脳の働きにあります。だとすれば、女性同士が互いのビジネスを助け合えば、さらに豊かな社会になりそうです。

 

よく会社員の女性に「独立をしたと思っている」と相談を受けることがありますがたいていの場合、私は勧めません。

「本当に大変だから。会社員の比ではないから」というと、「優雅にやっているように見えますが」と言われるのですがとんでもない、24時間不安が絶えません。

しかし、同時に夢やアイデアも実現できる可能性も持っていて、それは楽しんでもいます。

実際、会社員をやめて頭痛と肩こりがなくなったことも事実です。

それは「誰かのために」「誰かに言われて」やることがなくなったからかも知れません。

自分のためにはもちろんですが、自分ひとりだけではなく、周囲のために、共に幸せになるために働くことこそ、本物の「女子力」だと思いませんか。

(YK)

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出来る女性のファッションは清・楽・艶

2018年5月31日

皆さん、日々、仕事へ来ていく服はどのように選んでいますか。悩みませんか。服選びを戦略的に考えていますか。西さんスタイリング

先日、スタイリストの先駆者であり現在もご活躍の西ゆり子さんをゲストにビジネスウーマンのための「イメージアップの技術」を開催しました。

西さんは、数々のドラマや映画のスタイリングで有名な方ですが(それ以外にもたくさんご活躍ですが)少し前に女性の間でヒットしたNHKドラマの「セカンドバージン」の鈴木京香演じるキャリアウーマンのスタイリングをなさっています。

今回は、そのドラマの鈴木京香さんの衣装選びを例に、ビジネスのシーンでの着こなしのポイントを伺い、その後、具体的にビジネスシーンで何を着たら良いかご指導いただきました。

 

西さんが強調されたポイントは3つ。

「清」まず洋服はきちんと着る。清潔であること。ボタンが取れたままにしない、服にはアイロンをかける、連日同じ服を着ない。

「楽」仕事をしているからと言って楽しくないのはダメ。一日何時間も過ごす時間なのだから、自分が楽しい服を着る。とはいえ、色々とビジネスでは制約もある場合には、ひとつだけ自分が気分が上がるようなものを身に付ける。お気に入りのアクセサリーをつけたり、好きな色を選んだりして気持ちを上げる工夫をする。

「艶」女性であるということを忘れない。コンサバが基本でありながら、女性らしさをどこかに出す。そして、自分のきれいなところ(自信のあるところ)は見せ、きれいでないところは隠す!(笑)

もう恋愛はしません、というような宣言をした服装はダメという言葉には笑いました。

 

以上を踏まえて、自分のポリシーを決めるとその人らしさが出るそうです。

私はいつもスカートしか履かない、とか常にノースリーブにジャケット、とかいうような方針を持つとその人らしさが見えてくるそうです。

服が毎回、違うイメージだと、その人の個性や生き方が伝わらないのでしょうね。

前述のドラマの中で、いつもスカートの主人公が一度だけパンツスーツのシーンがありました。それは主人公が女性の上司を怒らせお詫びに行くシーンでした。

相手が女性の場合、「艶」は消す、という法則で選ばれたスタイルだそうです。TPOだけではなく、さらに相手がどのように自分を受け取るのか心理戦でもあるわけですね。

「相手を考えて戦略的に洋服を選ばなきゃだめなのよ」との言葉に納得でした。

 

もうひとつ頂いたアドバイスは「服は名刺。ワンランク上の服を思い切って着ること」

ユニクロならザラ、ザラならその上、というように一つ今より上の服を着ることで、上昇志向を演出する。

それは相手へのアピールのみならず、自分自身の覚悟を示すことだそうです。確かに良い物を着ていると思うと、自分の中に自信も沸いてきます。

どこへ行っても大丈夫という自信は、仕草や態度にも表れます。

そして、それを着こなす。

腕まくりをしたり、ボタンを開けたり、仕事をしますよ!と分かるスタイリングをする。西さん打ち合わせ

 

ファッションより大切なことはたくさんある、と考えるビジネスウーマンは多いでしょう。

ファッションよりお金をかけたいことは他にある、という方もいるでしょう。

でもね、人は見た目で判断されるのです。

第一印象は見た目が55%というメラビアンの法則はビジネスマナーで習った方は多いでしょう。

そして、「ほとんど瞬時に決まる第一印象はその後の中長期的な評価の正確な指標となる」*という調査結果もあるそうです。

だとすると、本気で仕事をしているなら、ビジネスで成功したいと考えるのであれば、おろそかには出来ません。

ワードローブ見直してみてはいかがでしょう。

(YK)

