手書きのメッセージ
2017年4月25日
先日、断捨離をしようと
古い書類を整理していたら
古い手紙やカードがたくさん出てきました。
私はたくさん転職しているので、
転職する度に、カードや色紙の寄せ書きをもらっていて、
引き出しの片隅に束になって眠っていました。
もう読んでも過去のことだし、と思いながら目を通してみると
全く忘れていたことが蘇って来ます。
もちろん、カードは特別な時にもらうものですから
良いことばかりが書かれています。
もらった時は、こそばゆいようなフレーズで、書いていくれた人達は
もしかしたら忘れているのかも知れません。
実は最近、過去の自分を振り返って見て気づくことが多く、
こと人間関係に関しては
「ああすれば良かった」「こうしてあげれば良かった」
自分はどうしてあの時こうしなかったのだろう、気づかなかったのだろうと
少し自信を無くしていました。
でも、古いカードに掛かれた同僚や友人の言葉に様々な記憶が蘇り
あら、私も少しは貢献していたかしら、
そう、そんなことをしたこともあったよね、
と安心したような、ほっとしたような嬉しい気持ちになりました。
忘れていた自分に出会った気もします。
手書きのメッセージはそんな力があるのです。
また、海外の友人からのクリスマスと誕生日に送られてくるカードの数々。
そこに書かれてある互いの近況は、歴史です。
良い時ばかりではなく、辛い時に涙を流しながら読んだものもありました。
そして、友人が選んでくれたカードには当時のマイブームが
反映されています。
今は、SNSのおかげで、昔よりずっと多くの人が
お誕生日にはお祝いの言葉を贈ってくれます。
そして毎日、誰かの誕生日を祝うことも出来ます。
でも、やっぱり手書きの文字は心にしみるし、
一言一言選んで書くような気がします。
一説には現代の私たちのメールやSNSは全て見られているとも言われています。
断捨離しようにも一度、ネットを通じて送ってしまったメッセージは
消えることがないそうです。
手書きであれば心に残り、そして全くの他人には、見せない限りは見られない。
字は書かないとどんどん下手になるしね、、、
手書きのメッセージは大切にしたい、
断捨離して気づきました。
もちろん、自分を勇気づける大切なカードたちは
断捨離しないで永久保存です。
YK
新人研修は今のままでいい?
2017年4月16日
自分は自分。隣と比べない
この季節、同じような黒いスーツを着た若者が集団で歩いているのをよく見かけます。
あの黒いスーツ、いつから皆そろって着るようになったのでしょうか。
30年以上前の話で恐縮ですが、私が日本のメーカーに入社した時は、
もっと自由であったような気がします。
私自身は、胸膨らませ青の千鳥格子のスーツを着て出席しましたが、
すぐに制服を支給されて、がっかりした記憶があります。
海外には、リクルートスーツというようなスタイルはありません。
私もビジネスマナーを企業に依頼されて行う立場にあるわけですが
企業側は、参加する新人が一律にきちんとしたマナーが出来ることを期待していて
全員が同じようにきちんと言われたとおりに行動が取れて、
身嗜みは、他人から浮かないように、誰にでも好感持たれることが重要で
明るく元気な笑顔で修了すれば、よく出来ました!ということになります。
だから皆が同じ黒いスーツでも問題はありません。
参加者も一生懸命で、清々しい新入社員研修ではあります。
しかし、なんだか、違うと疑問に感じるのは私だけでしょうか。
最近、どこの企業でも女性活躍推進や外国人雇用のダイバーシティが課題です。
研修する立場からすると、どうもこの新入社員研修から始まりダイバーシティ研修、
そしてリーダー研修に至るまで、上手くハーモニーが出来ていない気がします。
自分と異なる価値観を認め、それぞれが個性を生かして働ける職場。
イノベーションを生む風土。
とすると、その方針が今の新入社員研修のスタイルに現れているだろうかと
思うのです。
日本人の良くも悪くもユニークな点は、集団主義である点です。
外国人社員に研修を行うと、日本の組織の特徴に皆が口をそろえてあげる点です。
これはもう日本に古くから根付いた文化でもありますが、
新人研修の時にダメ押しをされているように感じるのです。
目立たないように個性が立ちすぎない服装、
他の人の脚をひっぱらないように右へ倣えで行動する、
相手の気持ちを考えて行動する(今流行の忖度ですね)
これが社会人として大切な心得であると指導して、マインドだけは革新的に、
と言っても心は行動に従います。
後からの修正は難しいのではないかと思うのです。
黒いリクルートスーツが良しとされたら、危険を冒すことのほうが怖いので
独自の常識で考えるファッションセンスは磨かれません。
他の人の気持ちを忖度していることに慣れていると、自分の主張を通せなくなります。
さらにこうして一律に教育された社員が先輩になると異質な行動を嫌う。
この繰り返しが日本の企業文化にまだあるような気がするのです。
では、新入社員研修をどう変えるのか。
ディズニーリゾートの研修「伝統セミナー」にヒントがありそうです。
この「伝統セミナー」は人々をディスニーになじませることが目的ではなく
人々にディズニーの心を植え付けさせることが目的である、そうです。*
企業のビジョン、ミッションを深く理解して、
自分の振る舞いを自分で選べるような社員を育てる。
形から入るのではなく、マインドから入るのです。
さらに高度な研修です。
たいていの経営者は皆さん、入社式で社員を財産と言います。
財産であるなら、お仕着せや通り一遍のビジネスマナー研修に送ってしまうのは
せっかくの機会がもったいない気がします。
人生に初めて受ける社会人の研修、取返しの付かない最初のステップを
慎重に熱意を持って用意する会社の未来は明るいのではないでしょうか。
(YK)
*参考;「ビジネスと人を動かす驚異のストーリープレゼン」カーマイン・ガロ