品格は顔に出る
2019年6月9日
ビジネスのパーティや交流会で、初対面で名刺交換をするといきなり自分が何をしているのか一生懸命アピールしてくる、そしてこちらについて知って自分にあまりメリットがなさそうだとすると、すっと離れていく。そういう人いますよね。
何かしら自分が得ることを期待して参加しているのだから、無駄な人とは話したくないと思っているのでしょう。
でもそんな態度の人は、誰であっても好印象を持ってもらうことが出来るでしょうか。
「相手に好印象を与えたいなら、自分のすごさをひけらかす必要はない。相手に感銘を与える最も効果的な方法は、自分が相手に感銘を受けたことを伝えることだ」
心理カウンセラーのレス・ギブリン氏は「人望が集まる人の考え方」で初対面で犯す失敗に自分を「すごい」と思ってもらいたいばかりに相手を認めない傾向を指摘しています。
自分だけでなく、人は誰でも自分を認めてもらいたい承認欲求を持っています。
自分の話を聞いて共感し受け入れてくれる相手は、良い人だと誰でも感じます。良い人だと感じてもらえれば、もしかすると直接的なビジネス関係は自分とはなくても、他の人と繋げようという気持ちに人はなるものです。
人の価値を自分にメリットがあるかどうかで判断する、自分に得かどうかだかだけで見ている人は、顔つきまでギラギラしています。
世界で最強の富と力を持っている大統領が、日本の皇室や英国のロイヤルファミリーと並んだとき、それは歴然と表れていましたね。
品格とは、家柄や育ちだけではない、人に対する尊敬の念を持つ姿勢の表れではないでしょうか。
(YK)
タグ :おもてなしマインドを育てるビジネスパーソンの品格、人望が集まる人の考え方ビジネスパーティでのふるまいかた傾聴力と質問力共感と承認のリーダーシップ初対面の作法承認欲求を満たす
謙虚さを学ぶ
2019年5月29日
茶道のお稽古にきちんと通い始めて一年。
大きな発見がありました。
どこの流派でも、先生でもそうだと思いますが、お稽古にはテキストがあるわけではなくただただ、ひたすら、先生や先輩の所作を見て覚えて真似る。
割り稽古と言って、部分の所作は先輩が教えてくれますが、それも何度も何度も所作を繰り返す。そこにあまり理屈や理論は入りません。
そして、真剣に見て真似ても、次のお稽古には忘れてしまって、また真剣に他の人の所作を見て真似る。
大変な集中が必要。マインドフルになれる時間です。
書店へ行けば、茶道の手順を写真入りで示した本はいくらでもありますが、それを見たところでそして事前に練習をいくらしたとことろで、お稽古の場に行くとそのとおりにはふるまえません。所作には、事前練習や小手先の練習は通用しない。
日頃、すぐ検索して調べたり知識の蓄積に走る私には、これは困ったこと。
だから、お茶のお稽古の場では、少しでも先に初めた先輩の動きに大いに関心して見入ってしまい、できない自分に「はー」とため息が出ます。
この「出来ない自分」に真っ向から気が付くところがとても清々しい。
そしてお稽古仲間が普段何をしているかなんてことに興味はなく、たたただ美しい振舞いの出来る人に憧れてしまいます。
ある程度年齢を重ねている人はそうだと思うのですが、普段、仕事はもちろん、趣味においてもある程度自分が出来ることであったり得意なことに取り組んでいることが多いなかで、お茶のお稽古では「私ってなんて未熟なんだろう」とつくづく思い、この先どれだけやれば上手になるのか皆目見当もつかない世界です。
頭で考えることが通用しないけれど、自然に手が覚えていたりすると嬉しいし、謙虚な気持ちになります。
「美味しいお茶を飲むことが目的なのよ」と先生はおっしゃってくれますが、その美味しいお茶の背景には美しい所作、相手への気遣いを示す仕草があり、努力と鍛錬が大切なんですね。
(YK)