*参考図書: 「権力」を握る人の法則 ジェフリー・フェファー著 日本経済出版社

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あなたが謙虚すぎるなら

2018年5月7日

優先席例えばGWや週末に家族やパートナー、友達と食事へ出掛けたり、旅行をするという話になった場合、あなたはどこまで自分の希望を主張できますか。

 

私は交渉が苦手です。特に仕事においては苦労します。一応社長の身としては致命的だと思っています。

しかし、男性が中間に入ってくれるときはさほど問題はありません。というよりかなり自分自身で行った交渉より有利にことが運びます。私だけだとどうも下手に出てしまい、内心思っていた条件を言い出せないこともあります。これはなぜなのでしょうね。

やはり男性は説得力があるのだろう、私が交渉力が弱いのだろうと考えていました。

しかし、先日、女性から仕事の依頼を受けたとき「こんなことまでお願いしては悪いですよね、、、」とお客様なのに、こちらが対価として当然するべきことなのに、とても謙虚で遠慮がちな人に会い、あら、この人も私と同じタイプなのかしら、と苦笑いをしました。

 

ちょうど、そんなとき、カーネギーメロン大学の経済学者リンダ・パブコック氏の調査について本で読みました。

それによると、アメリカにおいてすら一般的に同レベルの学歴や能力の男女の場合、女性の給与のほうが男性と比較して低い傾向があるそうです。そしてその原因は、男性と女性にお金をもっと要求しようという意欲にかなりの違いがある、からだそうなのです。

日本においても男女の賃金格差は指摘されていて、その原因は職位や勤続年数の違いにあると言われていますから、要求の意欲だけでは語れないのかも知れません。

とはいえ、私が外資系企業に勤務していた時のことを考えると、確かに昇給交渉時、男性社員は明確な希望年収を伝えてくる人が多くいました。女性は「お任せしますが考慮してください」というようなオブラートに包んだ表現をする傾向はあったように思います。

確かに女性はお金に対する交渉は得意でないのかも知れません。

 

 

パブコック氏は、男女に同じ条件で、自分のために賃金交渉をさせる実験をしたそうです。男性被験者のほとんどが女性より良い条件を得ることが出来たそうです。

しかし、他人のための賃金交渉をさせた場合は、男性被験者も女性被験者も交渉の結果に差はなかったそうなのです。

つまり女性は自分のためのお願いごとが苦手だけれど、他人のためにはお願いごとが出来る傾向があるのです。

つまり「女性は控えめで優しいもの」という一般的な期待を裏切りたくないため、積極的な交渉が出来ない、しかし「女性は思いやりがあり他人を支援する」という期待があるので、他人のためのお願いごとには頑張る傾向がある、ということではないかとその調査結果は分析されています。

 

皆さんはいかがでしょうか。

そういえば、私のセミナーにいらっしゃる女性も「私のことは良いのだけれど、部下がかわいそうだから部下のためには主張する」というような意見をよく耳にします。

また、もうひとつ交渉がうまく行かない理由としては、「相手の立場や周囲のことを考えて自分が我慢する」ということもあげられます。会社の状況や同僚との比較をして「あの人も頑張っているのに私だけが要求しては申し訳ない」というようなケースもあるでしょう。

 

人間関係を重視する女性の特性です。

しかし、全体を考えたとき、自分(女性)の未来は次に続く人のために自分が作るのですから、自己犠牲だけではなく自分のこともきちんと主張し前例を作ることは大切です。

昨今、社会で騒がれている上司や取引先のセクハラも、年齢や経験を重ねると「まあ仕方ないか」と我慢しがちですが、それは大人の対応ではなく、後進を考えたときにはやはり言うべきことは言うことが未来への問題解決につながります。

 

何度もお伝えしていますが、男性はステップ思考。ステップ思考の人は、一つ一つ物事に対峙しその結果を自分の成果として主張出来るし、上手くいかない場合は状況が悪いと考え自分を責めることはしません。全体を網の目のように眺めて状況を察知するウェッブ思考の女性は、全体の関係性を配慮し物事を進めていきますが、少しでも気になる点をみつけると尻込みしてしまいます。

どちらも大切なことですが、あえて女性は少しだけステップ思考に傾いて、自分の成果を後ろめたくなく遠慮することなく主張してみましょう。

自分を優先することが、何より周囲の人のためになる!と思ってもいいでしょう。あなたが謙虚すぎるなら。

(YK)

 

参考図書:

GIVE&TAKE「与える人」こそ成功する時代  アダム・クラント著 三笠書房

なぜ女は男のように自信が持てないのか   キャティー・ケイ&クレア・シップマン著 CCCメディアハウス

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時間は永遠に足りない!

