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Omotenacism for women女性のためのオモテナシズム

「風と共に去りぬ」に学ぶ

2019年7月16日

雨の日の散歩私は会社員時代の女性の上司にことあるごとに「あなたはもっと堂々と自分を主張しなさい」と言われていました。

「謙虚なのはあなたの良さだけれどそれでは認められない、負けちゃうわよ」と彼女はもどかしそうにアドバイスをくれるのですが、実は私は内心、彼女が声高に主張し男性管理職をやりこめる姿を「美しくない」と考えていました。

12の習慣の一番目にある「自分の成果を主張しない」という悪癖は、私が「女性は謙虚であるべきだ」という価値感と相反して起きているものだったのです。

 

私のセミナーの参加者のなかにも、「謙虚であるのは日本人の美徳ではないのでしょうか」と疑問を呈する方もいらっしゃいます。

確かに、私自身、「脳ある鷹は爪を隠す」「出る杭は打たれる」というような教訓を親から教え込まれ、それに捉われてあまり自己主張ができないのは、今でも変わりありません。

 

ところで、皆さんは「風と共に去りぬ」という長編小説をご存知ですか。映画で見た方も多いでしょう。

この連休、同著を最近、あらたに翻訳した鴻巣友季子さんが書いた「謎解き『風と共に去りぬ』」を興味深く読みました。

美しく自由奔放でわがまま勝手に生きる主人公スカーレットと献身的で優しいメラニーという女性の対比が米国の南北戦争時代を舞台に印象的に書かれている大ロマンスです。鴻巣氏は、原著を注意深く読むと、実は芯が強く自分の意志を通し周囲をコントロールしているのはメラニーであり、彼女こそ主人公であると言うのです。

わがまま勝手を通しながら実は自分の欠点や弱点に気づきながら怯え「私はこういう人だから」と言い訳し居直っているスカーレットはいつも周囲に起こることから蚊帳の外。地味でおとなしそうなメラニーは信念に基づいて行動を起こしているので常にストーリーの核心部分にいて物語の進行をコントロールしているというのです。

閑話休題。

 

「自分の成果を主張する」というのは、わがままを通したり自慢をすることではありません。

そしてわがままを通そうとする人は、いつかビジネスにおいても蚊帳の外に置かれるでしょう。一方、信念を持って周囲に共感を得ていく人の前には自然と道がひらけます。

「主張をする」ということは、自分が正しい目的のために実現したいことを伝える、または実行したことをきちんと報告するということです。

本来、そこに謙遜や謙虚さが入り込む余地はありません。目標に対して、自分が何を行ってどのようにどのくらい目的を達成できたのか、客観的に示すことができれば良いのです。

自分の主張のために誰かを「やり込めたり」「貶めたり」することではなく、自分は自分のことをきちんと正当に主張することです。(私の上司も信念の人でしたが、なかなか攻撃的でした。もう時効なので許してもらえるでしょう、、)

 

お気づきのように、12の習慣は、それぞれが複雑に影響しあっています。「周囲を気にしすぎる」傾向や「やりすぎる(感情的になる)」が、この冷静に主張するという行為を邪魔したり「反省し過ぎる習慣」が自分を必要以上に謙遜してしまったりするのです。

 

このコントロールに必要なのは、気持ちのバランスです。余裕です。

私も大変苦労しています。が、この連休、雨の日に利害関係の全くない友達と、雨の日の長いウォーキングをしました。雨の音を聴きながら、雨の臭いを感じ道端の花に目をとめたり、ストレスの多い仕事を抱えていたのですが、それだけですっきりよく眠れました。

 

うまく行ったことは自分が頑張った成果として認めてあげましょう。

そしてうまく行かない日は、スカーレットの口癖「明日考えよう」を真似て、考えるのは止めて早くベッドに入って備えるのも手かも知れません。

YK

意思決定は賭けと考える~習慣の克服~

2019年6月2日

あじさいこのコラムでも紹介した「12の習慣」は、公開セミナーも行っていますが、本当に多くの女性に共感頂くことが出来ました。「全て私の習慣です!」という人もいれば「半分くらい」という方もいますし「全くあてはまらないけど自分の周囲の女性にはあてはまっている!」という声もあり、感想の表現にも「私はこうなんだ」と主張するところが「全てに過剰」(習慣のひとつ)な女性の癖も感じながら(失礼)嬉しく伺っています。

 

先月、ユーミンの45周年コンサートに行きました。そして彼女の歌の中に「12の習慣」の気持ちが散りばめられていることを発見。ユーミンの歌がこれだけ長く(昭和から!)愛されている要因はたくさんあると思いますが、その一つは多くの女性が彼女の歌詞に「あるある」体験を重ねているからでしょう。

