意思決定は賭けと考える~習慣の克服~
2019年6月2日
このコラムでも紹介した「12の習慣」は、公開セミナーも行っていますが、本当に多くの女性に共感頂くことが出来ました。「全て私の習慣です!」という人もいれば「半分くらい」という方もいますし「全くあてはまらないけど自分の周囲の女性にはあてはまっている!」という声もあり、感想の表現にも「私はこうなんだ」と主張するところが「全てに過剰」(習慣のひとつ)な女性の癖も感じながら(失礼)嬉しく伺っています。
先月、ユーミンの45周年コンサートに行きました。そして彼女の歌の中に「12の習慣」の気持ちが散りばめられていることを発見。ユーミンの歌がこれだけ長く(昭和から!)愛されている要因はたくさんあると思いますが、その一つは多くの女性が彼女の歌詞に「あるある」体験を重ねているからでしょう。
「あなたが本気で見た夢をはぐらかしたのが苦しいの、私を憎んでも覚えてて」→ 反省し過ぎる/全てに過剰
「あなたにふさわしいのは私じゃないって、電話を切ったあとで思い切り泣いた」→ 自分の成果を主張しない/自信がない
「あれからどんな時にも着飾っていたのに~」→ 自分の努力はいつか気づいてもらえて報われる
それでは、仕事の場でこの「あるある」を克服するためにはどうしたら良いのでしょう。今回は「反省し過ぎる」(頭の中で反芻する)女性へのヒントです。
反省する状況というのは、自分が何かを行った結果、あるいは行わなかった結果、うまく行かなかったことを悔やんでいる状態です。
反省をしてしまう人は「あのときああしていたら、ああすれば」と自分の意思決定について「たら・れば」に捉われます。
そんな時に役立つのが「確率思考」の考え方です。
女性ポーカープレイヤーのアニー・デューク氏は、意志決定は自分自身への「賭け」であると言います。
「選択しなかった自分」に「選択した自分」が勝つことに賭けている状態です。
何かを選択するとき、私たちは「未来に手にするもの」に期待しての「賭け」をしていると考えてみてください。
例えば、転職を決意した場合「転職しなかった自分」より「転職した自分」がさらに将来良い状態になれると信じるから選択(賭け)をするのです。
でも、良い状態になっている保証などどこにもないし、その時点では未来に何が起こるのか分かりません。ね、「賭け」でしょう?
だから、起きたことが予想どおりでなくても、それはどうにもならないことだし、自分を責めても仕方ありません。最善の予測をするという努力は出来ますが、それが最善かどうかは結果が出なければ分からないのです。
どんなに努力をしたとしても、最善の予測をしたとしても、確実なことはありません。自分のせいだけではないのです。
結果の原因が100%運であることも100%スキルや知識であることもありません。様々な要因があるのです。
だから「丁か半か」の掛けではなく、何かを選択(自分の行動を含め)については複数の選択肢を考え、その選んだことについて確立を考えておくと良いと、デューク氏は勧めます。
例えば何かを提案するとき「この提案が全て通る」ことを目指すのではなく、「全て通る」確率はどのくらいあるのか、どの程度になる可能性があるのか、通らない場合は何が起きるのか、それぞれの可能性はどのくらいあるのか、事前に考えることで、逆に本質が見えて来ます。
「賭け」と考えれば勝てば満足感という「報酬」が得られますが、負けた場合でもその原因がひとつだけということはめったになく、また自分の能力不足だということもないわけで、客観的に受け止めることができます。
もし「能力不足」「努力不足」が一つの要因であれば、それを補う方法を考えればよいでしょう。次への戦略が立ち、くよくよ考える必要がなくなります。
試しに、令和5年までのあらゆる自分に起こりうることを想定して書き出してみてください。いつも私がお勧めするのは「ビジョン(ありたい自分・なりたい自分)」ですが、ビジョンはもちろん、ビジョンが実現しなかった場合も含めての全ての可能性です。
書き出してみるとそんなに良いことばかりではないのではありませんか。良い予測ばかりだとしたら楽観的過ぎるかも知れません。私は、書き出してみると、もしアクションを起こさないとまずいぞ、ということが予想以上に多いことに気づきました。
一方、書き出したことで思い通りにならないことがあっても想定内であれば対処可能だとも考えることが出来ました。
再びユーミンの「青いエアメール」という歌に「選ばなかったから失うのだと、悲しい想いが胸を貫く」というフレーズがあります。
そう選ばなければ失う、選ばなかったのは自分の責任、だけれど賭けだから「負けるのもあり」でしょう。そして選ばなかったから、得たものだってあるはずです。
だから反省し過ぎないでくださいね。自信を失うもとですから。
参考; 「確率思考」 アニー・デューク著 日経BP社
(YK)