2018年3月19日

砂時計あなたの日々の不安・不満・不足・不便は何ですか?

ある女性リーダ―研修で事前課題として訪ねてみました。多くの参加者があげたのが「時間が足りない」ということ。一人の参加者は「睡眠時間が少なくても働ける人になりたい」とぼやいていました。

私も同感です。しかし、時間は永遠に足りないのだと最近、私は気が付きました。

 

おそらく子育て中の人はきっと、子供が成長してくれたら時間が出来るのに、「あれもやろう」「これもやりたい」と思っていることでしょう。でもそんな日はきっと来ないのです。

私は昨年まで年老いた母と暮らしていました。母の食事を三食用意し、母の病院に付き添い、ヘルパーさんへの伝言ノートを細かく記入し、もちろん仕事もし、ビジネススクールで勉強もし、人付き合いも適当にはし、それでも全然自分では満足できない日々やり残していることばかり。母の世話がなければきっと仕事に専念できるし、読みたい本ももっと読めるだろう、旅行にも行けるだろうと思っていたのです。

しかし、母が亡くなって一人の生活になり、ではサクサクと事が進むようになったかというとそうでもないのです。

 

その理由① 新たに「やるべきこと」が入り込んで来た

これまで多くのことを母を言い訳にしてやらないでいたことが、あらたに「やるべきこと」としてが私の「TO DO LIST」にすんなり入り込んでいました。これは想定外。そして、やれる時間が増えたことで私の中の「やりたい」ことも増加してしまって、結局時間は増えていません。

女性のビジョンメイキングセミナーで良くあることですが、ビジョンが明確になりでは明日か実行するとなるとほとんどの人にとって「TO DO LIST」は増えてしまいます。

ビジョンを作ると前向きになって「盛りがち」になります。実は本当にビジョンが明確になる(大切なことが明確になる)と同時にいらないことは捨てる勇気が必要なのです。女性は一度にいくつものタスクが出来る能力を持っているからこそ、やりたいことも増える一方なのですね。

 

 

その理由② 環境の変化によるモーチベーションの低下

実は忙しいと思っていたその原因こそが自分のモーチベーションの源泉であったということはありがちです。私にとっても母の介護が負担であると同時にその両立こそ自分の存在意義であったのかも知れません。そしてそれがモーチベーションの源泉であったりするのです。これは時間が解決する問題です。

しかし、後になって気が付く、実は大切なことは目の前にあったというのではもったいない。今、本当に自分にとって大切なことに向き合っていることを認識しておくことは重要です。

 

その理由③ 年齢による体力気力の低下

これは完全に想定外でした。気持ちは初めて就職した20代の頃からなんら変わらない意欲でいるつもりなのですが、なんだか動きも反応も思うようには行きません。多くの経験を経て、心は進化していきますが、頭と体は老化しています。アンバランスになっていくのです。

 

最近、日本の労働生産性が他の国と比較して低いことがよくテレビや新聞で議論になっています。平たく言えば、日本人は残業も多く仕事をしている時間が長い割には生み出している成果が少ないということです。

まさに私自身のこと!毎日、休む暇もなく忙しく動いているのは変わりないけれど、時間は加速しているのに自分は減速しているような気がします。これは誰にとっても危険なこと。なぜなら達成できなかったというリストを抱えているほどフラストレーションがたまることはないからです。

 

だからこそ「いつかやろう」「いつかやれるだろう」という思い込みは捨て、やりたいことはすぐ今始めてください。友人のサイコセラピストに毎晩、やれたことを数えるようにとアドバイスされました。やれなかったことを数えるよりやれたことを数えるのは、気分がいい。

そして、本当に大切でないことはやめましょう。

 

コーチングの神様と言われるマーシャル・ゴールドスミス博士は、毎晩、仕事と仕事以外の両方で一日の活動を振り返り二つの質問をすることを勧めています。

問1 その活動(今日時間を費やしたこと)はどのくらい将来に向けてメリットや意義があるのか?

問2 その活動(今日時間を費やしたこと)でどのくらい今日、満足したり幸せを感じたりできたか?

