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Columnコラム

丁寧な説明より傾聴したい

2023年2月17日

雪の出張

子供の頃、校長先生やおじいちゃんおばあちゃんの話が長くてうんざりした経験はありませんか。大人になったら「ああはなりたくない」と思ったものです。

しかし最近、気が付くと年下の人に対して、長々蘊蓄を垂れていたり、自分の経験を得意そうに語っていたりすることに気づいて、はっとします。危険な予兆です。

特に私はコーチングや研修で他人の話を引き出すことを仕事としていますから、その私が話してばかりでは、まさにお話になりません。

 

さて、皆さんは1対1で誰かと話すとき、あなたは会話の何パーセントくらいを話し手に回っていますか。あなたの方が長く話していますか。それとも聴き手に回る時間のほうが長いでしょうか。

そもそも人は自分の話をするのが好きです。多くの人間は、他人の話を聴くよりも自分が話すことに興味があるそうです。

 

実際、今年は年頭から全く異なる業界での仕事が続いているのですが、どの業界や仕事にあっても根本的な課題は「傾聴」にあると感じています。

例えば、いわゆる知識人やスペシャリストと言われる何かの権威とみなされている人は、正当な答えや相手を納得させる回答を期待されていると思いこんでいるのか、一方的に延々と自説を説いてしまいがちです。

量販店の販売員は、商品のスペックや特徴を伝える商品説明に夢中になり、肝心のお客様のニーズを聞き出せず、お客様を逃していることに気づいていません。

ラグジュアリーカーの販売員となると、商品の素晴らしさの説明に時間がかかりすぎて、お客様を主役にする会話が二の次になります。

誰もが悪気ではなく、相手への関心より伝えたい一心で、対話ではなく一方的な「説明」をしている人が多いことに気づきました。

 

昨年の流行語大賞にもノミネートされていた「丁寧な説明」。毎日のように耳にします。

「丁寧な説明」は決まっている指示や事項を分かりやすく教えてくれるという意味では適切ですが、人を納得させるためには説明では不十分なのではないでしょうか。

 

忙しい時代、コミュニケーションの時間もエンドレスではありません。

自分が話す時間が長くなればなるほど、相手の話す時間は短くなります。相手の時間を自分が長く話すことで盗んでいることになります。また、自分のほうが長く話すと、相手から得る情報は少なくなります。

同じ時間の対話であれば、自分の話をして自己満足で終わるよりは、相手から何かを得たほうが有意義な対話になるのではないでしょうか。

それがビジネスの取引相手の場合、相手から情報を多く得れば得るほど、長々と説明しなくても相手の気持ちに沿った提案ができるでしょう。

そして何より、自分の話を聴いてくれる人を人は好ましく感じます。好きになってくれるようです。

 

「答えは相手が持っている」

この考え方はコーチングの基本です。

どのような職業でも立場でも成功している人は、相手の話に耳を傾け相手から情報を引き出すスキルを持つ聴き上手です。

自分の情報を出すことをぐっとこらえて、まずは相手の話を聴いてみる。

「今日は聴くぞ!」と気合を入れて相手に集中すると、結構聴けるものです。

是非、説明より傾聴、試してみてください。(YK)

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