自分に反論しよう!
2018年8月3日
先日、長年の友人であるサイコセラピスト(臨床心理士)の友人をゲスト講師に招き「女性のための思考のほぐし方」というワークショップを行いました。
事前に参加者には彼女の開発した心理検査を受けてもらいました。
私の結果は「良いことをなかったことにしてしまう」「全部私が悪い」と考える傾向があると出ました。
あー確かに。
反省をしすぎて、振り返りをしすぎて、「あれもダメだった、これもダメだった」その結果「私の準備不足だった」「私があんなこと言ったから」と自分を責め立ててしまう傾向があるそうなのです。おおいに思いあたる節があります。
女性が頭のなかで、ぐるぐると物事を考えては後悔する傾向があることはこのコラムで何度か書いて来ました。
過ぎてしまったことなのに、考えてしまう。そして原因は全て私にある。だからもっともっと努力しなくては・・・この繰り返しです。
会社員だった頃の私は、職場において、その傾向は日々発揮され、責任感が強いというようにポジティブな言葉で自分自身を肯定していました。だから反省していない他人を見ると「まったく、もっと反省すればいいのに」「そもそもあの人のせいで上手くいかなかったのに本人は気にもせずおめでたい」というように思っていました。特に男性は過ぎたことは忘れて、あっけらかんと次の事を考えていたりするので、苛立たしい想いをしたものでした。
それに拍車をかけるのが、私の場合「自分は論理的ではないかも」という不安です。
ビジネスの世界では、とかく背景や理由を明確にすることが問われます。「なんとなくそう思ったから」「勘が働いたから」では済まされません。自分の意見や提案を行う際には裏付けされた事実が必要です。そこで、「原因と結果」について常に私はあれこれ推理をめぐらせ、挙句の果てに、大反省となってしまう傾向がありました。
そもそも「人間は物事の因果を考える」動物だそうです。「こうなるとああなる」と思考し最良の選択をすることで発展してきたのです。*
だから、多かれ少なかれ必要な内省ではあるのでしょうが、度が過ぎると苦しくなります。
サイコセラピストの講師は、セミナーの中で改善のヒントをくれました。
「それは事実ですか?」
イライラ、ムカムカ、したり反省をしすぎて自分を責めているときに自分に反論しなさいと言うのです。
実は、この方法は彼女が以前に私に教えてくれたことでもあり、既に実施しているのですがかなり効果があがります。
友達の音信普通に「私があんなこと言ったから怒っているんだ」とくよくよしていても、それは私が想像しているだけ。もしかしたら彼女は忙しいだけなのかも知れません。
仕事においてもありがちです。
そもそも反省していないように見える相手に腹を立てるのだって、相手が反省していないかどうか、これも私の勝手な想像でしかありません。
「プロジェクトから外されたのは、この前の失敗が原因に違いない。出来ないヤツだと部長に思われたに違いない」そう考えて悩んでいても、それは冷静になれば自分の生み出した妄想でしかありません。
私も部下にそのような怒りをぶつけられたことがありました。
「そんなことありませんよ。もっとあなたの力が活きるプロジェクトに参加してもらうつもりです」と言っても「いえ、前回の私のパフォーマンスを部長がお気に召さなかったことは承知しています」と自分の思い込みに固執して聞いてくれません。この人の不幸は自分で作っている、と考えたことを思い出します。
そういえば、20代の頃、このセラピストの友人とヨーロッパに旅行をしたときのこと。ヒースロー空港が霧で着陸できず、ロンドンへ着くはずの飛行機がマンチェスターに着いてしまったことがありました。マンチェスターからロンドンまでバスで輸送されるとか、飛行機を乗り換えるとか、あれこれ機内で対策を説明を受けました。そのとき、怒るお客様たちを前に一人のCAが「あー、全部私が悪いんです。そうそうお天気が悪いのも飛行機が遅れるのもぜーんぶ私のせい」と叫んでいるのに苦笑したものです。
CAのせいであるわけがなく、しかし、人は何か起こると原因を追究して誰かのせいにせずにはいられなくなるのですね。
酷暑の夏、心はせめて清々しく過ごすために、妄想に捉われない問いかけを行いましょう。
暑いのは誰のせいでもなく、暑くていらいらするのは自分の心の持ち方のせい・・・・・あ、また自分のせいにしてしまった(笑)
(YK)
*参考
「知っているつもり 無知の科学」 スティーブン・スローマン&フィリップファーンバック著 早川書房
「心の調整セラピストKEIKOが教える【運命を変える5秒ルール】 https://ameblo.jp/therapistk/entrylist.html