正解はなく、自分が何を大切に感じているかを確認していくと、いらないことが見えてくるでしょう。

 

いつやるの?今でしょ。

未来は今日の延長線上にあるということを忘れないで過ごしたいと思います。

(YK)

参考図書:コーチングの神様が教える「前向き思考」の見つけた方  マーシャル・ゴールドスミス著  日本経済新聞出版社

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愛がすべて

2018年2月17日

Love平昌オリンピックでフィギュアスケートの羽生結弦選手が2大会連続の金メダルを獲得しました。

怪我を克服しての快挙は彼の強い精神力と努力の賜物ですが、一番の源は羽生選手のフィギュアスケートへの愛ではないかと感じました。

自分が愛するフィギュアスケート、それを応援してくれる人々への愛。その愛にこたえるために絶対にあきらめない、ストイックに自分自身の技術を磨くことに専念し、試合では人並みならぬ集中力を出すことが出来るのではないでしょうか。

 

バレンタインデーの季節だからではありませんが、このところ全てのエネルギーの源は「愛」だと考えています。

一生懸命に頑張れるのも、辛いことがあっても我慢出来るのも、もっと良い仕事をしよう、結果を残そう、と思えるのは誰かへの、何かへの愛があるときに、さらに強くなるような気がします。

そう考えていると、先日参加した横浜市の女性のためのシンポジウムで林文子市長が冒頭のあいさつで「愛がすべてです」と言うではありませんか。

わー、やっぱり!と鳥肌が立ってしまいました。

 

しかし同時に林氏は「働いていてビジョンなど持ったことがなかった。いつも他人に『あなたやりなさい』と言われたことを、周囲の人に気を使いどうしたら喜んでもらえるだろうかということだけを考え、仕事は本当に辛かった」とも言います。

林氏は、高校を卒業し事務員として一般企業に入り、その後車のディーラー会社に入り営業に転じ、フォルクスワーゲン、BMW、ダイエーで社長、現在横浜市長として2期目を務めています。

その彼女が「自分の意思ではない役職を与えられて、男性ばかりの組織で他人に気を使い、ひたすら働きそれは苦しかった、楽しいことなどなかった」と言うのです。

「愛がすべて」という言葉の裏には、それをやり抜くことが出来たのは「愛」の力があったことを実感しているからなのでしょう。

誰か特別に愛する人がいたという意味ではありません。誰かの愛に支えられていたということでもないでしょう。自分の選んだ仕事への愛、一緒に働く人たちへの愛、お客様への愛、そして自分を支えてくれる家族や友人への愛。それにこたえる気持ちがあれば、くじける訳にはいかない、そういう意味だと私は受け取りました。

 

林氏は、車の営業ウーマンとして抜群の「おもてなし力」で成績をあげて、社長にまで上り詰めた人です。その彼女が「ビジョンなど持ったことがなかった」という言葉にも私は驚きました。

彼女は、最初から上を目指して積極的なリーダーシップを執る人ではなく、むしろフォロワーシップにたけた人だったのでしょう。

 

フォロワーシップとは、上位にいる人(リーダー)を支援するために何をしたらよいか自分自身で考え、組織の目標に貢献するために主体的に動くことを意味します。

「自分が、自分が」ではなくまた「上司の指示待ち」でもなく、組織の目標が何かを考えて周囲を支え行動する人です。

考えてみると、この「フォローシップ」を実践している女性は昔から組織に多いように思います。

そしてフォロワーシップを発揮するのに必要なのは、やはり「愛」だと思うのです。

 

そうは言っても上司は愛せない。という声が聞こえて来そうです。何も仕事において上司をそのまま、まるごと愛する必要はないのです。

自分が仕事を愛しているのであれば、それを共に目的へ向かって進めていく相手と捉えれば同志としての「愛」を持てるのではないでしょうか。

そして職場への愛、同僚への愛は女性には強くある人が多いでしょう。

もし、自分の仕事も愛せない、という人がいたらそれは残念です。仕事に対して失礼です。なぜなら自分の生活を支えてくれているのは「仕事」だからです。

 

林市長は、日々職務に忙殺され風邪をひいても休むことも出来ない、それでも現在は市長として「これがやりたい」と考えたことを周囲の男性職員が「話を聴いて自分の指示で動いてくれる」ことに今ようやく「ストレスのない幸福」を感じているそうです。

