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Omotenacism for women女性のためのオモテナシズム

価値観を感染させない

2020年3月24日

リッツカールトン桜今、得体の知れないウィルスの大きな脅威に世界中がさらされています。

大げさだと思うかた、不安にさいなまされているかた、皆さんの反応も様々でしょう。

こうしたときに人の価値観や生き方が見えてきます。外へ出かけるな、人と集まるなと言われて突然、いつものルーティンができなくなった人たちはなおさらです。トイレットペーパーを買い占める人もいれば、危険を指摘されているにもかかわらずライブに出かける人、免疫力を高めると言って食べたり遊んだりすることにいそしむ人もいれば困っている人のためにマスクを手作りして寄付する人、新たなビジネスチャンスだとプランを練る人もいます。

どれもそこには不安な気持ちがあるのでしょうが、そこには価値観が見えてきます。

 

私は何か困難なことが自分に起こったとき、いつも頭に浮かぶのは古い映画ですが「風と共に去りぬ」のシーンです。以前にも「風と共に去りぬ」の主人公スカーレットについてはこのコラムで書きましたね。

私が忘れらないシーンは、自分の家のビジネスが破綻すると知ったスカーレットが有力者に借金の申し込みに行くと決めたシーンです。彼女は、交渉へ行くためにはみすぼらしく見えないように新しいドレスが必要だがドレスを作るお金がない、と嘆きます。が、すぐに閃いて部屋のカーテンを引きずり下ろして美しいドレスに仕立ててしまいます。そして交渉は成功。ビジネスの危機は回避されます。

なんてたくましい。美しい女性なのに、なりふり構わず生き抜こうとする姿に圧倒されます。

何が何でも乗り越えよう、と思うときに私にはそのカーテンのドレスが目に浮かびます。「頑張ろう」と奮起するトリガーになっています。

しかし、小説(映画)ではありますが、こうしたスカーレットの激しい行動は、実は本人も気づいていない「家を守りたい」という一つの強烈な価値観に基づいています。

 

価値観とは、自分が大切にしたい「こと」や「もの」です。

オリンピックを人生の目標としているであろうにも関わらず、自ら勇気を持って中止を訴えるスポーツ選手は大切なものが名誉以上に健康であることが明確であるからでしょう。

危機に瀕したときにこそ人の行動にその人の価値観が見えてきます。

 

呑気に見えてもいざというとき、自分が大切なものを守るために非常に利己的になれるのは、女性の特性かも知れない、と言ったら怒られるかも知れませんが、女性は火事場のバカ力を出せる強さがあると思います。

 

現在のように「行きたいところへ自由に行けない」「会いたい人に会いにいけない」という状況の置かれていると、自分にとって何が大切なのかが見えてくるチャンスです。

これだけ言われてもライブに出かけるひとたちは、「健康」より「人と集う」ことが大切なのでしょうか。近くの人に感染させないことより、今年限りのお花見、どちらが大切でしょうか。

きちんと考えておけば、自分の行動の選択が簡単になります。

 

あなたの価値観は何でしょうか。

 価値観     女性が大切にしたいこと
1 貢献 貢献すること・手助けすること
2 成長 もっと知識を得たい・チャレンジがしたい
3 共感 共感できる相手との輪の中にいること
4 信頼 信頼されること
5 自由 自由にやり方を決めらえる・任されること
6 倫理観 ルールや常識を逸脱しない・善意で仕事をしたい
7 承認 努力や成果を認められること
8 完璧 間違えたくない・ベストを尽くしたい
9 自己愛 自分が大切にしていることを侵されたくない
10 金銭 金銭を得ること
11 安定 安心安全が保障されること
12 家庭 家庭・家族を大切にすること

ここに上げているのは12の例であって、人それぞれが持っているものはもっと他にもあるでしょう。例えば「健康」もここにはありませんが、もしかすると今、多くの世界の人の価値観の優先順位に置かれていることでしょう。

価値観は他人が良し悪しを決めることはできません。是非、自分の優先順位をつけてみてください。

マスクを作って寄付をしたいと考えている人は「貢献」が優先順位にあり自分の価値観を実践している人です。

やたらと不安に感じている人は「安定」が脅かされているからでしょう。

自分の不安の原因や気持ちを駆り立てるものが何かを考えると、自分の価値観が見えてきます。

そして、当たり前のことが当たり前でなくなったとき、取るべき行動を考えてみてください。

 