 

「あなたが本気で見た夢をはぐらかしたのが苦しいの、私を憎んでも覚えてて」→ 反省し過ぎる/全てに過剰

「あなたにふさわしいのは私じゃないって、電話を切ったあとで思い切り泣いた」→ 自分の成果を主張しない/自信がない

「あれからどんな時にも着飾っていたのに~」→ 自分の努力はいつか気づいてもらえて報われる

 

それでは、仕事の場でこの「あるある」を克服するためにはどうしたら良いのでしょう。今回は「反省し過ぎる」(頭の中で反芻する)女性へのヒントです。

反省する状況というのは、自分が何かを行った結果、あるいは行わなかった結果、うまく行かなかったことを悔やんでいる状態です。

反省をしてしまう人は「あのときああしていたら、ああすれば」と自分の意思決定について「たら・れば」に捉われます。

そんな時に役立つのが「確率思考」の考え方です。

女性ポーカープレイヤーのアニー・デューク氏は、意志決定は自分自身への「賭け」であると言います。

「選択しなかった自分」に「選択した自分」が勝つことに賭けている状態です。

何かを選択するとき、私たちは「未来に手にするもの」に期待しての「賭け」をしていると考えてみてください。

 

例えば、転職を決意した場合「転職しなかった自分」より「転職した自分」がさらに将来良い状態になれると信じるから選択(賭け)をするのです。

でも、良い状態になっている保証などどこにもないし、その時点では未来に何が起こるのか分かりません。ね、「賭け」でしょう?

だから、起きたことが予想どおりでなくても、それはどうにもならないことだし、自分を責めても仕方ありません。最善の予測をするという努力は出来ますが、それが最善かどうかは結果が出なければ分からないのです。

どんなに努力をしたとしても、最善の予測をしたとしても、確実なことはありません。自分のせいだけではないのです。

結果の原因が100%運であることも100%スキルや知識であることもありません。様々な要因があるのです。

だから「丁か半か」の掛けではなく、何かを選択(自分の行動を含め)については複数の選択肢を考え、その選んだことについて確立を考えておくと良いと、デューク氏は勧めます。

例えば何かを提案するとき「この提案が全て通る」ことを目指すのではなく、「全て通る」確率はどのくらいあるのか、どの程度になる可能性があるのか、通らない場合は何が起きるのか、それぞれの可能性はどのくらいあるのか、事前に考えることで、逆に本質が見えて来ます。

「賭け」と考えれば勝てば満足感という「報酬」が得られますが、負けた場合でもその原因がひとつだけということはめったになく、また自分の能力不足だということもないわけで、客観的に受け止めることができます。

もし「能力不足」「努力不足」が一つの要因であれば、それを補う方法を考えればよいでしょう。次への戦略が立ち、くよくよ考える必要がなくなります。

 

試しに、令和5年までのあらゆる自分に起こりうることを想定して書き出してみてください。いつも私がお勧めするのは「ビジョン(ありたい自分・なりたい自分)」ですが、ビジョンはもちろん、ビジョンが実現しなかった場合も含めての全ての可能性です。

書き出してみるとそんなに良いことばかりではないのではありませんか。良い予測ばかりだとしたら楽観的過ぎるかも知れません。私は、書き出してみると、もしアクションを起こさないとまずいぞ、ということが予想以上に多いことに気づきました。

一方、書き出したことで思い通りにならないことがあっても想定内であれば対処可能だとも考えることが出来ました。

 

再びユーミンの「青いエアメール」という歌に「選ばなかったから失うのだと、悲しい想いが胸を貫く」というフレーズがあります。

そう選ばなければ失う、選ばなかったのは自分の責任、だけれど賭けだから「負けるのもあり」でしょう。そして選ばなかったから、得たものだってあるはずです。

だから反省し過ぎないでくださいね。自信を失うもとですから。

 

参考; 「確率思考」 アニー・デューク著 日経BP社

(YK)

会社の風土を作っているのは誰?