それを林市長は「女性活躍推進の政策に取り入れられ女性を組織が認めてくれるようになったから」(政治家的発言だとも思いましたが)と言っていました。が、私はそうではなく、政治家としてビジョンを持ち実行できる立場に立っているからだと思います。

 

今回、70代の林氏から感じたことは様々な経験を経た女性の包容力でした。まさに、自分のあとへ続く女性たちへの「愛」を感じました。

美しく年老いていくことはどの女性にとっても永遠のテーマですが、「愛」はまさにその源になるのではないでしょうか。

(YK)

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経験が未来を創る

2018年1月8日

安室

今年引退を発表した安室奈美恵のインタビュー番組を見ました。

私はこれまで彼女に全然興味を持っていませんでした。あれだけ人気があったのに何故だろうと考えてみると、私よりずっと若いし、彼女の絶頂期は私は仕事に没頭していた時期だったのだと思います。

 

何気なく見たTVでしたが、彼女の最後の言葉に驚きました。

「経験が私を成長させてくれた。経験をたくさん積むことが豊かになる」

 

最近私が実感していることを私より若い40才の彼女が実感している!ちょっと鳥肌が立ちました。

そして安室奈美恵のプロフィールを改めて検索すると、彼女には壮絶な過去があります。母親の悲惨な死に方、離婚、シングルマザー、そして自分を有名にしたプロデューサー小室哲哉を離れてからの活動。

芸能界という厳しい競争社会に15才から身を置いて、私なんかよりもっとすごい経験をしているに違いない、と感じました。

しかし、それを乗り越えたからこそ経験が成長の糧と言えるのでしょう。経験に感謝できること、その姿勢こそが彼女がずっとスーパースターの座に居続けることが出来た理由なのだと、番組を見ていて思いました。

 

過酷な経験を与えらる、それはある意味選ばれた人なのかも知れません。

では、私たちとは違う人なのかと言うと、芸能人のようなきらびやかでもなく欲がうごめく世界でもなく、ごく普通の生活を送っていても自分にとっては厳しい過酷な経験というのは誰にであります。

苦労の大きさは、他人と比較しての大きさではなく自分自身で感じるものです。辛いときに「誰にでもあることだから」というような慰めの言葉ほど無意味なものはありません。渦中にあるときは他人がどう見ようと辛いものは辛い。

しかし、どんな大きく感じる苦労でも、結果としてたいていの人が乗り越えているのだと思うのです。でなければ人間は続けていけません。

ただ違いは、乗り越えた経験をどう生かせるか、ここにつきるように思います。

 

安室奈美恵は引退してからの自分に自信を持っています。

「これまでも一生懸命何かに取り組んで楽しかったから、引退して他のことでも一生懸命やってみて楽しいことがあると思う」

なんてすごい自信でしょう。

これだけ輝かしい実績を残し、華やかな世界にいて「燃え尽きた」ではなく、これからが楽しみと言える。

自分を信じるとはこういうことだと思います。

 

一生懸命生きて来たからこそ言える言葉なのだと思います。

もうひとつ彼女は、これまで頑張れた理由を自分を必要としている存在(息子)がいたからだと言っています。

誰かに必要とされる、それが自分の存在意義につながり強い力になる。

誰にでも子供がいるわけでもなく、家族のいない人もいるでしょう。大切なのは、相手が誰であれ誰かに必要とされていると感じること。もしいないのであれば、必要とされる存在になる努力が必要なのではないでしょうか。

 

「苦労は買ってでもしろ」

誰でも知っている言葉ですが、重ねた苦労が自分を豊かにすること、若いときは気づきませんでした。

皺改善クリームが大ブームを起こしていますが、心の皺(脳みそなのかな)はさらに深く刻んで行きたいと思う2018年の始まりです。

(YK)

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歳を重ねて分かること

2017年12月27日

影今月は女子大に伺う機会がありアンケートを取ることが出来ました。

対象者は19、20才の大学2年生でまだ幼さが残ります。

【女性に生まれて得をしていると思いますか】との問いにYESが80%。どちらとも言えないが20%。

得をしているとあげた学生は「何かと女性だからとおまけをしてもらえる」「オシャレや楽しいことが多い」という理由をあげています。

【尊敬する人はいますか】という問いには90%がYESと答え、ほとんどが「母親」を上げていました。

その理由は、「シングルマザーで育ててくれているから」「仕事で頑張っているから」がほとんどで母親の努力はしっかりと観察しています。

そして【一番影響を与えている人は】これは90%が「母親」でした。

娘への母親の影響は大きいのですね!

