元CAだとかCA出身だとか、、、
2018年2月28日
元CAに人材育成の業界ではよくお会いします。
かくいう私自身もそうなのですが、実はそれをあまり強調はしたくありません。
というのは、CAだったというとすなわちマナー講師と受け止められるからです。全てのCAが優れたマナーを日常において身に付けているわけでもなく、全てのCAだった人がインストラクターの技術を身に付けているわけでもないのに、日本では「CAだったから講師なんですね」というような認識があることがおかしいと感じています。
ある意味、日本の航空会社のレベルがそれだけ高いということなのでしょうが、海外ではCAは一つの仕事であり、それ以上でもそれ以下でもありません。
同業者が「元CAが教えるマナー」というような歌い文句をつけた研修をしていると、少し照れくさくなってしまいます。
しかし、知人やクライアントからはCA出身であることが強みと感じていただいて、お仕事をいただくこともあるのでそこはジレンマです。
私自身は、CAだったからトレーニングをしているのではなく、トレーニングやコーチングのスキルを身に付けてこの仕事を選び、幅広い分野の仕事をしているわけですし、また「ホスピタリティ」については自分なりに勉強を重ねてきたと多少なりとも自負しています。
もちろん、グローバルリーダーシップや、ダイバーシティ、そしてホスピタリティなどという人材育成の課題をお手伝いするにあたっては、CAとしての経験はそれは大変役に立っています。
まれにみる経験をさせてもらったのがCAの仕事であったとすれば、それは堂々とうたえば良いのかも知れませんが、世間ではどうも接客マナーばかりに注目が行くようです。
私の経歴を見て、マナー講師だと決めつけられてしまう、それは偏見だと思うのです。
一方、最近、楽しいことを発見しました。
私は外資系の航空会社出身ですが、オモテナシズムのパートナーのインストラクターは日本の航空会社の出身です。
その彼女が、同業他社ではCA仲間が起業している例は多いけれど、異なる航空会社の出身者が一緒に仕事をしていることはあまりないと言うのです。
確かにそうです。聞いたことがありません。
航空会社出身でも会社が異なるとかなり色は違います。それこそ現役時代、制服を脱いでホテルですれ違ってもよその会社のCAだとすぐわかるから面白いものでした。そして違う会社の人には近寄らない(笑)。航空会社に限らず風土の違う会社の社員は不思議と身に付けた雰囲気まで異なるから不思議です。
少し前に花柳界の方に、芸者さん同士も「神楽坂」「赤坂」「新橋」と花街によってタイプが異なって、たたずまいだけで分かると聞いたことがあります。
彼女とは、もうかなり前に仕事を通して知り合い、今は一緒に仕事をすることが多いのですが、CAだったキャリアは同じでも性格も経験も発想も異なります。
当初は互いに違和感もありましたが、それは誰が誰と働いても同じことで、最近はその違いがよい具合に私たちの仕事には機能しています。
なぜだろうと考えて思いあたったのは、アプローチは異なっても根底にあるのは「おもてなしマインド」だからです。
顧客を優先する気持ちや良心的な仕事であろうとする努力は互いに同じレベルであるし、他人の話を傾聴し、承認し、感謝を示す表現がが少し大げさであるところ(笑)
そして特に楽しく仕事をしたいと考えている彼女の姿勢には、共感が出来ます。そうそう、毎回、異なるフライトを「今日も楽しく働こう」と思っていた習慣が今も継続しているのでしょう。
そんなところが共通している限り、特に「オモテナシズム」という仕事においてはギャップはありません。
仕事だけではなく、プライベートでも今でも元CA仲間と行動を共にすることが多いのは、ある種体育会系のチームワークやお互いに不快を感じさせない「おもてなしマインド」が心地よいからであることは否めません。
『おもてなしマインド」を育んでくれたのがCAという仕事だったのか、それとも元々「おもてなしマインド」があったからその仕事を選んだのか、それはどちらが先か分かりません。
きっと元ホテルマンや元セールスパーソンも同じような傾向があるのでしょうね。
「おもてなしマインド」のおかげで、心地よく過ごせているという現状に感謝しています。
(YK)