「風と共に去りぬ」にはもう一つ有名なシーンがあります。

全てを失ったスカーレットが「明日はまた明日」(Tomorrow is the another day)とつぶやくシーンです。現在、その明日が不安な世界ですが、明日を作るのは自分自身ですね。

トイレットペーパーをいくら買い占めても安心にはつながりませんよ。価値観まで感染させないようにしてくださいね。

(YK)

 

「風と共に去りぬ」に学ぶ

2019年7月16日

雨の日の散歩私は会社員時代の女性の上司にことあるごとに「あなたはもっと堂々と自分を主張しなさい」と言われていました。

「謙虚なのはあなたの良さだけれどそれでは認められない、負けちゃうわよ」と彼女はもどかしそうにアドバイスをくれるのですが、実は私は内心、彼女が声高に主張し男性管理職をやりこめる姿を「美しくない」と考えていました。

12の習慣の一番目にある「自分の成果を主張しない」という悪癖は、私が「女性は謙虚であるべきだ」という価値感と相反して起きているものだったのです。

 

私のセミナーの参加者のなかにも、「謙虚であるのは日本人の美徳ではないのでしょうか」と疑問を呈する方もいらっしゃいます。

確かに、私自身、「脳ある鷹は爪を隠す」「出る杭は打たれる」というような教訓を親から教え込まれ、それに捉われてあまり自己主張ができないのは、今でも変わりありません。

 

ところで、皆さんは「風と共に去りぬ」という長編小説をご存知ですか。映画で見た方も多いでしょう。

この連休、同著を最近、あらたに翻訳した鴻巣友季子さんが書いた「謎解き『風と共に去りぬ』」を興味深く読みました。

美しく自由奔放でわがまま勝手に生きる主人公スカーレットと献身的で優しいメラニーという女性の対比が米国の南北戦争時代を舞台に印象的に書かれている大ロマンスです。鴻巣氏は、原著を注意深く読むと、実は芯が強く自分の意志を通し周囲をコントロールしているのはメラニーであり、彼女こそ主人公であると言うのです。

わがまま勝手を通しながら実は自分の欠点や弱点に気づきながら怯え「私はこういう人だから」と言い訳し居直っているスカーレットはいつも周囲に起こることから蚊帳の外。地味でおとなしそうなメラニーは信念に基づいて行動を起こしているので常にストーリーの核心部分にいて物語の進行をコントロールしているというのです。

閑話休題。

 

「自分の成果を主張する」というのは、わがままを通したり自慢をすることではありません。

そしてわがままを通そうとする人は、いつかビジネスにおいても蚊帳の外に置かれるでしょう。一方、信念を持って周囲に共感を得ていく人の前には自然と道がひらけます。

「主張をする」ということは、自分が正しい目的のために実現したいことを伝える、または実行したことをきちんと報告するということです。

本来、そこに謙遜や謙虚さが入り込む余地はありません。目標に対して、自分が何を行ってどのようにどのくらい目的を達成できたのか、客観的に示すことができれば良いのです。

自分の主張のために誰かを「やり込めたり」「貶めたり」することではなく、自分は自分のことをきちんと正当に主張することです。(私の上司も信念の人でしたが、なかなか攻撃的でした。もう時効なので許してもらえるでしょう、、)

 

お気づきのように、12の習慣は、それぞれが複雑に影響しあっています。「周囲を気にしすぎる」傾向や「やりすぎる(感情的になる)」が、この冷静に主張するという行為を邪魔したり「反省し過ぎる習慣」が自分を必要以上に謙遜してしまったりするのです。

 

このコントロールに必要なのは、気持ちのバランスです。余裕です。

私も大変苦労しています。が、この連休、雨の日に利害関係の全くない友達と、雨の日の長いウォーキングをしました。雨の音を聴きながら、雨の臭いを感じ道端の花に目をとめたり、ストレスの多い仕事を抱えていたのですが、それだけですっきりよく眠れました。

 

うまく行ったことは自分が頑張った成果として認めてあげましょう。

そしてうまく行かない日は、スカーレットの口癖「明日考えよう」を真似て、考えるのは止めて早くベッドに入って備えるのも手かも知れません。

YK