年末にお茶を入れて考えたいこと
2022年11月4日
平均寿命が延び、そして長く働き続けなくてはならない時代、今年は人生後半にさしかかった方たちのキャリアチェンジの課題を感じることが多い一年でした。
そんな折、コーチングの神様マーシャル・ゴールドスミス博士の新刊「The Earned Life」と村上龍の短編集「55歳からのハローライフ」をほぼ同時に読みました。
コーチングの本と小説ですが、どちらも人生後半の生き方についてメッセージは同じ、さすが大作家の考えることはどのようなスタイルをとっても人に訴えます。
若い頃はドラッグや高級ワインを背景にした小説書いていた村上龍が、離婚や定年、ホームレスをテーマにしていることに、誰もが年齢を経て変わることを感じます。
そしてマーシャル・ゴールドスミス博士も人は過去と同じではない変わり続けていく過程こそ人生であることを指摘します。
マーシャル博士の顧客たちは世界のトップ経営者たちですが、引退してからもその過去の成功にしがみついている人もいれば、取返しのつかない過去の失敗や過ちを悔い続けている人もいるといいます。そして、いずれもそれは、過去のことで「今」の自分は全く別人であるということに気づいていないといいます。
確かに、過去に部下であった人たちが今では私よりずっと成長していて、教わることがあります。教えるのはもはや私の役割ではない、と気づいてハッとすることがあります。
また、過去に壊してしまった人間関係も今の自分がやったことではない、過去の自分と相手との間に起きたことです。
こだわり続けるのは意味のないことでしょう。
マーシャル博士は、常に新しい自分自身になる努力をしていくこと、その過程こそ人生だと言います。
幸せな人生とは、プロセスであって結果ではない、つかみ取っていく過程にこそ幸せがあると言い、彼は3つのAを上げます。
Aspiration 理想とする人生の在り方
Achievment 短期の期限を決めて自分が成し遂げたいこと
Action 日々の行動
この3つのAがシンクロさせることが大切。
最初のA、Aspirationは達成できなくていい、日々それに向かって進んでいるという実感こそが「幸せ」であり、幸せな人なのだとマーシャル博士は言います。
「55歳からのハローライフ」の主人公たちもまさにそれに気づきます。夫への不満も妻の無理解も自分の側から見た世界であって、自分が主体性を持たなければ幸せにはなれない。大きなことである必要もない。自分自身がやりたいことを持とうとすることで、未来が開けていきます。
組織を卒業するのであれば、なおさら人に頼るのではない自分自身の夢を準備したいものです。
村上龍の主人公は、それぞれお気に入りの飲み物を自分で作って一息つきます。
マーシャル博士も深呼吸を進めます。
一息つくと新しい自分が生まれる。
あなたの3つのA、お気に入りの飲み物を片手に年末に向けて考えてみてはいかがでしょうか(YK)
参考図書:
「55歳からのハローライフ」村上龍著 幻冬舎文庫
「Lose Regret, Choose Fulfilment THE EARNED LIFE」Marshall Goldsmith著