2019年4月25日

61d95eefc1872adcbbf6f0c148d74440_m今年は、女子大学生や20代前半の働く女性たちに出会う機会に恵まれ、彼女たちの目標に向かう勢いとタフな精神に驚かされています。

好奇心が旺盛で、探求心を持ち、まずは実践してみる彼女たち。何に興味を持っているのか自分で分かっているので、勉強をする目的も自分の言葉で明確に述べることが出来る、そして社会貢献や新たなことを生み出すことにタフに時間を使って行動を起こすことが出来る。私の若い頃とは大違いです。

もちろん、こうした女性たちは全女性の数パーセントに過ぎないでしょうが、数パーセントでも前向きに社会に参画し変えようとする意志のある若者がいることにワクワクしています。

 

ところが、最近、ひどく驚き憤りを感じたこと。それは、ある会社で新入社員研修で女性社員だけに『お茶の出し方』が研修の項目にあったのを見たときです。たまたまその会社がそうだったのでしょうが(私のクライアントではなく、もちろん全ての会社ではありませんが)ペットボトルやプラスチックカップが主流のなか、まだそういうことを指導しているのだと驚きました。

最近は、ペットボトルを出すところも多いなか、会議にいらしたお客様に「お茶」を出すことも印象をあげ円滑な交渉を進めるには大切です。そして出す人が心を込めてお茶を入れることはビジネスであっても悪いことではありません。

何故、疑問に感じているかというと、①貴重な時間と研修費を使って教える課題なのか ②なぜ女性社員だけなのかというこの2点です。

 

昨今、多くの企業が「ダイバーシティ」を方針に掲げています。

しかし、方針と研修にこうした矛盾が存在することに多くの担当者が気づいていません。慣習だから、昨年もやったから、ということで続行しているのかも知れません。

ちなみに海外の会社では、お茶は自動販売機で出るものをすすめるか、あるいは雑用のパートの人が出してくれたりするので正社員で入って最初にお茶くみを指導されることはありません。

相当不思議な日本。「おもてなし」の国だからという理由では当然ないでしょう。

 

新入社員は初めての研修では、大きな疑問を持つことはなく素直に会社の組んだプログラムに従って、不安を覚えながらも一生懸命従おうとします。皆さんも、新人時代、ちょっと「変だな」と思う仕事も出来なければ認められないのだろうという心配から、一生懸命取り組んだものではないでしょうか。こうした雑用の先には、きっと活躍出来る舞台がある!と信じているからです。

「お茶出し」をうちの会社はしていないから大丈夫、というわけではありません。仕事に直接、関係ない、不必要な慣習ややり方を新入社員に受け継いでいることがないかちょっと考えて見てください。そうしたところにあなたの企業の「風土」を垣間見ることが出来ます。

こんな課題は、昭和の新入社員の話のようなのですが、昨今、日本の組織は保守化。採用から入社式までいっせにリクルートスーツというのも平成になってからの習慣です。

 

さて、冒頭にあげた女子大生たちが、この会社に就職したらどう思うでしょう。数カ月たつとこの会社の風土に自分はあわない、自分のやりたいことを他で探そう、と違う道を模索し始める人も当然いるでしょう。

が、だんだんと慣れてしまい会社の当たり前が自分の当たり前になって疑問も感じず(あるいは感じても面倒なので)現状維持を守る、このどちらかではないでしょうか。

そしてもっと怖いのは、会社の当たり前に慣れてしまうと、彼女たちもそのうち「お茶は女性が出すべきだ」「仕事と同様時間をかけて行うことが当たり前だ」と考えて、次の世代を指導するようになることです。

 

そして、その先輩たちが、無意識のうちに新入社員のモーチベーションをそいでしまっているとしたら、女性活躍推進はお題目のままになってしまいます。

案外、小さな自分の行動こそがメッセージになっていることを認識しましょう。

 

自分が厳しい体験を潜り抜けて来た人ほど、同じ境遇の人に対しては共感するより、厳しくなるそうです。

ロールモデルと気負わずに、自分の在り方が知らないうちに企業の風土を作っていないか、後輩に良くも悪くも大きなインパクトを与えていることを意識して、新入社員が迎えて時は「平成」から「令和」になるタイミングに自分自身が「あるべき」を引きずっていないか、見直してみてはいかがでしょうか。

(YK)

 

 

 

女性のためのリーダーシップスキル開発 ~自信を持ちチームを成長させる~

2019年3月22日

コラボレーション組織では、かつてないほど女性にリーダーシップを発揮することが求められています。
しかしリーダーになることにしり込みしている女性も多いのが現状です。
本セミナーでは、組織での女性リーダーの可能性を示し、リーダーシップスキルの基本をロールプレイングやディスカッションを通して実践的に学んでいただきます。
ビジネスパーソンとして自信が持てない女性、組織の期待にどう応えたら良いのか模索している女性の自己変革を促します

対象:女性社員全般、新任女性リーダー

【こんな方にお薦め】

✔チームをまとめるパワーを身に付けたい方

✔同僚や上司とのコミュニケーションを円滑にしたいと感じている方

✔新任管理職、または管理職になることを期待されている方

【効果】

・女性の特性と考え方の癖を確認できます

・効果的なコミュニケーションのスキルを練習できます

・女性の特性を生かしたリーダーシップを身に付けます

★参加者の声★

・人を巻き込んでいく立場の人が身に付けるべきポイントが改めて理解出来た

・悩んでいた課題についてどう行動したら良いのかが、受講により明確になった

・事例もわかりやすく、アドバイスももらえたのでさらに自分を内省するきっかけが掴めた

 