タグ :先輩の真似をする美しい所作習うよりなれろ茶道のお稽古謙虚であること頭で考えるより体で覚える
年齢の話とダイバーシティ
2019年4月24日
「私、いくつに見えますか」たまたま、最近、初対面の男性にこの同じ質問を続けてされました。さて、困りました。60代に見えるけれど、きっと年齢より若いということを言って欲しいのだから、もう少し下に言おうかしら。答に屈してしまいます。
結局、見える年齢よりさらに若い年齢を答え、つまり相手の意図にはまることになり「わー、お若いですね!」ということで盛り上がり尋ねた本人自身だけが満足です。
他人に忖度を強いて相手を当惑させる質問、いかがなものでしょうか。
またよく起こるケースで、出身大学が一緒であったことが判明すると、どちらが先輩か後輩かを明らかにしたがる人がいます。であれば「私は○○年卒業です」と言っていただければ、素直にこちらも「では私は●●年です」と言えるのですが、「僕が後輩かな・・・」と言われるとかなり微妙な気持ちになります。
誰でも自分は若いと思っているので、白髪頭だったり髪が薄くなった男性に後輩です、と言われるとそうだろうなあ、と思いつつ寂しい気持ちになるのは私だけでしょうか(笑)
また「●●と同じくらいかな」とかなり私より年上の女優さんの名前を言われて落ち込んだことも・・・・(笑)
そもそも、何故日本人は年齢の話をするのでしょう。外国人はめったに相手の年齢を聞くことはありません。というのも聞く必要がないからではないでしょうか。
最初の自己紹介で、25才と言われても55才と言われても楽しく話をするのに必要がない気がします。むしろ、若い人に向かって年齢を尋ねたとしたら、若さを馬鹿にしていると傷つくかも知れません。
いえいえ、日本人は年上や先輩を敬うことを大切にしているので、年齢や役職が気になるのだ、という説もあります。
では年下だと思ったら後輩だったら、言葉遣いや態度が変わってもいいのでしょうか。
最近、こういう経験もありました。私の職業をビジネスコーチと名乗ると「へえ、どんな分野でやっているの?」といきなりの質問。フレンドリーに話したいというアプローチは理解出来たのですが、他人に物を尋ねる言葉遣いを知らないことに驚きました。ちなみに相手は、私より20才は年下の女性です。心の中にいきなり土足で踏み込まれたと感じさせない言葉遣いやマナーはいつの時代もどこの国の言葉でも必要です。
一方、ひるむこともなく、媚びることもなく、自分の考えを堂々と述べて、こちらの話にも耳を傾ける20代の人がたくさんいることにも驚いています。そうした若者は、自分の頭で考え、自分の言葉で伝えさらに成長しようとしているから、相手の話にも耳を傾けることが出来るのでしょう。清々しい気持ちになります。
「ダイバーシティ」や「インクルージョン」という言葉が盛んに取り上げられた平成は、個を大切にする、違いを尊重することに気づいた時代でした。
令和は、まさに名前のとおり、個が調和していく時代になることを大いに期待しています。
だからこそ、様々な「個」が融合するために言葉や態度は大切なルールです。
そして、日本人は、年齢や肩書を離れて自分を語ること、相手を尊重するための会話のセンスを年代問わずもっともっと磨いていく必要があると感じています。
(YK)
タグ :インクルージョンコミュニケーション力を磨こうパーティの会話のマナー平成から令和へ年齢の話は失礼か敬語の使い方
心を見せる、心の作法
2019年4月7日
毎年4月になると、新入社員研修でたくさんの新人にお会いします。私にもそんな時代があったと懐かしくなります。
そして、なんとこの春は、航空会社時代の同期2人と仕事をすることに!
香港の航空会社に入社するために、家族や友達と名残を惜しんで涙ながらに成田から出発した私たちが、新入社員を一緒に指導する日がくるとは思いもよりませんでした。
そして同期だから楽しく息もぴったり!
