ビジョンが必要なのは今をイキイキ生きるため!
2021年6月6日
先日、もうすぐ企業勤務を卒業する外資系企業の女性部長さんにメールをすると、いよいよフィナーレを迎えるにあたり、プライベートも充実させ、そして最後まで責任を果たすべく楽しく過ごしているとのことでした。文面からイキイキとした様子が伝わってきました。それは、彼女が新しい生活へのビジョンと計画を具体的に持っているからでしょう。
またある私のクライアントの女性は、元々今の仕事に就く前にやりたいと思っていた仕事を実現させる計画を胸に抱いて、だからその実現までに今の仕事を活かすべく、ワクワク働いています。
そう、今の仕事を充実させるために、自分がこの先の夢を持っていることはとても大切です。ビジョンはモーチベーションの源泉になるのです。
実は、私自身もこの数年、この先が見えずにもやもやしていました。やりたいこと、やれることはもう全てやってきたし、それにこれから新たなことは面倒だし、、、、
しかし、コロナ禍のお陰で発想を転換することができ、次のチャレンジ目標が出来ました。するとどうでしょう。毎日、本当にうきうきと目が覚めるのです。
やりたいことはなくはないけど、やれっこないし、、、、どこかの通販化粧品の宣伝ではありませんが、もう私には無理、、、とあきらめていませんか。やれなくてもいいではありませんか。別に誰が笑うわけでもないし、自分の人生なのですから。
いえいえそもそも、やりたいことが分からない? これが一番やっかいです。今度、生まれ変わったら何をしたいですか?億万長者の妻になりたい?
億万長者といえばビル・ゲイツ夫妻が離婚しました。妻のメリンダ・ゲイツの著書を読みましたが、億万長者の妻は決して楽ではないようです。子供が生まれて当然のように専業主婦を予定していたら「じゃあ君はこれから何をしていくの?」と尋ねられたそうです。さすが、ビル・ゲイツです。
自分が何をしていきたいのか、独立した女性であればきちんと回答したいものです。どんな仕事をしていきたいのか、どのようなことを結果としてもたらせたいのか。だって、何をしたいのか分からないような人は魅力的だと思いますか。
ビジョンなどという難しい言葉でなくても、夢は生きるうえで大切なのです。失敗してもいい、方向転換は何度でもできます。今を充実させるために楽しく生きるために未来を考えましょう。
(YK)
参考図書
「いま翔び立つとき」 メリンダ・ゲイツ著 光文社
「仕事に活きる 禅の言葉」 島津清彦著 サンマーク出版
タグ :ビジョンメイキング,ビルゲイツモーチベーションの源泉わくわく目が覚めたい大人の女性なら
ロールモデルより自分の生き方を生み出す
2021年5月9日
先日、107才で亡くなった芸術家、篠田桃紅さんの美術展に行きました。
そこで購入した彼女の画集にとても共感する言葉がありました。
一人一人、生まれも育ち方もぜんぶ違う。 だから一の生き方を参考にすることは出来るけど そっくり真似することはできない。 自分で生き方を生み出さなければね。
さて、女性が活躍できない理由として必ずあげられるのが「ロールモデルがいないから」。それを耳にするたびに、女性が組織で活躍するためにロールモデルが必要でしょうか、と思います。
今、リーダーの地位に就いている女性や、起業して自分が自分の事業の代表として働いている人で「ロールモデルがいた」と言う人は少ないのではないでしょうか。だって、そもそも前例は今よりも少なかったはずです。私も誰かを見て目指す、ということはなかった気がします。
確かにビジネスの世界は男性ばかり。あらゆるタイプのビジネスパーソンが周囲にいるのだから、男性は良い例、悪い例、学ぶことは容易です。でももう、男女の違いはなくそうとしているのだから、組織での振る舞い方や仕事の仕方なら、女性も男性から学べばいい。リーダーの在り方にも女性だから男性だからという違いは、本来ないはずなのです。と言いながら、私自身も女性を活かすリーダーシップを唱えています。しかし、本来、リーダーの在り方に求められるものは同じで、違うとしたらそれぞれの個性であり、男女差が生まれるのはそこでしょう。
「いえいえ、家庭と両立をしている女性の例が見たいのです」「女性のリーダーのお手本が欲しいのです」という声が聞こえそうです。もしかすると自分を女性の枠にはめているのは女性自身なのかも知れません。
そして「ロールモデルがいない」ことを改善すべき課題としている企業の人事部や女性活躍推進プロジェクトも多い。前例が少ないから、自分たちもどのようにあるべきかが示すことができないし、やっぱり手っ取り早いのは先駆者の存在です。そもそも女性の数が少ないのだから、女性を増やす口実としてロールモデルの必要性を強調することは一つの手です。
