質問を変えて意見を引き出す!
2024年9月13日
批判されるのを怖がり発言をしない、会議では黙っている人が多い
という話は今も昔もよく組織の問題点として耳にします。
最近に始まったことでもなく、企業差ももちろんあるのですが、
傷つくことが怖い、自己中心と思われたくないというある意味「他人への配慮」が
その傾向を加速している要因でもあるようです。
先月、久しぶりに香港で外国人ばかりのミーティングに参加しました。
ヨーロッパの人たちと香港、台湾、中国のひとたちにまじって日本人は私一人。
久しぶりの完全アウェイで2日間を過ごしました。
日本語で話すときと、英語で話すときとでは、自然に被る仮面を変えています。
ちょっと日頃の日本人の自分を捨てないと、英語の世界ではうまくいかない。
この違いが非常に脳みそをリフレッシュしてくれました。
さび付いた英語ですが、英語になると意志が全面に押し出されるので不思議です。
もともと意見ははっきり言う方ですが、それでも周囲の空気を読んでいます。(これでも)
長い経験で、外国人の間で発言をしないと「意見を持たない人」「出来ない人」として見られることを
痛いほどわかっているので、スイッチが変われば私も発言します。
日本語とは違って頭の中でシナリオを考える前に「I think,,,」と気が付くと話し出している図々しい自分に気づきます。
言葉が詰まっても一生懸命に聴く姿勢を見せるのもまた、外国人の特徴です。
だから、とりあえずは懸命に私見を述べることが出来ます。
そして彼らはほめてくれる!
最初に発言すれば「口火を切ってくれてありがとう」とねぎらいの言葉。
もちろん、コーチの集まりなのでコミュニケーション力は高い人達なのですが、それでも誰もが意見を話すことで貢献するのだ、という意識が徹底されています。
「英語上手ですね」は日本人が外国人が少しでも英語を話すと「日本語上手ですね」というのと同じレベルに関わらず社交辞令ではなく、ほんとに感心してくれているのだと今回気づきました(笑)
つまりそれだけ日本人は英語を話す人が少ないということですね。
さて、今回のミーティングで私がたまたま「How do you feel about it」(それについてどう感じますか)という表現で意見を求めたとき、
スイス人のファシリテーターから、「Feelを使うのは会話を発展させるいい質問だね」と誉められました。
私の頭のなかでは「どう思いますか」のニュアンスだったのですが、意識せずFeelと感情を尋ねていたようです。
試しにChatGPTで「どう思いますか」の英訳を可能な限り多くあげてもらいました。
- What do you think? ど思いますか?
- How do you feel about it? これについてどう感じますか?
- What’s your opinion? あなたの意見は?
- What are your thoughts? あなたの考えは?
- How do you see it? どう見ていますか?
- What do you make of it? どう理解しますか?
- How do you perceive this? どう受けとめますか?