私たちの同期は、日本人9名のほか、韓国人、シンガポール人、香港人と20名足らずで、訓練は全て英語のみで行われました。最初に聞かされたルールが「Speak English only!」(英語だけで話しなさい)
半数が日本人を占めていましたが日本人同士でも日本語はだめ。その理由は、「他の人が分からない言葉で話すのは失礼だから」ということでした。
異国での生活やトレーニングは厳しいものですが、一番、守るのが難しかったのがこのルール。でもすぐに慣れて、日本人同士でも日本語が分からない人がいることに気づけばすぐに英語にスイッチ出来るようになりました。
そして、この習慣は今もに身についています。その場に居合わせた人が不快な思いをしない、仲間外れにしない、考えてみればこれは「おもてなし」の基本。ダイバーシティの基本。そして「いじめ」の起きないためのベースになる考え方。とても大切なことを教わったと思います。
日本人ばかりの社会では分かりにくいことが、言葉が通じない、文化が違う、自分がマイノリティであることを経験出来たことで、この配慮は身に着きました。
言葉だけではなく宗教も習慣も違う。イスラム教徒のクラスメイトは社員食堂で口にすることが出来ない物がありましたし、機内訓練で教わったスペシャルミール(特別食)の種類の多さにも驚きました。
イスラム教徒用、ヒンズー教徒用、菜食主義者用、牛肉なし、豚肉なし、卵なし、ユダヤ教徒用、糖質制限食、などなどあらゆる宗教や体質や嗜好に合わせた食事の数々を覚えなければならず、そこからまた宗教や習慣の違いに気づいたものです。おかげで、一緒に食事をする人が、食べられるものがあるかどうかレストラン選びでも考えるようになりました。
日本ではまだまだ、日本人が「常識」と考えることで成り立っているところも多いでしょう。自分とは異なっても上の人の行動や嗜好には黙って従う。空気を読むのは、人間関係を円滑に進める上ではとっても大切なことなのですが、そればかりがマナーと考えてしまっては危険です。
どこの組織においても、もはや日本人だけでは回らなくなっている時代。そして日本人もそれぞれの価値観が異なり、尊重することが大切だと気付くようになった時代では、マナーというのは、心の作法ではないでしょうか。
名刺交換やお辞儀の角度はプロフェッショナルとして「心」を見せるマナー。さらに、もっともっと一人一人の価値観の違いに配慮する心の作法も身に付けましょう。
明日からも、一味違う新入社員研修を目指して頑張ります。
(YK)
タグ :Speak Englishダイバーシティ同期の絆新入社員研修で思うこと相手への配慮
ポテトチップスの話題で何分話せますか?
2019年2月3日
先日、行きつけの美容室でシャンプーをしてくれるアシスタントの女性の「私、ポテトチップスが大好きで昨夜も一袋食べちゃったんです」と言う一言で、おおいに話が盛り上がりました。
美容室では話かけられたくないというときもありますが、とっても話が弾んで楽しい会話が出来る人であれば、他愛のないおしゃべりで良い気持ちになりたいときもあります。それは、こちらの気分もあるけれど、相手によってということもあるのではないでしょうか。お話が上手な人、気が合う人とは話が続きます。
しかし、実は、友達ではない人に対して、「気が合うなあ」と感じさせるのもテクニックの一つなのではないでしょうか。
「ポテトチップスが好きで・・・」と話し始めた彼女。かわいいスリムなボディからは想定外の食欲の開示がありました。そして好きなポテトチップスのこだわりへと続き、ポテトチップスと合う飲み物はという話題に発展し。。。私がポテトチップスを好きでなかったらそこまで盛り上がりませんが、でもきっと彼女ならポテトチップスがダメなら私が反応しそうな他の話題へ発展させたでしょう。
その後、担当スタイリストに代わって、彼は今度はスナック菓子では何が好きかという話題に発展させ、今度は彼がジャンクフードが大好きだという開示をして、そこからまた話が健康と美容に発展。笑っているうちにヘアは完璧に終了。
特に何か有意義な話だというわけではありません。でも楽しかった。
彼女の会話力はすごいなあ、と思いながら帰りにはポテトチップスを買って帰りました(笑)
一方、先日見たテレビドラマで、宅配を届けてくれる人とおしゃべりをしている女性を同僚が「他に話し相手がいないのだろう」と嘲笑するシーンがありました。
えー、ねぎらいを含んだ声かけやおしゃべりをそんな風に今は見る人がいるのか、とびっくりしました。
美容室の彼女は寂しい人には見えませんでした。では私が寂しい人と見えたのでしょうか。。。だからおしゃべりをしてくれた?