女性が女性の未来を作っていることを、改めて感じました。

 

講義が終わってからの懇親会ではもっとざっくばらんに話を聞くと、彼女たちの一番の関心はやはり将来の仕事と結婚です。

そして私への質問の多くが「働いていて辛いことはありませんか」「いじめられませんでしたか」「〇〇をしたいけれど辛そうだから迷っています」と、踏み出すことへの不安ばかり持っているようです。将来へのネガティブな情報はどこで得ているのでしょう。

もしかすると働く母親の姿から感じていることなのでしょうか。

そして、インターンシップ先では雑用をさせられたことに「いじめられた」と思い込んで不平を募らせている学生もいました。

「いじめ」に関して過剰反応をしているのは、自分自身を「かわいい」「大切だ」と強く思っているからなのでしょうか。

 

また「私は将来、〇〇業界へ進みたいけれど、母親は金融に行けというので。。。」「親は公務員になって欲しいという」と夢を描いているのに、周囲に影響を受けて尻込みしている学生も多くいました。

いつの時代も親心。娘には安定をさせたいという思いを親たちは伝えているのかも知れません。

私自身も気づかないうちに母の影響は受けていたと感じます。しかし、そこは時代が違います。私の世代では「果たせなかった夢を娘に託す」というケースが多く、それは娘の背を押す強い力となっていました。しかし、今の時代は「失敗をさせたくない」という思いが親心なのでしょうね。

 

彼女たちは大学の授業が終わったら「お金は使いたくない」のでなるべく早く家に帰り、TVドラマを観るのが楽しみで特に「相棒」「ドクターX」が好きだそうです。

先生に聞くとそのドラマが好きな理由は、勧善懲悪で正義が勝つと安心するのではないかという話でした。

うーん、大丈夫でしょうか。

社会に自分に優しいことばかりが転がっているわけではない、正義が勝つとも限らない、そんな時に柔軟な折れない心で対処できる強さを彼女たちは持てるのでしょうか。

 

私はこのコラムやセミナーで、私自身が経験した失敗を語ります。

先日、例として私が上手くいかなかった人間関係の話をした際に「どうしてそれに耐えられたのですか」という質問を受けました。

私には考えたこともなかった問いでした。答えるとすれば「乗り越えなければ先に進めないから」でしょう。

 

辛いこともあれば、喜びもある。

そしてそれは年齢を重ねたから分かること。歳をとるのも悪いことではありません。

(YK)

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残念な人になっていませんか?~女性の服装~

2017年11月30日

女性いまさらですか、と言われそうですが身嗜みについてこのところ強く意識するようになりました。

実は私自身は若い頃はCAとして制服を着ていたし、それ以後の会社員時代はファッションブランドに勤務していたので、実は自由に服装を選んでいたわけではありません。

CAは身嗜みにルールがあってマニキュアの色から口紅の色まで基準がありましたし、ファッションブランドであればそのブランドの服やバッグを持つことが半ば強制されていたので選ぶ余地がありませんでした。

 

CAはともかく、洋服を扱う仕事であれば外部に対してのPRとして自社製品を着ることは必要でしょうし(広告塔になるかどうかは疑問ですが)、私は人事部にいて実は同じ会社の仲間に対しても自社製品を愛していることを示すために着用する必要がありました。ある意味、服装はビジネスの戦略ですね。

現在、独立してからは誰も私の服装に文句を付ける人はいません。それでも空気を読むほうなので(笑)クライアント企業の雰囲気やまた仕事の目的によって服装を変えるようになりました。しかしこれがなかなか難しいのです。

私の個性を出すために好きな物を着ればいい、と思ったり、いやいや自分なりの制服を決めてしまおう、と思ったり思考錯誤の日々です。

この年齢になってまだ悩ましい。というのも何を着ているかで、やはり私のイメージが決まるわけですし、コーチや講師として期待にあったイメージでないとお仕事が得られない場合だってあるかも知れないのですから死活問題です。

 

一方、企業に伺って研修を行う際には、身嗜みを指導することもあります。新入社員であれば、黒白はっきりつけたチェックリストで厳しい指導は出来ますが、時折、もうキャリアを積んでいる女性社員に対して「はっきり言って欲しい」というリクエストを幹部の方からお願いされることもあります。

