ダブルバインド~女性らしさと自己主張~
2016年4月28日
【女性のための自己変革の技術】
「女性はダブルバインドの状況におかれています。
一方には「賢くあれ、自分を主張しろ」という要求があり、
もう一方には
『無難であれ、衝突するな、自己主張の強い女は嫌われるぞ』
といいうメッセージがあるのです」
ヒラリー・クリントン
ヒラリークリントンがある雑誌の対談で言っている言葉です。
ダブルバインドとは、二つの矛盾する命令に
縛られている状態を言います。
女性の社会進出が進み
自己主張が強いと思っていたいたアメリカで
しかも大統領候補のヒラリー・クリントンすら
常にこのジレンマを感じていたとは
共感すると同時に驚きます。
だとしたら、調和を美徳とする日本では
さらに女性のジレンマは大きいはずです。
「川邊さんは、本社の人達と英語で話す時には、しっかりとした主張をするのに
国内の会議では何を言いたいのか分からない」
私自身、外資系に勤務している時代に
こう社長に言われたことがありました。
彼はむしろ自分の意見を明確に述べることを私には求めていたのでしょう。
しかし、日本の組織の中で温和に物事を進めていくには
強い主張は嫌われます。
私もジレンマを抱え、自分自身使い分けをしていたようです。
というのも、初めて海外で働くようになったときに
まずは自分の意見を言わないと
「考えていない、頭が悪い」と思われることを知ったからでしょう。
しかし、日本に帰国し働いてみると
同調すること、物を言わないことのほうが美徳と取られ
得であることにも気が付きました。
特に他人の耳に不快なことについては自分が言わないほうが良いと・・・
言いすぎれば嫌われるし、
何より周囲の女性は何も意見を言おうとしないのです。
一方、男女に関らず
リーダーシップのセミナーや本によれば
強いリーダーはメッセージをはっきり発信し相手の話を聞くと同時に
自己主張はしっかりしましょう、となっています。
かと思うとキャリアを築くには
空気を呼んで、人との調和が何よりと説く人もいます。
ある知人男性からは
「社内で自分と異なる意見の上司がいた場合は
波風が立たないようにじっと身をひそめ
自分の時が来るのを待ちなさい」
とアドバイスされたこともありました。
ではどうすれば良いのか。
今、企業を離れて考えてみると
ネックとなっていたのは、前述した『意見を言わない同僚たち』の
暗黙のプレッシャーや
先輩男性の『波風は立てるな』と言う上からではない
周囲の空気であったような気がします。
こう考えると、ダブルバインドは
女性だけの課題ではないのかも知れません。
そして企業の革新を阻むものであることに
気づきます。
女性の働き易い組織は
つまり男女に限らず個人の意見が尊重される組織ではないでしょうか。
そして女性らしさ、男性らしさに
束縛されない自分自身を
育てて行く努力が必要だと考えています。
参考;ヒラリー・クリントンの言葉 ライザ・ロガック著 かんき出版
(YK)