まだまだこの後も続いて、こんなに表現があるのだと気づきました。
「あなたの意見は」「どう考えますか」という質問は意見を求めていますが、「どう感じますか」であれば、聞かれた相手は感じることを話せばいいので、良し悪しを判断される心配なく好きに話せます。
意見を引き出そうとする質問は、とかく相手が考えを持っていない場合には沈黙になってしまう。
感じたことや感想を尋ねれば、感じたことを発言すればよいので、前準備入りません。
あたり前の質問を英語で考えてみて、それをまた日本語に戻すとバリエーションが出来そうです。
ChatGPTを活用して自分の質問のバリエーション増やしてはいかがでしょう。
そして拙い意見でも誠意を込めて最後まで訊く姿勢、発言した事実に感謝を示すことを忘れないでください。
(YK)
ダイバーシティ会議で意見を引き出すには異文化コミュニケーション発言を促す方法質問力
察する前に尋ねましょう
2023年11月19日
アメリカ人と仕事を一緒にする機会がありました。
そのアメリカ人に指摘されたのは、日本人の表現は否定的だということ。
仕事中に少し皆が疲れを感じてくる頃に私が「がんばりましょう」と声をかけると、ほらそれは否定的な表現だと指摘されました。
「頑張る」は今が辛いのを前提としている、そうではなく「楽しくやりましょう(Let’s enjoy) 」のほうが肯定的だというのです。
褒められたときに「まだまだです」というのは否定的。「ありがとうございます」のほうが肯定的。
「御迷惑おかけしますが」よりは「良いチームにしましょう(We are going to be a good team)」
「お疲れさまでした」よりも「ありがとうございました」
確かに私が外資系航空会社で働いていた時代、「Let’ enjoy flying !」とフライト前に声をかけていました。
日本人は疲れる前から「お疲れ様です」が挨拶言葉になっていますよね。
しかし日本人との会話ではついついいつもの言葉を使う私に、そのアメリカ人が「ほらまた日本人の癖」と指摘してくると段々反発する気持ちが生まれて来ました。
確かに英語のコミュニケーションではそうだけれど、日本人の謙虚な文化はそれほど悪いのだろうか、日本が否定されているようで不愉快になって来ました。
自分を下げて相手を上げる。謙譲語を使いなれている私たちの文化であって、それが日本人には心地よい、まさに「日本の文化」だと思うのです。
いくら多様性と言っても築いてきた文化を変える必要はないのではないか。
大切なのは、英語のコミュニケーションと日本語のコミュニケーションではマインドセットが異なるということを知っておくことだと思います。
もう一つ、日本人の特技であり外国人に不可解なのは「察しの文化」です。
察してもらえることを前提として主張しない。訊かないで察しようとするコミュニケーションの形です。
これも謙虚さから生まれる行動であり、お互い、察する側も察してもらう側も、相手の考えがあるのに先に主張してしまっては申し訳がないという相手への思いやりから発達した文化です。
お茶会で、お互いを察して物事を進めていくことから生まれた文化です。
主張をする以前に相手はこちらのことを考えてくれている、という美しい前提にたっています。
しかし、多様な時代、これは外国人だけではなく日本人同士であっても成り立たなくなってきました。
価値観の異なるもの同士、言わなくては通じない、訊かなくては分かりません。。
先日、フランスを訪ねて気づいたことがありました。
フランス人はこちらが何か言おうとすると非常に辛抱強く待つ、ということです。
私がにぎわっている店でチーズをお土産に買おうとして、数多くのなかから何を選ぶか、どのように包装してもらおうか、長い時間商品ケースの前で悩んで言葉を詰まらせていたのですが、気がつくと店員はじっと待ってくれているのです。
ホテルのフロントでも同じようなことがありました。
こちらの言葉を尊重しようとする。そして意味が通じないと質問をする。途中で想定して勝手にことを進めたりあきらめたりしない。ちゃんと向き合ってもらえたという心地よさを感じました。
尊重されている、と感じました。
相手へのレスペクト。
私たち日本人はすぐ「察しよう」とします。
むしろ外国人に対しては言葉が通じない相手には、この人何が欲しいんだろう、何を言いたいんだろう、察して動こうとしてしまいますがそれが必ずしも正解とは限りません。
個人主義のフランス、言葉を大切にする国だけあって「聴く」と「尋ねる」ことで相手の意図を尊重することが習慣化されていることを感じました。
肯定的な表現を使うこと、自分の意見を言うこと、これは公平で活発なコミュニケーションの鍵となります。
実は、自分を肯定すること、意見を言うこと、この二つは企業で働く女性に苦手な人が多いのも事実です。
