過剰個人情報?の影響
2018年10月14日
私の周囲にはサービス業や営業の仕事をしている人が多いので、概して皆、愛想がよくおしゃべりです。
ほとんどが沈黙に耐えられないタイプで、私もその一人です。
そこに加えて、年齢があがるとさらに図々しくなってきて、何かと他人に声をかけたくなるのを抑えています(笑)
マンションのエレベーターに子供が乗り合わせると「塾の帰り?遅いね~」だとか高齢者がいると「寒くなりましたね」だとか声をかけずにはいられません。
なぜかというと、その方が場が和むし楽しいと思うからです。
が、そう思わない人のほうが最近は多いようです。
企業に伺うと、接客販売を仕事としているにもかかわらずお客様との会話が弾まないという相談をよく受けます。そして、実際に私自身もショッピングやサービスを受ける立場になると、雑談が皆さん上手ではないなあ、と感じます。
訊いてみると、お客様に商品を販売するのに、今使用しているも商品について、根掘り葉掘り尋ねるのは失礼であるとか、「肌の色にお似合いです」と言う誉め言葉が肌の色を指摘し過ぎて嫌がられるのではないだろうか、などという心配が先だって、お話が出来ないようなのです。
最近、過剰コンプラ(コンプライアンスに過剰に反応しすぎていること)という言葉があるようですが、もしかしたらこれは「過剰個人情報」が原因にあるのかも知れません。
びっくり!です。
そんなことを考えていたら、初対面の人との会話などできないし、販売員が目の前に人がいるのに商品のことしか話せないのであれば、ネットで購入するのとなんら変わりはありません。
もちろん、話好きな私も美容室や整体で、うっとりリラックスしているときにあれこれ話しかけられて「うるさいなあ、面倒だなあ」と思うことはたまにあります。しかし、それは、相手がこちらの空気を読んでいなかったり、話題が適切でないときであって、話しかけられること自体を拒否しているわけではありません。
あ、それですね、もう一つの原因は。「空気を読む」とか「話題が適切かどうか」が分からないから、話かけられないという人もいるでしょう。
では、そこはどうしたら良いのでしょう。
残念ながらセンスの問題です。ファッションと同じ。場数を踏んで、他人から怒られたり褒められたりしながら、センスは磨いていって欲しいものです。
人と人とのコミュニケーションは、一生付きまとうものですから、逃げないで鍛えて行きましょう。
(YK)
会議中に飴なめてもいいですか?
2018年10月4日
昨夜、ニュースである地方市議会で風邪をひいている女性市議が喉飴を舐めながら答弁したことを注意されて、謝罪しなかったので退室を命ぜられたことが報じられました。
そしてこの出来事はイギリスの新聞が取り上げて、イギリスで「日本は融通が利かない古い縦社会だ」「日本人は丁寧で親切だけど、他人に気を使って抑圧されている」と話題になっているということでした。
イギリス議会でメイ首相が咳き込んだ時に外相がすかさず喉飴を差し出すシーンまで映し出していてお国柄を比較していました。
さて、私は仕事柄色々な企業にお邪魔します。そしてその風土は様々です。
議会でも会議でもない研修の場ですから、少し状況は異なるかも知れませんが根底の考え方には共通するものはあります。
先月伺った企業は好対照でした。外資系の企業は、お茶とスイーツが用意されていて、自由に飲んだり食べたりしながら頭を柔らかくして受講しましょう、という人事部長の考え方でした。お昼にはかわいいランチボックスが用意されていました。
一方、もう一社は、休憩が終わるたびに「起立・礼」の号令がかかかり、水分補給は許されているものの飲食は禁止です。非常に礼儀正しい研修態度でした。
講師の私は、常に顧客先の方針に従います。
キャンディやスイーツを用意しているところでは、「食べながらリラックスしてディスカッションしましょう」と指示します。
禁止のところでは、若い社員であれば注意すら促しますし、けじめはちゃんとしましょうね、と開始のたびごとお辞儀は促します。
何故なら、研修の場でそのようなルールであるということは、会議や他のケースでも同じ態度を社員に求めていると想像されるからです
そして、注意を促すのは(よほど目につく場合ですが)、講師としての立場から顧客にそうすることを期待されていることを承知しているからです。
では、私自身はどちらが適切であると考えているかというと、前者の自由な雰囲気です。
研修は訓練ではないと考えているので、物事を考えたり日常とは違う空間では、口を動かして自由なほうがアイデアは浮かぶし知識の吸収も高まるからです。
私自身はずっと外資系の企業に勤務していたので、研修と言えば朝からコーヒーとクッキーが用意されている、というような設定がふつうでした。
キャンディとお水は必需品です。
おもてなしで重要な「しつらえ」。どのような環境でどのように行うか。研修の成功もかかっています。
そういえばもうひとつ「よそおい」もそうです。研修のときは、「ビジネスカジュアルで良い」というのが私のかつていた会社では通例でした。またファッションを扱う会社では思い切りファッショナブルに装って参加する、という習慣もありました。
いずれもモーチベーションを高める工夫です。
私自身が主催する研修であれば、思い切り私の思う「おもてなし」を研修の場にも持ち込みます。
いや、考えてみれば、これは私のダブルスタンダードですね。
相手先によって自分の考えを曲げているのですから。
しかし、残念ながら企業の研修を担当させていただいても、そこまでアドバイスをさせていただけることはめったにありません。
聞かれない限り、顧客企業には予算もありますから、いつもの狭い会議室でやりたい、と言われれば「そこでやりましょう」と言いますし、準備が完璧でなくても何も言えません。
しかし、本当に研修に投資をし社員に100%吸収をしてもらいたいなら、環境や雰囲気の設定へのこだわりは重要です。
それこそが社員に向けてのメッセージだからです。
さて、冒頭の会議の喉飴の話。私は女性市議を擁護したい。
女性市議に寄ってたかって年配の男性議員が謝罪を迫る、美しいシーンではありません。
しかし、ここは保守的な組織。どんな状況であったのかは分かりませんが、やっぱり許可を取ることは必要であったのではないかと推測しています。
「喉が痛いので飴をなめてもよろしいでしょうか」くらいは先に尋ねるくらいはあっても良かったのでは。
いずれにせよ、どんな組織でありたいのか、「しつらえ」「ふるまい」「よそおい」はメッセージです。
風土改革はそこからですが、長い時間がかかりそうな組織が日本には多そうです。
(YK)