そんな見方をする人がいるとしたら、道理で、企業の営業研修でもお客様と話が続かない参加者が多いわけです。
ここで重要なのは、お客様と気持ちを共有するいうことなのです。
黙っていて欲しい人には黙っていてあげるのも気持ちの共有です。そこを本当に察せるかどうかは大切です。察せない人も多いです。
しかし、そこを察することもなく、「黙っていよう」という姿勢の人のほうがもっと多い気がします。
どんな人でも他愛のないおしゃべりから「楽しかったなあ」「あの子感じがいいなあ」と思えばまた会いたくなるし、距離感も縮まります。その加減を図れるのがおもてなしの達人です。
私は次回は、お気に入りのポテトチップスを持って彼女に会いに行きたいなあと思います。
そういうお客様が増えると何が起こるでしょう。
売り上げが上がるなんて単純なことではなくて、自分に会いに来てくれる人が増える、自分の存在が承認されるわけです。
SNSのいいね、も欲しいけど、やっぱりリアルな自分のファンがいるって、何より素敵なことですよね。
(YK)
タグ :おもてなし力のある人ポテトチップスが好き会話力無駄話の効力美容室のおしゃべり
大吉のみで行きましょう!
2019年1月6日
新年早々、おみくじを引いたら末吉。
願望 破れる恐れあり、待ち人 来ず、失せ物 出にくい、商売 思いがけず損あり、、、、
甘言に迷わず、誘惑に負けず心強く迷わず生きれば神様は救ってくださる、と書いてはあるものの、全然、フォローにはなりません。
今年こそは!と前向きだった思いに水を差されたような私に、「そんなこと気にするなら引き直せば」と友人の一言。
翌日別の神社で引いたら大吉が出て、気持ちはいっきに明るくなりました。日頃信心深いわけでもないのに、なんて単純な私でしょう(笑)
しかし、それくらい言葉の力は強いのですよね。言霊、というくらいです。まだ起きてもいないことが、なんだか神様に言われると本当のような気がしてしまい、見透かされたような気持ちにもなるのは私だけではないでしょう。
とすると、職場ではどうでしょう。神様ではなくても、上司や同僚の一言に自信ややる気を揺さぶられてしまっている人もいるかも知れません。
何気なく言った一言が、自分が気づかないうちに他人のモーチベーションをいっきに下げたり上げたりしてしまう。
人間関係だったらおみくじの引き直しは出来ないわけで、一度発せられた言葉は取り消すことは出来ません。
そもそも将来に起こる良いことも悪いことも、確率で考えたら完全に100%に偏ることもないわけで、ダメだと思っていたことが出来ると「まぐれ」や「運が良かった」ことになり、出来ると思っていたことを失敗すると「努力不足」「技量不足」にしてしまっていませんか。
「当たるも八卦、当たらぬも八卦」とビジネスは占いではありませんが、いずれにしても確実なんてどこにもないのであれば、人のモーチベーションを下げないことこそ当たる確率を上げる手段かも。
「今年はきっと成功するよ!」「今年は大活躍ですね、きっと」そんなポジティブな言葉で新年の職場は始めてはいかがでしょう。
職場に限らず、友達同士、家族の間でも気前よく「大吉」をひかせてあげると、自分に「吉」が返りますよ。
(YK)
タグ :おみくじ上司の言葉がモーチベーションを上げる大吉確率思考
あなたのハートに火をつけて~
2018年12月29日
戌年も終わり。お疲れ様でした。
2018年は異なる業種の企業から営業系の社員の「社員の印象をよくしたい!」というご依頼が多くありました。
お話を伺うと、第一印象がよい、感じがいい、会社の雰囲気がよくなるような笑顔の社員を増やしたいというご要望です。
CAのように通路を歩いているだけでもにこやかで話しかけたくなる人、そんなイメージなのでしょう。
それには、どのような研修が効果的だと思いますか。
笑顔の練習?立ち居振る舞い?お辞儀の仕方?
皆さんも多かれ少なかれ、新入社員研修などでご経験あるでしょう。
あらためてやってみると、きちんとできている人は多いのです。
ただそれは研修の場では、という条件で日々の仕事においては実践出来ていないようです。
つまり定着していないということ?