一方、男性も一人親もいる時代、彼らにもロールモデルはいない。でも自分のやり方でやっていくしかない。求められるロールモデルも変わっていくので、待っていたり頼っていても前には進めない。声をあげれば必ず今の自分より一歩前に進んでいる人はどこかにいます。自分が何をしたいのか、困っていることが何なのかを主張することのほうが近道です。
もし、リーダーになるというようなキャリア以前の問題で「自分がどのような働き方をしたいのか分からない」「未来にどんなチョイスがあるのかお手本がいないから描けない」というのであれば、それはロールモデルの不在が原因ではなく、自分自身の想像力に課題があるのではないでしょうか。自分を知らず知らずのうちに枠にはめてしまっていませんか。
何度も繰り返して言いますが、自分の在りたい姿は自分でしか描けない。他人の真似では借り物のビジョンです。そして、ビジョンはゴールではない、自分が成長すれば変わっていって当然。
自分探しではなく、自分の生き方を生み出す。
頑張りましょう。
参考:「人生は一本の線」 篠田桃紅著 幻冬舎
(YK)
タグ :ロールモデル入らない、亀は万年、女性は長生き、自分らしい生き方篠田桃紅
10年後に何を着ていたいですか?
2021年4月8日
以前から、日本の働く女性たちはもっと服装に意識を働かせても良いのではないかと感じていました。
女の子なのかお母さんなのか、キャリアを目指しているのか女性らしさを強調したいのか、カジュアルなのか手抜きなのか、よくわからない曖昧なファッションの女性を多く見かけます。それが好きだから、楽だから、好みだから、というのは理解できるし、好きなものを着ればいい、とやかく言えばハラスメントと言われるかも知れません。しかし、正直なところ、それでは仕事を任せられませんよ、という思いを感じています。
私自身がファッションの会社に勤務していた頃、イケてない服装では部下たちに馬鹿にされるという苦い経験もしているのでなおさら、気になっていました。
最近、ドラママスタイリストの西ゆり子さん書いた本を読んで、そのもやもやを一気に払拭してもらえました。西さんは、数多くの人気ドラマの人気女優さんや役者さんたちのスタイリストをなさっています。脚本を読み込み、その登場人物がどのような人生を歩みどんな考えや価値観を持っているのかを想像し、服を通して視聴者に表現する仕事。演じる女優さんの陰で、服で役の人物に肉付けをしているお仕事です。
西さんは、服はその人自身を表す名刺と言います。
裏返せば、ドラマの人物ではない現実の世界で、現在進行形で生きている私たちは自ら意識するしないに関わらず、着ている服で自分自身の人生観や価値観を表現していて、そして自分で気づかないうちに他人に判断されているのです。
キャリアファッションは自分の名刺代わり。常に「なりたい自分」をイメージしながら服を選ぶこと。
これはもうビジョンの話です。「なりたい自分」きちんとイメージできるか、イメージが出来ないとファッションも中途半端になるということです。自分が何者であるか、自分でわかっていないから中途半端は服になってしまう。
迷ったら服はさておき、まずは10年後に自分がどんな人間になりたいのか、どんな暮らしをしたいのかをイメージしてみましょう。
まさにビジョンメイキングと同じです。将来の自分を思い描けるか、ゴールを決めるためには、自分がありたい姿をイキイキと描くことから始める。
ビジョンを描ける女性は多くはありません。それにはあまりに目の前の現実にとらわれすぎていて、先のイメージが浮かばないのです。
でも、服装をイメージしてみたら想像しやすくなるのではないでしょうか。10年後もビジネススーツを着ていたいのか、ウェディングドレスを着たいのか、カジュアルウェアでのんびり過ごしたいのか、頭に描いてみれば、それに伴って自分が身を置きたい環境も頭に浮かぶでしょう。そして、思い描いたら、それが実現するように、もちろん行動を起こしてください。
バブル時代に流行した田中康夫の小説「なんとなくクリスタル」は、主人公の女性が30代になってもモデルの仕事を続けていたい、そして、「三十代になった時、シャネルのスーツが似合う雰囲気をもった女性になりたい」と表参道を歩きながら考えるシーンで終わっています。
令和の時代の10年後、皆さんは何をしていたいか、そしてどんな服が似合う女性になっていたいですか。
参考:「ドラマスタイリストという仕事」西ゆり子著 光文社
(YK)
タグ :10年後の自分を考えるドラマスタイリストという仕事ビジョンメイキング服は名刺身だしなみとファッション
女の話が長いと日本が変わる!
