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Omotenacism for women女性のためのオモテナシズム

ロールモデルより自分の生き方を生み出す

2021年5月9日

亀

先日、107才で亡くなった芸術家、篠田桃紅さんの美術展に行きました。

そこで購入した彼女の画集にとても共感する言葉がありました。

 

一人一人、生まれも育ち方もぜんぶ違う。                      だから一の生き方を参考にすることは出来るけど                   そっくり真似することはできない。                         自分で生き方を生み出さなければね。

 

さて、女性が活躍できない理由として必ずあげられるのが「ロールモデルがいないから」。それを耳にするたびに、女性が組織で活躍するためにロールモデルが必要でしょうか、と思います。

 

今、リーダーの地位に就いている女性や、起業して自分が自分の事業の代表として働いている人で「ロールモデルがいた」と言う人は少ないのではないでしょうか。だって、そもそも前例は今よりも少なかったはずです。私も誰かを見て目指す、ということはなかった気がします。

 

確かにビジネスの世界は男性ばかり。あらゆるタイプのビジネスパーソンが周囲にいるのだから、男性は良い例、悪い例、学ぶことは容易です。でももう、男女の違いはなくそうとしているのだから、組織での振る舞い方や仕事の仕方なら、女性も男性から学べばいい。リーダーの在り方にも女性だから男性だからという違いは、本来ないはずなのです。と言いながら、私自身も女性を活かすリーダーシップを唱えています。しかし、本来、リーダーの在り方に求められるものは同じで、違うとしたらそれぞれの個性であり、男女差が生まれるのはそこでしょう。

 

「いえいえ、家庭と両立をしている女性の例が見たいのです」「女性のリーダーのお手本が欲しいのです」という声が聞こえそうです。もしかすると自分を女性の枠にはめているのは女性自身なのかも知れません。

 

そして「ロールモデルがいない」ことを改善すべき課題としている企業の人事部や女性活躍推進プロジェクトも多い。前例が少ないから、自分たちもどのようにあるべきかが示すことができないし、やっぱり手っ取り早いのは先駆者の存在です。そもそも女性の数が少ないのだから、女性を増やす口実としてロールモデルの必要性を強調することは一つの手です。

 

一方、男性も一人親もいる時代、彼らにもロールモデルはいない。でも自分のやり方でやっていくしかない。求められるロールモデルも変わっていくので、待っていたり頼っていても前には進めない。声をあげれば必ず今の自分より一歩前に進んでいる人はどこかにいます。自分が何をしたいのか、困っていることが何なのかを主張することのほうが近道です。

もし、リーダーになるというようなキャリア以前の問題で「自分がどのような働き方をしたいのか分からない」「未来にどんなチョイスがあるのかお手本がいないから描けない」というのであれば、それはロールモデルの不在が原因ではなく、自分自身の想像力に課題があるのではないでしょうか。自分を知らず知らずのうちに枠にはめてしまっていませんか。

 

何度も繰り返して言いますが、自分の在りたい姿は自分でしか描けない。他人の真似では借り物のビジョンです。そして、ビジョンはゴールではない、自分が成長すれば変わっていって当然。

 

 

自分探しではなく、自分の生き方を生み出す。

頑張りましょう。

 

参考:「人生は一本の線」 篠田桃紅著 幻冬舎

(YK)