忘れてしまうのでしょうか?
長年、研修をやっている経験から、そして自分自身が接客をしていた経験から、実は「感じがいい」人でいるためには、仕事の環境と関係性が何より大切であるとオモテナシズムの私たちは知っています。
明るく晴れ晴れとした気持ちで会社に行っても不機嫌な上司が一人いただけで笑顔は曇りませんか。
にっこり笑ったのに笑顔が返らなければ、次からは真顔になりませんか。
楽しくない仕事だったら、事務的になってしまいませんか。
そんなことはどなたもご存じですよね。
そのうえで、「どんな環境でもにこやかに感じよくあっていて欲しい。それがプロフェッショナルだ」と思いがちな私たち。
そうかも知れません。
しかし、ここが重要です。
そうだとすればプロフェッショナルは、自分で自分の心に火をつける努力をしているのです。
「自分の心に火をつける」これを発見させることが「感じの良い社員」や「業績をあげる社員」を作るために一番、早い方法なのです。
ハートに火をつける!どのような方法でしょう。
まずは「社員を承認すること」です。つまり「誉めてあげること」「良い点を見付けてあげること」「チャンスをあげること」
上司に承認されなてくても、日々お客様に感謝の言葉をもらったり、お客様の嬉しい顔を見る機会がある人たちは常に「感じがいい人」でいることが出来ます。
これもまた「なんだ。そんなこと、やっているよ」と言われそうです。「いや弊社は結構、関係がいいのでね。皆喜んで働いているし」というような声も聞こえてきます。
本当にそうですか。
周囲の人の笑顔はあなた自身の「感じの良さ」のバロメーター。
感じの良い社員を作るには、感じの良い上司になること。
そのために、相手に関心を持ち、承認を怠らないこと。
それはプライベートな関係でも同じです。
2019年もご機嫌な笑顔で過ごしたいと思います。
どうぞ良いお年を!
(YK)
タグ :印象向上感じがいい社員承認欲求を満たす笑顔は一日にならず第一印象を向上させるには
過剰個人情報?の影響
2018年10月14日
私の周囲にはサービス業や営業の仕事をしている人が多いので、概して皆、愛想がよくおしゃべりです。
ほとんどが沈黙に耐えられないタイプで、私もその一人です。
そこに加えて、年齢があがるとさらに図々しくなってきて、何かと他人に声をかけたくなるのを抑えています(笑)
マンションのエレベーターに子供が乗り合わせると「塾の帰り?遅いね~」だとか高齢者がいると「寒くなりましたね」だとか声をかけずにはいられません。
なぜかというと、その方が場が和むし楽しいと思うからです。
が、そう思わない人のほうが最近は多いようです。
企業に伺うと、接客販売を仕事としているにもかかわらずお客様との会話が弾まないという相談をよく受けます。そして、実際に私自身もショッピングやサービスを受ける立場になると、雑談が皆さん上手ではないなあ、と感じます。
訊いてみると、お客様に商品を販売するのに、今使用しているも商品について、根掘り葉掘り尋ねるのは失礼であるとか、「肌の色にお似合いです」と言う誉め言葉が肌の色を指摘し過ぎて嫌がられるのではないだろうか、などという心配が先だって、お話が出来ないようなのです。
最近、過剰コンプラ(コンプライアンスに過剰に反応しすぎていること)という言葉があるようですが、もしかしたらこれは「過剰個人情報」が原因にあるのかも知れません。
びっくり!です。
そんなことを考えていたら、初対面の人との会話などできないし、販売員が目の前に人がいるのに商品のことしか話せないのであれば、ネットで購入するのとなんら変わりはありません。
もちろん、話好きな私も美容室や整体で、うっとりリラックスしているときにあれこれ話しかけられて「うるさいなあ、面倒だなあ」と思うことはたまにあります。しかし、それは、相手がこちらの空気を読んでいなかったり、話題が適切でないときであって、話しかけられること自体を拒否しているわけではありません。
あ、それですね、もう一つの原因は。「空気を読む」とか「話題が適切かどうか」が分からないから、話かけられないという人もいるでしょう。
では、そこはどうしたら良いのでしょう。
残念ながらセンスの問題です。ファッションと同じ。場数を踏んで、他人から怒られたり褒められたりしながら、センスは磨いていって欲しいものです。
人と人とのコミュニケーションは、一生付きまとうものですから、逃げないで鍛えて行きましょう。
(YK)
タグ :おしゃべりが苦手おもてなしは会話コーチングコミュニケーションを磨く個人情報雑談下手
会議中に飴なめてもいいですか?