2021年3月2日
「女性がたくさん入っている理事会は時間がかかる」五輪組織委員会の森会長の発言が波紋を呼びました。この発言は、日本がいかに女性に対しての視点が遅れている国であるかを、明らかにしてしまいました。
さて、本当に女の話は長いのでしょうか。長いとすればその理由はなんでしょうか。
私は、女性の話は長い、女性はよくしゃべる、とプライベートでも仕事の場でも実感として感じています。もちろん、私自身も(笑)そしてこれまでも「気を付けるべきこと」として皆さんにもお伝えしてきました。
例えば、研修やセミナーを行った場合、女性は、とにかくディスカッションの時間を設けないと満足度が上がりません。自分が話す機会がないと満足しません。一方、男性はインプットが多くないと満足しません。女性は、自分が感じたことや考えていることを共有することで、自分の考えをまとめたりアイデアを得ることが出来るようです。雑談を多くすることで、関係性も良くなるし、発見も得られると考える傾向が女性の多くにみられます。
では、会社の会議で発言や発言することが苦手な人が多いのはなぜでしょう。それは、いつも少数派だからです。女性に限らず、誰であっても少数派になれば発言は控えるし、どういうカテゴリーであれ、多数派がいれば少数派は遠慮します。
「女性がたくさん入っている理事会」だから女性はたくさん発言が出来たのです。
「クリティカルマス」という言葉を紹介します。
ある組織において少数派が一定の数に達した結果、その人達がもはや少数派であるが故の居心地の悪さを感じなくなること。
少数派であると「女性だから」というステレオタイプに自分自身をあてはめて「女性だからリーダーシップがないと思われたらどうしよう」だとか「女性だから控え目にしておこう」などというバイアスに自分自身が囚われて、本来の能力を発揮できなくなるそうです。
だから人数が増えることが大切。
企業の風土にもよりますが、これまでの日本の組織の特徴として、個人ではなく組織の一体感が重視されます。データや事実よりも人間関係が重視され、先輩後輩という意識も日本に特有です。
日本の多数決は多数決ではないと言われています。本当はNOであっても、身内意識で誰か声の大きい人がいるとその人に同調してしまい、物事はいつの間にか決定する傾向があるのです。
男性はそのことを心得ていて自分の損得を考えて空気を読みます。つまり「わきまえる」のです。
残念ながらそこに参加して来なかった女性の多くは、そのことに気づいていないので、多数派になると堂々と「わきまえない」ようになるのです。
以前、フランスの会社に勤めていたころのこと。フランスで行われた一日中、時間ごとに様々なセッションがある会議で、時間が大幅に過ぎてもディスカッションが終わらなかったことがありました。
次のスピーカーが会場に来て待っているのに、終わらない。日本人の私はひやひやしてしまいました。すると次のスピーカーが「いいディスカッションしているのだから気にしないで続けてください」と言って帰ってしまいました。
誰も言いたいことがあるうちは、他人のことや時間などわきまえる気配がありません。
私は同行した上司に「こんな進行でいいんですか」と尋ねると、思う存分話して、皆でいい結論に達することが大切だから、それでいいのだというのです。
考えれば皆が発言するのは民主主義の原則であり義務です。
女性の意見は女性だけではなく、皆にとって価値があります。だって世界の人間の半分は女性なのですから。
女性に限らず、ダイバーシティ社会を目指すのであれば、誰もがバリアを超えて納得するまで話をする環境は必須です。
これを機に「わきまえない女」が増えて、会議の場で女性が発言するようになると停滞している日本が上向きになっていくような気がします。
案外、喜んでいるのは「わきまえる」ことを求められてきた男性かも知れません。
誰もが自分の意見が重い責任を持つことを意識して、発言力を磨いていきましょう。
参考図書:
「ステレオタイプの科学」クロード・スティール著 英治出版
「タテ社会と現代日本」中根千枝著 講談社現代新書
(YK)
タグ :クリティカルマスわきまえない女女性のバイアス女性の話は長い飲み会は断らない
上司の信条
2021年1月31日
以前の会社の部下からラインがありました。
彼女は今は別の会社に転職しています。その会社で社長から表彰をされたそうなのです。「川邊さんのご指導のおかげです」と報告してくれました。
彼女と働いたのはもう10年も前のこと、私の指導などではなく、彼女自身が頑張った成果だと思うのですが、報告してくれることはとても嬉しい。
転職の多い私ですが、どこの会社でも部下には恵まれ今も付き合いが続いています。
