和食の現地化に大切なことは?
2017年3月19日
今や和食は世界で注目されるもっとも人気のある食事のひとつ。
食の香港でも17000軒ある飲食店の7.8%が日本食レストランだそうです。
香港で今、話題の和食レストラン「URA」を経営する
Hudson Changさんにお話を伺いました。
Hudsonさんのファミリーは元々インドネシア華僑でインドネシアレストランを経営しているそうですが、
日本を訪問したり日本人と知り合いになるうちに
香港で、日式(日本式のローカルな料理)ではなく、本格的な和食を香港人が好む形で提供したいと
URAを始めたそうです。
コンセプトは居酒屋。
お酒も飲めて色々な物も選べてということだそうですが、
ランチメニューでもHK$100~HK$300(1400円から4200円)
中々、香港では高級店です。
ターゲット顧客は店舗がある、セントラル地区(日本で言えば丸の内)のハイエンドを
狙っているそうです。
セレブリティが来るとパーティションで個室になるような仕組みもされています。
彼が香港の飲食ビジネスで重要だと思うことは3つ。
1に品質。食材は大阪の魚市場から空輸されているとのこと。
2にクリエイティブ。こんなの食べたことない!というような驚き。
3つ目が現地に合わせたフレキシビリティだそうです。
例えば、日本人と中国人のおもてなしへの考え方の違い。
日本は「おまかせ」というと、シェフの出してくれたとおりに黙って食べる。
シェフとお客様は同等です。
それが、中国人であったら、「おまかせ」を頼みながら「でも僕はそれはもっと焼いて欲しい」とか「ワサビじゃなくて生姜にして欲しい」
などと、必ず注文を付けるそうです。
そして、常に自分はお客なのだから、そのとおりに料理をして当然と思っているのが
中国人だそうです。
これを、良い、悪い、だとか、無知だとかで判断してしまうのではなく
文化の違いとして受け止めて、一流の和食を香港人が喜ぶように提供することが
香港で成功する秘訣だと彼は考えています。
Hudsonさんは日本の食の歴史を勉強すると、
日本が海外から様々な影響を受けて、色々な食事を生み出して来たことを知ったそうです。
ラーメン、カレー、餃子、天ぷらなど、皆、外国の食を日本式に変化させたものです。
Hudsonさんも本格的な和食でありながら、
香港の人の好みにあう物を生み出して行こうとしています。
明太子トーストやウニカルボナーラうどんなどがその例です。
一方、彼も既存の日本の有名チェーン店を香港に持ってこようとしています。
中国人は抹茶が大好きということで、
かれは、京都茶店「辻利」のスイーツやお茶を扱う店舗をオープンさせています。
今、とにかく日本食は香港で大人気。
ほとんどのショッピングモールが、9割がたを日本食レストランに招致したいと考えているそうです。
だからこそ、ロケーション選定は重要です。
スピード感のある香港では、トライ&エラーで、まずは試してみるという勢いでビジネスが
展開しています。
今回の滞在で、和食をビジネスチャンスとして見ている起業家に多く会いました。
本家本元の日本人も負けていられませんね。
(YK)