努力はいつか報われる?~女性の活躍を阻む習慣①②~

2018年11月30日

女性の活躍を推進するためには、女性と男性の物の捉え方や味方の違いを理解することが必要です。「女性の活躍を阻む12の習慣(性向)」をご紹介します。

 

With MSG

マーシャル・ゴールドスミス博士と

習慣①【自分の成果を主張しない】

女性の皆さんは仕事で何か誉められたとき、どのような反応を返しているでしょうか。

「そんなまだまだお誉めにあずかるような出来ではありません」「●●さんのご指導のおかげです」「いえいえ、私一人ではなくチームの協力があったからです」このような返答をしていませんか。

または昇進の機会や就職の面接でまだチャレンジしたことのないことを「〇〇は出来ますか」と聞かれたとき、何と答えていますか。

「いえ、自信はありませんが、、、、(なんとかやってみます)」「えー、私で大丈夫でしょうか」「ご迷惑かけないように頑張ります」このように懸念を示してはいませんか。

謙虚に答えがちなのは、日本の女性だけに限らないようです。女性はとかく、相手との関係性を大切にします。そこで自分ひとりの成果を主張することを<はしたない>と考える傾向があるようです。「自分のことばかり自慢していると見られるくらいなら、努力を気づいてもらわなくてもいい」と思う人もいるでしょう。というのも、自分を主張しすぎると他の女性たちからも白い目で見られる、嫌われることを分かっているからです。

 

では男性はどうかというと、誉められれば「ありがとうございます」と返し、次のチャンス(昇進や昇給)を暗黙のうちに示唆することをしています。もちろん全ての男性がそうというわけではありませんが、出来る男性はきちんと約束を取ることを忘れません。

また「出来るか?」と尋ねられたことに対しては、やったことがなくても「〇〇の経験があるので任せてください」と伝える人が大半です。男性にとって「出来ない」と弱さを見せることは恥ずかしいことなのです。

 

こうしたケースを上司や顧客の立場から見てください。せっかく誉めているのに「いえチームのおかげです」と言われれば「チーム全員が良かったんだな」と受け取られて本人の功績は薄れてしまいます。もしかすると「まだお誉めにあずかるような出来ではない」というのは本心かも知れませんが、それは自分の基準が高いのであって(女性は完璧主義)、相手が誉めてくれているのだから、良い出来だったはずなのです。

また、依頼者の立場からすれば、本人の実力が分からない段階で「自信がない」と言う人より「任せてください」と言ってくれる人のほうが、安心できるし信頼できます。

そして女性は「迷惑をかけたくない」という気持ちが強いので、懸念や心配を男性より多く表現しがちです。

 

必要以上な謙遜や謙虚は、良いチームを作ることには役立ちますが、自分を認めてもらうためにはプラスにはならないのです。

「ありがとうございます」胸を張って答えましょう!

 

習慣②【自分が「やったことに」はいつかは誰かが気づいてくれて報われるだろう】

 

とはいえ、女性は「良い仕事をしていればきっといつかは認めてもらえて報われる日が来るだろう」と信じる傾向があります。あなたにとって仕事で<報われる>とは何を意味していますか。私はクライアントからよく「必ずしも昇進や昇給ではない、皆の役にたてば」という回答を聞きます。

しかし本当にそうでしょうか。自分の将来。やりたいことや理想とする組織の姿を描いたことがありますか。自分が目指していることを自分自身に確認してみてください。それが明解でないと<報われる>基準も分かりませんね。

 

「一生懸命働いていればそれは尽くしている証拠」そう考える傾向は、個人の人間関係にも言えるかも知れません。

では、ある日、同じように肩を並べて働いている同僚が昇進して、自分は昇進しなかったらどう思うでしょう。がっかりしませんか。やる気を失いませんか。そう、自分のやっていることはPRしないと気付いてはくれないのです。

あなたの会社のどんなに素晴らしい商品でもマーケティングをしてPRしなければ売れないでしょう。

 

自分が何を目指しいているのか、どのような貢献をしているのか、いつ聞かれても明確に答えられる準備を常にしておくこと、それは結局、組織のなかで安心を与え信頼を勝ち取ることに繋がります。関係性を重んじる女性の働きがいも満たせるでしょう。

 

*参考図書「HOW  WOMEN RISE」Sally Helgesen, Marshall Goldsmith 著

(YK)