自分の服装ですら悩んでいるのですから、これはさらに難しい。

しかし意を決してクライアント企業のリクエストに立ち、顧客目線もしくは同僚目線に立って見れば、はっきり言ってかなり「残念な」女性が多いと感じています。(ごめんなさい)男性はスーツやクールビズでもある程度のパターンがあるのですが女性はそれぞれだからです。

セクハラ、パワハラという言葉が頻繁に使われるようになってから、さらに他人の服装に突っ込むことは出来にくいのかも知れませんが、「お客様に聞いてみたことありますか?」「上司に何か言われませんか?」と尋ねたくなる女性もいます。

 

どのように「残念な」のかというと、オフィスなのにミュールを履いていたり昼間から胸や腕を出していたり(オフィスでは露出はしない)、男性社員がスーツなのにジャケットも着ていないフリルのついたワンピースであったり、髪の毛は無造作に束ねただけだったりなど、会社に行くのもスーパーに買い物に行くのも同じ服装ですか、今夜のデート用の服装ですか、と聞きたくなるようなケースです。女性は男性とは違って、不潔であることは少ないのですが、ルール違反は多く見掛けます。

 

洋服には世界共通のTPOがありルールがあるのですが、日本では注意をされることはあまりないので気付かないこともあるでしょう。

TVのニュース番組に登場する女性キャスターたちもかなり好き勝手な服装になっているのでお手本も少ないのが事実です。

さらに指摘が難しいのは、本人がオシャレと思っているのか、持って生まれたセンスがないのか、お金をかけたくないのか、知らないのか、区別がつかない点です。

 

ただ、いずれにしても言えることは、洋服のルールを無視している、そしてプロフェッショナルなビジネスウーマンとして見られたいという意識が欠如しているということでしょう。

ここが残念なのです。

せっかくプロフェショナルな意識と知識やスキルを持ちながら、そう見えていないことに本人が気付いていない。

もったいないと感じます。

前駐日大使のキャロライン・ケネディ氏が、信任状捧呈式で通常丈のワンピ―スを着用していたり、セーター姿で公式の場に現れたりしたことを、キャリア女ウーマンの服装が自由であることが公認されたと評している雑誌がありました。

しかし、実は欧米では洋服のマナー違反は、「あの人なら仕方ない。常識を知っていてわざと破るんだなあ」と納得される人物でないと出来ないそうです。つまり一般の人がやっても常識がないと笑われるだけだそうです。

 

何を着るにしても「この人なら仕事が出来そうだ」という印象を人に持ってもらえれば得です。

高価な服装やブランド品を身に付ける必要はありません。

しかし、仕事をしに会社に来ているのか、ついでに仕事に来ているのか、わからないような服装ではお客様の信頼を得ることも、周囲の尊敬を買うことは出来ないでしょう。

おしゃれは相手に自分を認めてもらうため。

プロフェッショナルなビジネスウーマンとして認められるために新年に備えクロゼットを見直してはいかがでしょうか。

 

参考図書;

世界に通用する公式マナー プロトコールとは何か 寺西千代子著 文春新書刊

(YK)

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オプションBを想定して

2017年10月22日

白い花束企業に勤めていれば、また企業に勤めていなくても仕事を持っていれば、個人的なことと仕事が両立しないことは多々あります。

それを両立させようとしているのが「働き方改革」で、「ワークライフバランス」は自分で工夫して得るのではなく、企業が様々な選択肢を用意して様々な考え方やライフスタイルの人が自分で選ん無理なくは働ける制度や仕組みが提案され、また実行されつつあるようです。嬉しい動きです。

しかし、制度や仕組だけでは、救われない個人的なことがあることに気が付きました。それは人間の感情です。そして想定外のライフスタイルの変化。

 

大変個人的な話題になりますが、私は先月母を亡くしました。高齢であったので覚悟もしていたし、本人も私も悔いない別れのはずでした。私は父を5年前に亡くしているので母の死についても心の準備は出来ているつもりでした。

しかし、今回、想定していなかった深い悲しみと寂しさに襲われて、今、戸惑っています。こんなに喪失感に襲われるとは・・・

 

他人は慰めるつもりで声をかけてくれます。「ご長寿ですからね」「そろそろ落ち着かれましたか」「もう一月ですか」。そう言われてその度に傷つく自分がいます。「長寿だってもっと生きていて欲しかったのに」「落ち着くわけがないでしょ」「もう一月、って毎日が私は悲しくて長いのに・・」