ところで、私はこの「部下」という表現はあまり好きではありません。部下とか後輩とか、普通の会話に上下関係を表す言葉を使うのは日本に独特です。
例えば、外国人の本社の人と仕事の話をしている時など「マリーがね、、」と話し始めるから「マリーって誰?」と聞くと「私のチームで庶務をやってくれている人よ」というように、仕事の役割で返ってきます。日本人なら「私の部下がね」と言うところでしょう。
日本人は入社、つまり組織に属するという感覚であるのに対し、外国人は就職、契約を結んで仕事をする、という感覚なので、小さなレベルでの順列はこだわりません。
コロナ禍でリモートワークを導入する企業も増え、またジョブ型雇用も一般的になるとこの、上司だとか先輩だとか順列にこだわることが希薄になっていくのではないでしょうか。よりフラットになって、仕事以外の気遣いや付き合いが不要になる、女性には働きやすい職場になることが期待できます。
とはいえ、この「部下を持つ」という経験が人を成長させてくれるのは事実です。
例えば子供を持つと親が成長するように、誰かに責任を持つという経験は人には貴重であると感じます。
背中を見せる。振り向くとついてくる人がいる。
優柔不断な私はダメ上司で(謙遜ではなく本当にそうなのです)、部下にフォローしてもらうことばかりでした。が、3つだけ決めていることがありました。
一つ目は、楽しく働ける職場であること。二つ目は、部下の長期のキャリアを考えて仕事を任せること、三つ目は部下を外から守ること、でした。私の上司としての信条です。
が、立派な心情を持っていても、組織にいれば、敵もいるし問題もある、自分自身が未熟でどうにもならない状況に追いやられることもあります。結果、部下を守り切れないこともあります。こちらが期待をかけていても、部下に分かってもらえないことも、裏切られることももちろん、あります。部下は上司のものではないのですから。
信条を貫くのは難しい。後悔も多い。
しかし、当事者であるうちには気づきませんでしたが、この信条に沿って経験した失敗や成功が、私を成長させてくれた一番の財産になっていることを感じています。
だから、昔の部下たちが利害関係がなくなった今も付き合ってくれているということは、私にとっては何よりの喜びです。「顔も見たくない」と言われないだけでもありがたい(笑)
それが私の過去の仕事の結果だと密に思っています。本当の評価をくれるのは、上司ではなく部下かも知れません。
もし管理職になるチャンスがあれば、是非、受けることをおススメする理由です。
(YK)
タグ :ジョブ型採用ボスになる上司の信条女性の管理職管理職を勧める理由部下を持つということ
サンタクロースは名乗らない
2020年12月3日
もうすぐクリスマス。大人はとっくにプレゼントを楽しみにする気もちを失っているかも知れないけれど、子供や愛する人たちに贈るプレゼントに頭を悩ましているかもしれません。
さて、何故、クリスマスプレゼントは直接渡されず、サンタクロースがくれるものだと子供に信じさせる習慣があるのでしょう。
サンタクロースが親であることが分かるとサンタクロースの役目は終わります。
その理由はを哲学者の近内裕太氏は、「プレゼントを純粋な贈与にしておくため」だと解説しています。
誰がくれているのかが分かると、贈り物には恩義や負担が発生してしまいます。名乗らないから、子供は純粋に安心して受け取ることが出来る。
一方、名乗らないことで親は「いつか気づいてくれるといいなあ」という願いを持ちます。そして子供が親のしてくれたことに将来気づいたときに、その願いは叶います。子供への想いは時間をかけて成就します。
感じとる心、感謝の気持ちを持つ大人に育つことこそ、親に対する最高のリターンになるというわけです。
親からの贈り物は有形無形です。クリスマスプレゼントだけではなく、子供はあまりに多くのことやものを与えられますが、いちいち気づいていたら重たくなります。でも自分が大人になったときに、気づくことで報いることが出来るのです。
さて、話は変ります。先日、私は福島県へ出張しました。そして、すっかり忘れていたことを思い出しました。
私の人生初の出張は福島でした。新入社員1年目の22才のとき、関連工場の経理担当だった私は、上司にあれこれ指示を受けて不安な思いで一人福島へ向かいました。そして工場長に拙い質問をして工場を見学をし、喜多方ラーメンを接待してもらったこと、すっかり私の記憶からは消えていました。ろくな成果はなかった気がしますが、工場長のことや上司が私の報告を楽しそうに聴いてくれたこと、を今回、思い出したのです。
新卒の入社間もない、経理部にいてもバランスシートもろくに読めない私をよく上司は、出張させたものです。つまりトレーニングだったのでしょう。