なぜなら、自分に自信がないとこの二つはなかなかできない。
そもそも自分の意志や意見が自分自身で整理できていなければ主張できない。
日本人に限ったことではないようですが、女性の多くの課題が自信がないことだからです。
皆さんの周囲では活発なコミュニケーションが行われていますか。意見が出て来ますか。
是非、周囲の人から意見が出てこないのであれば「尋ねる」習慣を取り入れましょう。
「あなたはどうお考えですか」「何が必要ですか」とこちらから尋ねる。
そして辛抱強く待ちましょう。
勝手に察しようとするのはやめましょう。
相手の気持ちを引き出す双方向の良い会話ができるはずです。
(YK)
ダイバーシティマネジメント傾聴双方向のコミュニケーション異文化コミュニケーション質問力
好奇心を見抜く方法
2017年7月9日
接客に従事する人材の採用に長く携わっていましたが、現場で本当に良いサービスをするためにはどれだけ多くの経験を積んでいるかということが重要な要素だと考えて来ました。
それを知りたくて面接では、学生時代の部活やアルバイトの経験を聞くのですがそれだけでは十分ではない、年齢を経なければという部分があると、自分が年齢を重ねるに連れてますます感じるようになりました。
つまりオバサンは若い人のサービスでは満足できないところもある(笑)
でも、誰にとっても年齢は先取りできない。
ではどうするのか。好奇心が必要だと思うのです。若いアルバイトであっても母親のようなオバサンたちに好奇心を持てるか。
ここが接客では重要ではないでしょうか。
先日、女性の友人3人で早い時間にタパスバーへ行ったときのこと。
17時からのハッピーアワーを知っていたのでその店に行ったのですが、入ったのは16時45分。学生アルバイト風なウェイトレスがメニューを持って来ました。
ハッピーアワーはまだですか、と聞くと「17時からです」と不機嫌そうに答えます。その表情におもてなしも何も感じなかった私たちは「じゃあ、17時まで待つわ」とぴしゃりと言いました。そして17時になってからオーダーをしました。
なぜひとこと笑顔で「17時からですが、お待ちになりますか?冷たいビール先にいかがですか」と言えないのでしょう。
そうすれば、きっと私たちは待ちきれずにビールを頼んだに違いないのです。
こういう経験はきっと多くの方がしていますよね。
友人と何故こういう態度になるのだろうという話になりました。彼女はこの店のオーナーではなく、私たちがハッピーアワーだろうが通常の料金だろうがそれほど自分に影響はないはずです。
ではなぜ不機嫌なのかというと彼女の仕事が一度で終わらなかったから(注文を聞きに来たのにもう一度下がらなくてはならないし、自分の仕事が終わらない)、ハッピーアワー目当ての安い客だと少し下に見たから、でしょうか。
私たちの結論は、きっと彼女はこういう客の楽しさを知らないからだということになりました。つまり、共感力が足りないのです。
でも、母親くらいのおばさんに共感しろと言っても無理な話かも知れません。
オバサン3人が17時前なんて中途半端な時間ににぎやかに嬉しそうに入って来た。あーきっとお喋りしたいんだろうなあ、家に帰る前にハッピーアワーだから飲んじゃえ、というような気持ちかな楽しそう。
と、思うと返答も異なると思うのですが、まだ学生の彼女に、仕事も家庭もちょっと離れて女友達と思い切りお喋りが出来るというときの解放感と嬉しさは想像できないかも知れません。共感しろと言っても無理。
うーん、では彼女は、朝から有名パンケーキの店に並ぶ人の気持ちなら分かるのかしら。それも疑問です。そして誰もが全てを経験できるわけではありませんよね。
だとしたらやっぱり好奇心ではないでしょうか。
このオバサンたち、嬉しそうに来たけど何をしたいのだろう、何が好きなのだろう、お目当ては何、などと好奇心を持つ。そういう人にはきっと「察しの心」が生まれ、能動的なサービスも提供できるのです。
そして、会話も生まれるからさらに良いサービスが実行できるのです。
好奇心。
これを面接で見抜くのは、さらに難しいかも知れません。
どんな方法があるか考えて見ました。
こちらへの答えで見抜くのではなく、こちらへどのような問いかけをするのか、それを判断材料に出来るのではないでしょうか。
相手の質問から、相手の好奇心がどこにあるのかをはかることが出来るように思います。
面接官はとかく自分で話しすぎです。そして相手の答えで判断をしがちです。
しかし相手の答えは既に準備して来たこと。
相手に質問させてみると好奇心が見えて来るかも知れません。
年齢、外国人、ダイバーシティが進む社会では共感力が必要。
そのためにも好奇心必要です。
(YK)
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