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Columnコラム

大切な人の話に耳を傾ける

2024年12月24日

また来てケロじゃ

また来てケロじゃ

コーチングのスキルの一つに「質問」があります。

目的は「考えさせるため」「気づきを促すため」です。

が、日常会話においては、自分の関心あることへ話をもっていくための「話題提供のための質問」というのもあります。

 

先日、出張先で空港からタクシーに乗ったときのこと。

運転手さんは乗るや否や「お客さん、どちらからですか」と聞いて来ました。

「横浜です」と答えると、運転手さんは我が意を得たり、というように嬉しそうに

「わあ、横浜ですか、うちの息子が今年の春から横浜で一人暮らしを始めて、、、」という話が目的地まで延々続きました。

息子の住む町から来た私にこの話が出来て嬉しかったのでしょう。

東京方面から着いた私の出身地を聞いたら、ズバリ「横浜」だったので話が止まらなくなったのだろうと、ほほえましくなりました。

 

翌日は隣の県へ移動。県庁所在地の町の大衆的な食堂で昼食を終えお勘定をしようとすると、隣の席にいた年配の男性が「どこから来たの?」と聞いてきました。

「横浜からです」と答えると、彼は最近、町内会の旅行で横浜へ行ったこと、港の見えるホテルに泊まり中華街へ行った時の感想を延々と語り始めました。

東京からと言えば、東京の話題になったのかも知れません(笑)

いずれにしても彼もまた、思い出話を共有したかったのでしょう。

 

石川啄木の短歌にある逆バージョン。

“ふるさとの訛なつかし停車場の人ごみの中にそを聴きにゆく”

(ふるさとの訛りが懐かしくてふるさとからの人の集まる駅(上野駅)に行く)

自分の思う人のいる場所から来た人と話がしたかったのかも知れません。

私に興味があっての質問ではなく、自分の話へもっていくための質問でした。

 

全く私に関係のない話でしたが、ふむふむと聞いていると、運転手さんも食堂の隣席の男性もとても嬉しそうでした。

いいことをした気がしました。

 

あれ、こういう経験ってしたことある気がします。

子供の頃、お正月に久しぶりに会った親戚のおじさんがあれこれ聞いてきて、そしていつの間にか自分の話になっていて、いつ切り上げようかと面倒だったこと。

誰にでもありませんか。

忍耐強く話を聴けるとは、自分も成長したものだと思います。

 

相手の話したいことを傾聴するのは、忍耐がいるものです。

しかもそれが自分には興味のないことや、全くつまらない話であったらなおさらです。

上司や先輩やお客様だったら、仕事だから我慢できます。

でも一年に一度しか会わない人との、ほっこりした人間関係にも欠かせません。

人は誰でも他人の話を聴くよりも話すほうが好きです。

 

お正月、様々な方に会う機会、「ああその話知ってる」「私はこうだ」と反論したり自分の話に持っていかずに傾聴の練習だと思って、じっくり聴いてあげてください。

ほっこりしますよ。

きっと何よりのプレゼントになるはずです。

(YK)

丁寧な説明より傾聴したい

2023年2月17日

雪の出張

子供の頃、校長先生やおじいちゃんおばあちゃんの話が長くてうんざりした経験はありませんか。大人になったら「ああはなりたくない」と思ったものです。

しかし最近、気が付くと年下の人に対して、長々蘊蓄を垂れていたり、自分の経験を得意そうに語っていたりすることに気づいて、はっとします。危険な予兆です。

特に私はコーチングや研修で他人の話を引き出すことを仕事としていますから、その私が話してばかりでは、まさにお話になりません。

 

さて、皆さんは1対1で誰かと話すとき、あなたは会話の何パーセントくらいを話し手に回っていますか。あなたの方が長く話していますか。それとも聴き手に回る時間のほうが長いでしょうか。

そもそも人は自分の話をするのが好きです。多くの人間は、他人の話を聴くよりも自分が話すことに興味があるそうです。

 

実際、今年は年頭から全く異なる業界での仕事が続いているのですが、どの業界や仕事にあっても根本的な課題は「傾聴」にあると感じています。

例えば、いわゆる知識人やスペシャリストと言われる何かの権威とみなされている人は、正当な答えや相手を納得させる回答を期待されていると思いこんでいるのか、一方的に延々と自説を説いてしまいがちです。

量販店の販売員は、商品のスペックや特徴を伝える商品説明に夢中になり、肝心のお客様のニーズを聞き出せず、お客様を逃していることに気づいていません。

ラグジュアリーカーの販売員となると、商品の素晴らしさの説明に時間がかかりすぎて、お客様を主役にする会話が二の次になります。

誰もが悪気ではなく、相手への関心より伝えたい一心で、対話ではなく一方的な「説明」をしている人が多いことに気づきました。

 

昨年の流行語大賞にもノミネートされていた「丁寧な説明」。毎日のように耳にします。

「丁寧な説明」は決まっている指示や事項を分かりやすく教えてくれるという意味では適切ですが、人を納得させるためには説明では不十分なのではないでしょうか。

 

忙しい時代、コミュニケーションの時間もエンドレスではありません。

自分が話す時間が長くなればなるほど、相手の話す時間は短くなります。相手の時間を自分が長く話すことで盗んでいることになります。また、自分のほうが長く話すと、相手から得る情報は少なくなります。

同じ時間の対話であれば、自分の話をして自己満足で終わるよりは、相手から何かを得たほうが有意義な対話になるのではないでしょうか。

それがビジネスの取引相手の場合、相手から情報を多く得れば得るほど、長々と説明しなくても相手の気持ちに沿った提案ができるでしょう。

そして何より、自分の話を聴いてくれる人を人は好ましく感じます。好きになってくれるようです。

 

「答えは相手が持っている」

この考え方はコーチングの基本です。

どのような職業でも立場でも成功している人は、相手の話に耳を傾け相手から情報を引き出すスキルを持つ聴き上手です。

自分の情報を出すことをぐっとこらえて、まずは相手の話を聴いてみる。

「今日は聴くぞ!」と気合を入れて相手に集中すると、結構聴けるものです。

是非、説明より傾聴、試してみてください。(YK)

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