しかし、私は、海外志向でバリバリ英語で仕事をしたいと思っていたので、当然、その上司に感謝などしていませんでした。むしろ、保守的な彼はチャンスをくれなかった、だから退職したのだと、セミナーの自己紹介でも語っていました。
しかし、実はチャンスはもらっていたのかも知れない!掴まなかったのは私かも、、、今になっての発見です。
上司は保守的で私を理解してくれていなかったと思い込んでいたのは私側のストーリー。ながーい目で見て、実は期待されていたのかも・・・と30年以上もたって気づいたのでした。遅すぎますね(笑)
会社にもサンタクロースはいたのです。
先月も各地で、またリモートで多くの異なる世代の女性とお会いしました。人生で大切なものは、価値観は?と尋ねると、若い世代ほど「家庭」が上位に上がります。特にコロナが始まると、その傾向は強くなりました。価値観は今、満足していないことに対して、逆に重要度が上がる傾向があります。
20代から30代は仕事と家庭と目の前のことに懸命に追われる世代でしょう。出産や育児といったライフイベントも集中しているし、仕事も一番忙しい世代、そしてまだまだ指示を受ける立場で自分でコントロールがしにくいポジションにある、家庭に思うように集中できないことにジレンマを感じる、だからこそ「家庭」が一番大切と考えたい。当然です。
ビジョンなんて考えている暇もないし、とにかく普通に楽に過ごしたいと思うこともあるでしょう。
しかし今、もう手いっぱいに抱えている仕事や、苦労や大変さは実は贈り物なのかも知れません。当事者であるうちは、なかなか気づけません。
私も気づいていませんでした。が、こじつけではなく、新人の時の福島の出張は忘れてはいたけれど、あの頃の経験が今の自分の血となり肉となっていることは確かです。
介護も親がくれたプレゼントだったと過ぎてしまった今、受け取っています。
だから、感謝は今しなくても、それから不平も不満も言ってもいいので、目の前に与えられことは、一生懸命やる価値はあるのではないでしょうか。
間違えないでください。「若い頃の苦労は買ってでもしろ」という意味ではありませんよ。
今、大変だと思うことや興味のないことが将来、自分にとって価値あることに変わるかも知れないということです。なぜなら自分の価値観が将来変わるということを一番知らないのは、今の自分だからです。
先にチャンスと気づけたらさらに儲けもの。職場のサンタクロースも名乗りません。でも、これは贈り物かも?とちょっと意識して見てみませんか。
参考:「世界は贈与でできている」近内悠太著 NEWSPICKS
(YK)
タグ :サンタクロースチャンスワークライフバランス女性のビジョン家庭が一番大切将来の自分を自分は知らない若い頃の苦労贈与
頭の電源をオフにする方法
2020年10月27日
コロナ渦で、リモートになって在宅勤務が増えたのに、残業も減ったのに、なぜか時間がない。仕事のやり方は変えなくてはならないし、家にいるから増えた仕事もある。不安もある、心配もある、ああでもないこうでもない、と次から次へと色々な思惑や考えが頭に浮かんでしまって、あせってしまう。
考えすぎたり反省しすぎる傾向の強い女性は、どんな環境にあっても頭がオーバーヒートしがちです。かくいう私がその一人です。
私の頭も、しばしば、使いすぎたスマホのように熱を発して、固まってしまいます。アイデアが生まれないし、目の前のことに集中ができません。
一度に二つ以上のことをやれるのが出来る女だと思っているのだけど、なかなか出来ないからさらにいら立ちます。
そんな折、秋の一日、禅リトリートに参加しました。場所は、神奈川県の大磯で、お寺で座禅を経験したあとに、湘南平というハイキングコースを登ります。山は低いけれどなかなかのアップダウンが激しい山道です。ハイキングにはルールがあり、おしゃべりをしないこと、自然の音に耳を澄ましただひたすら目の前の道を歩きます。そして頂上ではまた瞑想。そう、修行です。最後は三浦半島や伊豆半島、そして大島まで眺めて景色を俯瞰しました。
この数年、「禅」はスティーブ・ジョブズから始まりグーグルが取り入れているということで、「マインドフルネス」という言葉とともにビジネスに役立つと話題です。皆さんも座禅や瞑想をしている方はいらっしゃるのではないでしょうか。
ビジネスコーチの仲間には禅を学ぶ人も多く、座禅は私も何回か経験しています。今回もそんな仲間の企画でした。しかし、毎回、私には何がいいんだか分からなかったのです(笑)黙って座っていることですっきりする、という感じは私にはありませんでした。
しかし、今回、やっと気づいたのです。オーバーヒートしたスマホはしばらく触らないでおくとまた動き出します。固まったPCも電源を切ると初期設定に戻って問題が解決される。いわんや人間もだ!
