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Columnコラム

CAが笑顔なわけ

2018年6月10日

3-2 CAjpg何故、日本人はCAが好きなのでしょう?

乗り物に乗るとテンションが上がる人は多いと思いますが、特に飛行機はわくわくします。

そして女性の私であってもCAの様子は気になってしまい、優しい微笑みで挨拶をされるとテンションはさらに高まり、逆に不愛想なCAに出会ったりするとがっかりします。

レストランやブティックではそんな状況な起こりません。

狭い空間で一定の時間に座っていれば、否応なしに目に入る対象がCAだからなのかも知れません。

航空会社が提供するサービスで一番大切なことは、安全運航ですが、安全は目に見えません。だから、どうしてもサービスする人に目が行きその良し悪しで航空会社の質を判断してしまいがちです。

 

実際、日本の航空会社のサービスの質は素晴らしいと感じます。

特に国内線では、サービスするものがドリンクや毛布くらいでそう多くはないので、ひとつひとつにそれは丁寧に心を込めています。

そして何より美しい口角のあがったスマイル。これは早々、真似は出来ません。

何故あのように笑顔でいられるのでしょう。CAになる人はやはり選ばれているからでしょうか。

それも答えのひとつではあるでしょう。

選考の過程で、未だに憧れる女性が多く応募してくるので、その中から選りすぐりの「笑顔」がきれいでホスピタリティがありそうな人材が採用されているのかも知れません。

そして長く厳しいトレーニング期間があることも事実です。会社によって異なりますが、これは内外に関わらず、どの業界のどの職業と比較してもCAの訓練期間は長いのではないでしょうか。

しかし、CAが実践している常にとびきりの笑顔と気配りは(もちろんたまに例外もいますが・・・)、採用とトレーニングだけで作られるのでしょうか。

 

もう一つの大きな理由は「刷り込み」にあると私は考えています。別の言い方をすれば、周囲からの期待とその期待へ応えようとすることでそうなってしまっている状態です。

CAの面接に行くと、まだCAになってもいないのにCAのような美しい笑顔と周囲への気配りを示す学生で溢れています。CAになるためのスクールに行っても、もうCAなのかと思うような人がたくさんいます。

そして選考試験を経てCAとしてトレーニングが始まると、トレーニング期間、何をしていても「笑顔」と言われ続けます。

無事にトレーニングを終えて、フライトを始めると「CAなんだからきっと感じが良いに違いない」という目で周囲は見ますし、自分もその期待に応えようと常に笑顔でいるようになります。

前述のように、お客様からも期待のまなざしがあるわけなので、期待に応えようと満面の笑みが浮かんでくるのです。フライト中だけではなく、プライベートにおいても「あの人CAなんだって」と言われるので、やはり「笑顔が期待されているのかな」と自然に笑顔になる。

いつしか、それはとても自然に自分に身について、どのようなときでもにこやかにいることが出来るようになるのでしょう。

そして、もっとも重要なことは、自分が笑顔でいると笑顔が返ってきたりお客様が喜んでくれたりするので、言葉で褒められなくても心地よいことに気づくようになるのです。

そうなると笑顔でいることが全く苦ではなく、ずーっと続けられるようになるのです。

 

私どもも「CAのような笑顔でいつもいて欲しい」と研修のご相談を受けることがあります。

もちろん、笑顔の練習の仕方はあります。「ラッキー・クッキー・ハッピー」など口角を上げて見たり色々と工夫をするのですが、どうしても一過性になりがちです。

研修が終わってもスマイルが身について、口角があがってにこやかな表情が形状記憶されるには、CAのケースで考えてみると、解決方法が少し見えてきそうです。

 

社員に「私は笑顔でいたい」「笑顔が期待されている」そう刷り込みをさせること。

航空会社以外でも突出した笑顔やホスピタリティが実現できている企業を見ると「私たちの会社はこういうサービスです」ということを宣言出来るくらい、イメージで明確にしています。

競争の激しい業界ほど、具体的な社員像を描いています。

それにより、お客様が選びやすく応援しやすいという効果もあります。

 

「顧客満足を第一に考える」とか「いきいきと働こう」というような、かっこはいいけれど抽象的な表現で社員像を表している会社はよくありますが、それが具体的にどういう人なのか、目に見えるように伝えないと社員は行動できません。

顧客満足を第一に考える人ってどういう人?うん、やっぱり笑顔だよね、と言って笑顔の練習をしても身にはつきません。

うちの会社はとにかく笑顔だ!と社長が言い切ってしまうくらい明確であることが重要でしょう。

そして内外に社員のイメージを刷り込んでいく。

 

企業のイメージを作るのは社員一人一人です。

いわば、社員全員がいつでも誰にでも笑顔でいることのほうが、大きな新聞広告を打つよりも効果があるかも知れません。

全員をCAなみの笑顔に出来たら、かなり企業の株も上がるでしょう。

 

会社のビジョンを掲げていても社員の行動や表情にまで落とし込んでいないとしたら、まずはそこからです。

笑顔への道は長く根気が必要ですが、社員にもお客様にも絶大な効果があるはずです。

(YK)