2018年10月4日
昨夜、ニュースである地方市議会で風邪をひいている女性市議が喉飴を舐めながら答弁したことを注意されて、謝罪しなかったので退室を命ぜられたことが報じられました。
そしてこの出来事はイギリスの新聞が取り上げて、イギリスで「日本は融通が利かない古い縦社会だ」「日本人は丁寧で親切だけど、他人に気を使って抑圧されている」と話題になっているということでした。
イギリス議会でメイ首相が咳き込んだ時に外相がすかさず喉飴を差し出すシーンまで映し出していてお国柄を比較していました。
さて、私は仕事柄色々な企業にお邪魔します。そしてその風土は様々です。
議会でも会議でもない研修の場ですから、少し状況は異なるかも知れませんが根底の考え方には共通するものはあります。
先月伺った企業は好対照でした。外資系の企業は、お茶とスイーツが用意されていて、自由に飲んだり食べたりしながら頭を柔らかくして受講しましょう、という人事部長の考え方でした。お昼にはかわいいランチボックスが用意されていました。
一方、もう一社は、休憩が終わるたびに「起立・礼」の号令がかかかり、水分補給は許されているものの飲食は禁止です。非常に礼儀正しい研修態度でした。
講師の私は、常に顧客先の方針に従います。
キャンディやスイーツを用意しているところでは、「食べながらリラックスしてディスカッションしましょう」と指示します。
禁止のところでは、若い社員であれば注意すら促しますし、けじめはちゃんとしましょうね、と開始のたびごとお辞儀は促します。
何故なら、研修の場でそのようなルールであるということは、会議や他のケースでも同じ態度を社員に求めていると想像されるからです
そして、注意を促すのは(よほど目につく場合ですが)、講師としての立場から顧客にそうすることを期待されていることを承知しているからです。
では、私自身はどちらが適切であると考えているかというと、前者の自由な雰囲気です。
研修は訓練ではないと考えているので、物事を考えたり日常とは違う空間では、口を動かして自由なほうがアイデアは浮かぶし知識の吸収も高まるからです。
私自身はずっと外資系の企業に勤務していたので、研修と言えば朝からコーヒーとクッキーが用意されている、というような設定がふつうでした。
キャンディとお水は必需品です。
おもてなしで重要な「しつらえ」。どのような環境でどのように行うか。研修の成功もかかっています。
そういえばもうひとつ「よそおい」もそうです。研修のときは、「ビジネスカジュアルで良い」というのが私のかつていた会社では通例でした。またファッションを扱う会社では思い切りファッショナブルに装って参加する、という習慣もありました。
いずれもモーチベーションを高める工夫です。
私自身が主催する研修であれば、思い切り私の思う「おもてなし」を研修の場にも持ち込みます。
いや、考えてみれば、これは私のダブルスタンダードですね。
相手先によって自分の考えを曲げているのですから。
しかし、残念ながら企業の研修を担当させていただいても、そこまでアドバイスをさせていただけることはめったにありません。
聞かれない限り、顧客企業には予算もありますから、いつもの狭い会議室でやりたい、と言われれば「そこでやりましょう」と言いますし、準備が完璧でなくても何も言えません。
しかし、本当に研修に投資をし社員に100%吸収をしてもらいたいなら、環境や雰囲気の設定へのこだわりは重要です。
それこそが社員に向けてのメッセージだからです。
さて、冒頭の会議の喉飴の話。私は女性市議を擁護したい。
女性市議に寄ってたかって年配の男性議員が謝罪を迫る、美しいシーンではありません。
しかし、ここは保守的な組織。どんな状況であったのかは分かりませんが、やっぱり許可を取ることは必要であったのではないかと推測しています。
「喉が痛いので飴をなめてもよろしいでしょうか」くらいは先に尋ねるくらいはあっても良かったのでは。
いずれにせよ、どんな組織でありたいのか、「しつらえ」「ふるまい」「よそおい」はメッセージです。