私のオーバーヒートした頭も電源を切る時間が必要で、瞑想や座禅はただ目の前のことに五感を集中させる、つまり頭をオフにする方法なのではないか。そんなことは、モノの本に書いてあると言われそうですが、私は、自分で理屈を分かって納得しないと物事が受け入れられません。今回、座禅とは私の電源オフの時間なのだ、とようやくイメージが出来ました。
さらに禅リトリートは自然の中、鳥のさえずりや虫の声を聞いていると、人間以外に存在しているものがなんて多いのだろう、自分はそのパーツでしかないと感じることが出来ました。土の感触やにおいは子供の頃の遠足を思い出させました。すると今の悩みが遠ざかります。
それ以来、毎晩、寝る前に10分間、ヒノキのアロマを炊き、瞑想しています。熟睡した満足感が得られなかった私が、ぐっすり眠れるようになりました。そして、なんと!新たなビジネスプランまで生まれたのです。
特段、座禅や瞑想を勧めているわけではありません。既に実践している人や、登山やダイビングや釣りや、書道や茶道がその効果を産んでいるという人もいるでしょう。皆さん人それぞれ、効く方法は他にもあると思います。
大切なのは、忙しい人ほど、意識して手放す時間をもうけることが新たなものを手にいれるためには必要だということなのではないでしょうか。
日ごろ、私たちは意識するしないにかかわらず、色々なことに執着しています。私も記憶力はいいし、物もなかなか捨てられない、断捨離もできす、色々なことを抱え込んでいるタイプです。
さらに、こうあるべきだという自分のポリシー、自分の考えや立場はこれまで築いてきたものだから、そうそう手放したくはありません。でもそれもちょっと忘れる時間を作ってみたら、すっきりした。
私のコロナ禍の大発見です。
何も考えない時間、騙されたと思って意識的に作って試してみてください。
(YK)
タグ :コロナ禍の発見何も考えない反芻する癖を直す女性の悪癖改善座禅瞑想の効果禅トレプレナー考えすぎる女性へ
言い訳せずにスキルを磨く
2020年9月30日
先日、NHKのTV番組「プロフェッショナル」に黒柳徹子さんが登場していました。
日本人ならほぼ全ての人が知っている彼女のすごさは、87才の今も「徹子の部屋」というインタビュー番組を45年も続けていること、それも毎日!ユニセフの親善大使として平和活動家であること。
そしてこれまた33年も続くTVのクイズ番組に出演し続け、しかも毎回好成績を収めていること、などなど数えきれません。
87才で現役で芸能界でレギュラーを続けていること、その上、唯一無二の存在であることは、やっぱり私たちとは違う才能を持っているからだと、特別視しがちです。まあ私たちとは違う人よね、と思いたくなります。
しかし「プロフェッショナル」を見て、この人の才能は現在進行形で磨き続けている「スキル」なのだと気づきました。87才でも磨き続けている!