とはいえ声をかけてくれる人を責められません。私もこれまで、誰かを失くしたり、またペットを失った人に対しても無神経に傷つくことを言っていたのだと思うからです。

高齢の母の死をいつまでも嘆くなんて、自分でも情けないと思いながら気付いたこと。それは、やっぱり人は誰かのために生きているのではないかということです。皆さんは、誰のために働いていますか。私はそんなこと考えたことありませんでした。しかし、独身の私は、母を面倒みていたつもりが、実は母がいるから頑張ることが出来ていたのかも知れない。「お帰りなさい」と迎えてくれる人と場所がある、自分が元気でいることを喜んでくれている人がいる、それが実は支えであったことに気が付きました。

 

そんなときに書店で2冊の本が目に留まりました。一冊は、フェイスブックのC.O.Oのシェリル・サンドバーグの「OPTION B」です。「リーン・イン」で女性リーダーの姿勢を示した彼女ですが、2年前に夫を亡くし深い絶望の中から立ち直り書き上げた新たな女性へのメッセージです。

2冊目は日経新聞の文芸欄で取り上げられていた「遺族外来」という精神科医の書いた本でした。

 

この2冊を読んで、私の現在の状態は決して異常ではないと分かりました。お悔やみの声をかけられて、返ってむなしくなってしまったり傷ついて人が怖くなってしまう。それは、誰にでも起こり得ることで、しかし残念ながら経験してみないと分からない精神状態であり、そしてもちろん、個人差があるということでした。うつ病になってしまう人も多いとか。

私は幸いにも比較的、仕事の調整が可能な状態にあります。それでも、母の亡くなった翌日も葬儀の前日も仕事は予定どおり行っていました。看取ることができたことは幸せでしたが、そのために変更をお願いした仕事もあり、心のなかでは、「歌舞伎役者や舞台役者なら親の死に目もあわないでお客様のために演じるのに」と自分が甘いのではないかという気持ちに囚われています。

一方、悲しみの中で、仕事が忙しいことで否が応でも気持ちを切り替え、他のことに集中しなくてはならずに救われている部分もあります。

 

「OPTION B」のなかで、人は人生のネガティブなことに出会うと3つのPに囚われることが書いてあります。

Personalization自責化(自分が悪いのだと思うこと)Pervasiveness普遍化(その出来事が人生のすべてに影響すると思うこと)そしてPermanence永続化(その出来事の余波がいつまでも続くと思うこと)だそうです。

そんな状態では仕事は自信をもって望めません。シェリル・サンドバーグは、周囲の人の声の掛け方ひとつで、事態は改善すると言っています。「どうですか?」と聞くのではなく「今日はどうですか?」と聞いてあげる、そんな表現への気遣いだけでも人は救われるのです。

そして、もうひとつ、私の場合は母でしたが、夫や経済的なサポートをしてくれていた人を亡くした場合、人生への不安はさらに大きなものになるのです。精神的不安に加えて経済的な不安、そして子供がいれば子供を一人で育てる将来への不安が大きくのしかかります。それに対しての解決の道を示してあげること。また、同じ境遇であっても無事乗り越えた人との対話など。

フェイスブックのC.O.Oで社会的に成功していた人であっても、肉親の死を乗り越えるのは簡単ではないのです。誰にでも起こることで、そしてそうなったときの精神状態は自分でも予則不可能。

彼女は「LEAN IN」で家族がいて仕事を両立することを前提で女性の働き方を唱えていたことを反省し、そうでない人達のための働き方を考え始めているようです。

さすが、悲しみだけで終わらせない、それがリーダーですね。

 

さて、私自身は何ができるのか、まだ漠然としか考えられない状況です。

が、「働き方改革」と世間が盛り上がっているのであれば、時間や制度だけではなく、感情に優しい社会を目指すお手伝いをしたいと思います。寄り添ってくれる話を聞く人がもっと必要だと思うのです。

そして、とかく悲しみや辛いことは公の場では隠すことがプロフェッショナルと自分も社会も思う傾向があります。私もあまり「悲しい」などと言っていると世間から頼りないと信用されないのではないかと、実は不安に思いながらこれを書いています。

しかし辛くても悲しくても、プロフェッショナルは仕事の質には変わらないのも事実だと思うのです。プロフェッショナルだって、泣いてもいいし心も折れる、そう思える社会や企業になったらいいなあ、それを伝えて行きたい、と考えています。

参考図書;

「OPTION B] シェリル・サンドバーグ/アダム・グランド著 日本経済新聞出版社

「遺族外来」大西秀樹著 河出書房新社

(YK)

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