風土改革はそこからですが、長い時間がかかりそうな組織が日本には多そうです。
(YK)
タグ :会議中飴をなめてはいけないのか研修はリラックスするほうが受講効果が上がる起立礼風土改革
球場のビールの売り子さん
2018年8月12日
球場のビールの売り子さんの笑顔、素晴らしいですね。
仕事柄、どこへ行っても接客をする人たちをじっと見てしまう私は、先日、久しぶりの横浜スタジアムでビールの売り子さんたちに魅せられました。
酷暑の中たどり着いた席で、一番最初に手に入れたいのは冷たいビール。
荷物を置くとすぐに視線はビールの売り子を探します。ゲームが始まる前は、もう大勢の売り子さんたちが出ていますが、欲しい人も多いわけで視線のキャッチボールとなります。そんな時、すぐにこちらが目に着く人、そしてこちらの視線を受け止めてくれる人は、決まって満面の笑みで視線が上に向いています。
にっこり視線を受け止めて、近づいてくるまでの間、女性の私でもビール待ち遠しさもあるけれどなんだかドキドキ。
そばに横向きで膝まづくと、お金を取り出すのにもたついているこちらを後目に手際よく人数分のビールを注いていき、全員分終わるころにはこちらのお支払いの準備も出来ているから、受け取るとにっこり。プロフェッショナルだなあ、と感心。あんな重たい物を背負いながら汗をかきながら、華やかな笑顔でいられるのはあっぱれです。
彼女たちの接客については、色々なTVや雑誌などでも取り上げられていますからご存じの方も多いでしょう。
笑顔でお客様との関係を瞬時に構築すること、何より楽しんで働くことが成果につながると、彼女たちは認識しているそうです。
今回私は観察して「笑顔」以上に彼女たちの第一印象を決めているのは「アイコンタクト」だと感じました。
大勢の人の中に入る場合、「笑顔」より「いかに相手の視線を捕えようとしているか」のほうがこちらへのアピールを感じます。
売り子さんの中には、疲れてしまっているのか下を向いてしまっている人、一人のお客様が終わるとそのまま通路を下ってしまう人、など視線を合わせようとしていない人もいます。
人と人との出会いは、まず目が合ってそこから笑顔になって「感じがいいな」ということになるのですから、目が合わなくては関係は始まりません。
そしてビールを探していて、そこら中に売り子はいるのに、誰も気づいてくれない悲しさ、やっと気が付いてにっこりしてくれたときの嬉しさ。最初に「気づく」ということから第一印象は始まります。
そしてやっと探して気づいてもらってから「笑顔」で接客されるよりは、「笑顔」で探してもらえてからの接客のほうが数倍テンションは上がります。
笑顔では間違いなく評価の高いCAとの共通点を考えてみましょう。
どちらも大勢の席に着いたままのお客様を相手に通路を行き来しています。
CAは物は売らないけれど、様々な要望を抱えているお客様を相手にしています。感じが良いCAはどのお客様にも目を合わせようとしています。呼ばれてから笑顔で応えてもそれは当たり前のこと。「目を合わようとしている」ことは、「何か御用はありませんか」という積極的な意思表示です。大勢いるのに一人一人の顔を見てくれているというのは、一人一人をお客様として認識している証拠です。
そして座席についているお客様は、無意識に通路を行き交うCAを比較していますよね。
「『キ●●』は好きではないけど感じがいいから頼んじゃおう」なんてことも起きる、野球場のビールの売り子さんと似ていますね。
考えてみてください。目が合わなければサービスは始まりません。
目と目があったら恋の始まり、だけではなく、ビジネスの始まり!
しかし、これは日本人が苦手とすることですね。
夏休み、色々な場所へ出掛ける方、是非、アイコンタクトの練習してみましょう。
サービスをする側でなく受ける側であっても、恋かも知れないしビジネスかも知れないし、きっとわくわくすることがあるかも知れません。
(YK)
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