彼女は徹子の部屋のインタビュー前に、かならずゲストの情報を集め、6人分の打ち合わせに3時間をかけ、スタッフとやり取りをしながら深く人物を掘り下げています。ゲストに合わせて毎回、衣装を自分自身で選ぶのも相手に喜んでもらうためであり、また相手にちゃんとしているという姿勢を見せるためだそうです。
クイズ番組では、出演する以上最高の結果をだしたいと自分なりのノートを準備しています。
つまり、優れたインタビュワーであるためには、その準備を入念に今も行っているのです。昔から頭が良いから、記憶力が良いからクイズで正解が出せるのではなく、仕事だから最高の成果を出すために事前の勉強は怠らないのです。
ここが黒柳徹子さんのすごいところではないでしょうか。名声を得て、安定した仕事があり、誰もが彼女に反論したりすることも恐らくない世界において、今も学び続けいい加減な仕事をしない。
慣れているから大丈夫だろう、このくらいでいいだろう、と手抜きはしないのです。
彼女のインタビュー力は才能ではなく、きちんと磨き続けているスキルなのです。とすると、私たちも真似ができるかもしれない。才能ではなく、日々、磨けば輝かしい結果は残せるのかも知れない。
プロフェッショナルとは、才能の差ではなく、真剣に日々仕事に向き合えっているかどうかの違いなのではないでしょうか。
残念ながら、私は自身を振り返ると、会社員時代には懸命に努力していたつもりですが、今、思えばもっと出来る努力がありました。
本人は真剣に取り組んでいたつもりだったし、かなり頑張っていたことに嘘はなかったのですが、正直なところ今、振り返ればもっと出来たはずであることを知っています(笑) でも、その時には気づいていなかったのだから仕方ない、当事者でなくなってからやっと気づくこともあるのです。
今でも、昨年はやらなかったことを今年はやっていて、でも昨年手抜きをしていたわけではなく、気づいていなかったことはたくさんあります。
後になってから気づくのでは、反省のしようがありません。ではどうしたら良いのでしょう。
やり続けるしかない。他人がどう考えようが、才能がないとか言い訳せずに、自分で与えられた仕事の最高を目指す!
どんなに頑張っても経験だけは先取りができません。日々、今出来ることを手抜きせずに全力尽くすしかありません。追いかけっこです。
そして振り返って過去の自分が未熟だと感じたのであれば、それは成長した証であり、がっかりする必要はありません。
徹子さんはプロフェッショナルを「情熱を持って熟練した仕事を継続してやっていける人」と定義しました。
「100才までごきげんよう」と言ってインタビューを終えた彼女に私も叱咤激励されました。
(YK)
タグ :プロフェッショナルとはロールモデルがいない現在進行形でスキルを磨く黒柳徹子のすごさ
バイアスを外す~夏休みの思い出~
2020年8月26日
私の小学生の夏休みの思い出です。母が動物園の「一日動物教室」へ申し込みをしようとしたらすでに満席で「昆虫教室」に入ることになりました。
やだー、昆虫なんて嫌いだ、そんな男の子みたいなところへ行きたくない、と抵抗したのですが無理矢理参加させられました。するとさすが先生はプロ、芋虫やらカブトムシに触れて、「いや案外面白い」と私の中でイメージが変わり、帰りには母も嫌がる(笑)昆虫少女になっていました。
人は誰でも自分のことは自分が一番わかっていると思いがちです。無意識のうちに頭に刻まれた過去の記憶や、一般的な統計データで判断を下し、知らず知らずのうちに人やモノを偏ってみてしまいがちです。今はやりの言葉で言うとそれが「バイアス」です。バイアスで一番危険なのは自分自身へのバイアスではないでしょうか。
テレビの情報番組で「エアコンを入れて寝ると体調が悪くなるから入れない」と言って熱中症になる人が多いという話題がありました。体調が悪くなるのはエアコンの使用方法の問題だし、日本の気候は少し前とは違っているので、そこを従来の自分の経験に頼って判断していたら、命にかかわります。自分は冷え性だから、と頑なに思い込んでいる女性が多いそうです。
仕事では、自分は細かい仕事が苦手だから(過去の経験から)、大した学校を出ていないから(一般的なデータ)、経験がないから(経験ゼロという自分のデータ)とためらったり決めつけたりして、新しいチャレンジをしなかったり、自分を過小評価してチャンスを失っているかもしれません。
いやいや、私自身のことは一番私が分かっていて、何度もそういうことがあったからそうなんだ。と言いたくなりますよね。しかし、案外、自分で蓄積したデータは思い込みであることも多いようです。
そしてその傾向は女性に多いようです。(これもバイアスもあるかも知れませんが?)というのは、社会では女性が「ためらい」を見せることは、あまり恥ずかしくない行動としてとらえられますが、男性にとっては「男らしくない」行動に繋がります。また男性は自分自身へネガティブなバイアスよりポジティブなバイアスを抱く傾向があるそうです。
