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Omotenacism for women女性のためのオモテナシズム

女性客は面倒?

2018年9月3日

JALドリンクこのコラムを読んでくださっている女性は、年齢も職業も住んでいらっしゃる場所も家族構成も異なります。

その方たちに「女性」というだけで同じメッセージ発信は通用しないよね、と思いながら恐る恐る、それでも私の好きなこと信じることを毎回書いています。

実際、女性は多様性に富んでいて、好きなこと、嫌いなこと、が明確で、容易に妥協をしません。そして、彼女たちが望んでいることは一律ではありません。きっと男性から見るとかなり面倒でしょう。

 

そこで、その昔、私がCAだった頃に観察していたことをちょっと披露します。

【その1】 日本人の女性3人連れのお客様(ABC)の場合。

私「何をお飲みになりますか?」とまず窓側の女性に聞きます。

A「えーと、何があるんですか?」

私「オレンジジュース、コーラ、ウーロン茶、白ワイン、赤ワイン・・・」と並べたてます。

しばらく考えてからAは「えーどうしよう。じゃあ、ウーロン茶」。

私はにっこりほほえみ「かしこまりました。お客様は何になさいますか?」と隣の女性に尋ねます。

B「何があるんですか?」またかと私は少しうんざりしながら「オレンジジュース、コーラ・・・」と繰り返します。

B「うーん、じゃあ私はワインください」

私(一度で言ってよ)「赤白どちらが宜しいですか?」とむっとしながらも顔はにっこり尋ねます。

B「白!」。私「かしこまりました」やっと決まったと思って用意しているとB「あ、やっぱり私もウーロン茶!」

私(さらにむっとして)「かしこまりました。お客様は?」とそれでもにっこり最後に通路側の女性に尋ねます。

C「私、クランベリージュース!」(そんなの言っていません!)

で、ここからまた同じ会話が繰り返されます。

 

【その2】日本人男性3人(EFG)の場合

私「お飲み物は何になさいますか?」

E「ビール」

私「ライオンとユウヒがございますが?」

E「じゃライオン」

私(にっこり微笑んで隣に)「お客様は?」

F「ビール。あ、僕はユウヒね」私「かしこまりました」

私(その隣ににっこり)「お客様は?」

G「僕もユウヒ」私「申し訳ございません。ユウヒはきれてしまいました」

G「あ、べつにビールならなんでもいいよ」

 

皆さんがCAだったらどちらが好ましいお客様ですか。私は、残念ながら日本人の女性客は面倒でした。日本人の男性はたいていシンプル。

一方、外国人となると最初から男性も女性も飲みたい物は明確に決まっています。何を飲むか聞かれればすぐに「ジントニック氷なしでレモンを入れてね」というように細かい注文があるのです。日本人であることを誇りに思う私ですが、このシーンになると日本人はなんだか冴えない人たちだなあ、とちょっと残念に思ったものです。

 

ところで、このところ新聞には「女性の再就職のための教育を政府が支援する」だとか「大学でも女性にキャリア教育をしよう」だとか記事が載っています。

「そこですか?対策は?」と感じるのは私だけでしょうか。

そもそも働いていない期間が空いてしまって仕事の調子がすぐに戻らないのは女性に限った話ではないはずです。それに、いちいち男性は大学でキャリア教育を受けているのでしょうか。

女性が仕事に復帰しても活躍しにくい状況があるとしたら、それは女性の側の問題ではなく、それぞれが異なる状況と価値観を持っているのに受け入れる側が柔軟性に乏しいというところにあるのではないでしょうか。これは、制度や子育ての支援体制を言っているのではなく、マインドの話です。

再就職の動機も、働く目的も、モーチベーションも将来設計もそして能力も、それぞれ異なる女性は、それぞれのニーズを汲もうとすればするほど取扱いは面倒です。

男性のように「右に倣え」で「はい」と一斉に返事は返りません。

どうしたら男性のように一括りにして組織で動いてもらえるのか、そう考えて日本の企業は苦労しているのかも知れません。

では、無言で整列出来る男性が成果を上げているのかというと、全員が全員そうではないはずです。男性だって異なる価値観を持っているはずです。ただ彼らは、組織では従うものだというルールは守ります。だから、組織の秩序を乱さない限り、善きに計らわれているのかも知れません。

一方、女性は嫌なものには、しっかりと抵抗します。声に出さずとも無言で不満を表現します。

 

というようなことを考えていて、冒頭の機内でのドリンクサービスを思い出しました。

どんな場所でも自分の望むものを納得して手に入れたい女性。では、欲しいものが明確になっているかというと、他人に提示されないと見つけられないようです。そして選択している間に他の人の時間を使っているということにも気づいていません。

一方、男性は無難な誰もが与えられるものでとりあえずは満足します。もちろん、とことん追求する男性もいますが、小さなことであればこだわりは捨てられます。しかし、発見はないかも知れません。

 

さて、夏の暑さも一段落、少し他人から見て自分の面倒な部分を考えてみてはいかがでしょうか。

扱いやすくなれと言っているのでは決してありません。ベストなチョイスをいつも自ら発言出来ると、より人生という飛行もスムーズになるでしょう。

(YK)