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Columnコラム

TVに学ぶビジネスパーソンの身嗜み

2017年10月29日

企業に伺うと、経営者から営業パーソンまで身嗜みについてアドバイスを求められることがあります。先日、TVドラマのスタイリストとして活躍されている方の個展に行き、ヒントを得たので紹介します。

男性の身嗜み

そのスタイリストさんは、ドラマのキャラクターの服装を職業や業界からイメージを膨らませて行くようです。たとえば、キャリアウーマンの服選びでは、いつもスーツを着ていてインナーはキャミソールだけれど、アフター5に彼の家に行くという設定では、ジャケットを脱いだ時に美しく見えるインナーを合わせるというようなことまで考えて選ぶようです。

 

これは、客観的にスタイリストが考えるその役の女性のキャラクターからライフスタイルまで際立たせた服選びです。皆さんは、自分が他人に与える印象とビジネス上の効果を考えて服選びをしているでしょうか。

 

TVドラマに出てくる女性は、その個性を強烈に服で際立たせて、こちらに伝えています。たとえば今話題の、米倉涼子さんが「絶対に失敗しない」外科医を演じているドラマ。ドラマの中では、米倉さんはプロフェッショナルな女医ですから、ヘアスタイルも服装もシャープです。しかし、他人に媚びないという自信がある女性ですから、足元は9センチのヒールのパンプスを履いています。スニーカーを履いているほうが実際の外科医により近いと思いますが、それでは彼女のキャラクターは伝わりません。スタイリストがTVを見ている人にキャラクターを理解してもらうために選んでいるファッションであり身嗜みです。確かに、「この医者なら失敗しないだろう」というオーラを感じます。

とすると、私たちもプロフェッショナルでありたいと思うのであれば、自分が他人に見せたい姿ではなく、相手が見たい姿であるようにファッションを選ぶ必要があるのかも知れない、と気付きました。

 

いつもニュース番組を見て思うことですが、女性キャスターはカジュアルな服を着ていて男性キャスターはスーツ姿。これだけで、視聴者は女性がメインではなくアシスタントなんだ、というメッセージを受け取ります。またお天気担当の女性とニュース担当の女性では服装が違う。政治や経済のニュースのほうがお天気のニュースより重要なのだというスタンスが表れています。

とすると女性は服装が男性のように決まり切ったスーツを着ているわけではないので、自分自身のプロフェッショナル度は自分でもっとファッションから押し出して行く必要があるのではないでしょうか。

 

おしゃれをしていてもアフター5のデートに着て行くようなレースがあしらわれたフェミニンなワンピースでは、アシスタントなのか責任者なのか分かりません。本人はおしゃれなキャリアウーマンのつもりでも、相手の関心は、きちんとしたビジネスが出来る人なのかどうかということにあるのです。「素敵な女性」と思われたいのか「仕事を任せられる女性」と思われたいのかでは服選びが変わるはずです。ギャップを狙っている? それは、本当にプロフェッショナルとして認められてからにしましょう。

 

正直なところ私自身は決まりきった身嗜みのルールは嫌いです。たとえば新入社員研修だから講師も新入社員と同じ服装でお願いします、と言われたりするとかなり抵抗します(笑) というのは、いい年齢になってリクルートスーツを着たところで似合わないし、おかしいからです。服装にも年齢や立場を考えないとちぐはぐになります。

 

しかし、身嗜みにゆるい会社や何でもいいと思っている人も疑問です。日本はクールビズを導入するようになってから、かなり服装について「なんでも良い」という風潮が広まったように感じています。かつて、半袖のスーツを考案した大臣がいたり、最近ではスーツでスニーカー通勤を勧める大臣もいますが、これは少し違うのではないかと思っています。

暑いのが嫌であれば自分で涼しくて清潔であるように考えればよいのだし、ウォーキングしたい人は既におしゃれなスニーカーを愛用して、会社に着くと履き替えるような工夫をしているはずです。何も、洋服の着こなしのルールを外れるようなことを公認して見せて、センスがない人をますますセンス悪くする必要はないのではないでしょうか。

そして、ビジネスカジュアルはリゾートではありません。ビーチにこれから行くようなスタイルの人では、真剣に仕事をしているのかどうか疑われてしまうでしょう。もちろん、芸術的な感性を使う仕事や樂であることが仕事しやすい場合もあるとは思います。

 

自分のスタイルが企業を表しているという経営者もいるでしょう。それはそれでメッセージ発信の一部なのできちんとした方針やこだわり、そして周囲との調和、TPOを理解していればば良いでしょう。

ただ重要なのは、相手にそれがきちんとメッセージとして届いているかどうか、また顧客の期待に沿っているかどうか、その視点は忘れないようにしたいですね。靴をピカピカに磨くのも、アイロンのかかったシャツもメッセージです。

私自身も気を付けないと。自分を棚にあげて書いていみました。

(YK)