今、コロナ渦でこれまでの常識が覆っています。握手をしたり名刺交換が挨拶の常識であったのが、距離を取ることがエチケットに変わっているように、当然だったことを疑うことが求められて戸惑います。だから、今がバイアスを外すチャンスではないでしょうか。
では、どうしたらこのバイアスを外すことができるかというと、いったん自分が蓄積したデータを疑ってみるとよいようです。自分を疑い、再度データを集め行動を起こしてみる、そして再構築してみましょう。
解凍 → 変容 → 再凍結
(昆虫教室へ行く)→(触ってみたら面白い) → (昆虫が好きだ)
昆虫教室は男の子の行くところであり、私は昆虫が嫌い、それは幼い私が持つ自分へのバイアスでした。しかし、バイアスに反した行動を取ったところ、世界観が変わったのです。子供の視野が広がったのです。残念ながら、大人になればなるほど、経験が邪魔して視野は狭まる一方で、バイアスも大きくなっていきます。
この昆虫をモノや人に変えて、いつもの行動を変えて見てください。人であれば付き合ってみる、モノやコトならやってみて、認識を変えましょう。
今でも、昆虫教室は私にとって苦手意識を克服する魔法の教室です。
参考図書 WORK DESIGN イリス・ボネット著 NTT出版
(YK)
タグ :バイアスの外し方昆虫教室苦手意識を克服するニューノーマル
やられたらやり返すが流行るわけ
2020年7月31日
研修やセミナーの期待度で、男性と女性が顕著に違うことがひとつあります。
男性は知識の習得を重視し、自分が持っていない意見を得たいと期待して参加する傾向にあります。
だから講師は自分より何かのレベルで上であることを求めます。
研修受講後に何か新しい知識や情報を持ち帰ることができると満足度が増すので、準備する際にはデータやグラフなどを含めインプットを多くします。
一方、女性はもやもやしていることを解決したいと参加してきます。新たなことを求めて参加する方はもちろん多いのですが、それでも自分が考えていたことがクリアになり、自分の考えが間違っていないのだということに確証を得られると満足感が高まります。
だから私は女性ばかりの研修では、ディスカッションを多く、参加者自身のアウトプットを多くします。 そしてその方法はグループディスカッションなどおしゃべりベースで気持ちを楽に話せる機会で、話せば話すほど女性は満足します。
さらに女性の発言量は、知らない参加者同士であると多くなるのですが、同じ会社の同僚同志であったり男性が混ざったりすると控えめになります。
さて、先日、ある研修でのこと、男性受講者が講師の私が例としてあげた話に対して、彼が知っている事実に基づき質問をしてきました。
実は私は彼があげた事実を知りませんでした。
さて、大変、私の中では混乱が始まりました。他の参加者が皆、私の答えに注目しています。平静を装い「なるほど、ご意見ありがとうございます」と逃げ切りましたが、自分の中では苦い思いが残りました。
少し冷静に考えてみると、何もそれで私の論拠が変わるわけではなく、さらに質問を投げかけ議論を深めればよいことだったのですが、私はとっさに真面目に対応しようとしてしまったのです。
その日はそのことが気にかかり、ひたすら一人反省会を行いました。
そして、あんなに準備しているプログラムはまだ完璧ではないと自信を失います。
さらに、やっぱり知識をちゃんと得なくてはと反論されたことに関しての本を大量に注文して読み始めした。
まさにいつも自分が女性に説いている、女性の活躍を妨げる習慣です。
しかし同時のこの経験で久しぶりに自分が会社員時代の会議での気持ちを思い出しました。
こういう風に反論されたり異論を唱えられるのが怖くて会議では沈黙しがちだったのです。
異論を唱えられると、自分の知識不足が露呈したような気持ちになるし、反論されると自信がなくなります。
しかも、そういう時の相手、特に男性は攻撃的です。だから発言しないで置こう、そう思っていたのです。
そうか、女性が発言しないのは、男性が心理的安全な場を失わせるからではないか!
そのヒントが最近読んだ橘玲氏の新書「女と男なぜわかりあえないのか」の中にありました。
男は子孫を残さなければならない本能で、あらゆる組織あらゆる場でトップを目指して激しい権力闘争をするが、女性はそのような競争をするように設計されていないから不利である。
そして、そうした性差を口に出してはいけない風潮が、原因を「男性優位社会」と「女性の自己責任」にしている。
男性はそもそも仕事場は競争の場であって心理的安全な場ではないのでしょう。
「やられたらやり返す」を連呼するTVドラマが流行するわけです。
女性がとるべき行動は、反省してさらに勉強することではなく、目の前に知らないことが提示されてもそれをどう扱うかというスキルを磨くことなのです。
進化していない種のマウンティングだと思えば、少し気を楽に技を磨いていけるはずです。
参考図書: 「女と男なぜわかりあえないのか」橘玲著 文芸新書
(YK)
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