聞いてもらえぬ理由
2016年11月8日
日本人の寿命は伸びる一方、高齢化が進んで労働人口が減少する日本。
多くの人が働きやすいように随分フレキシブルな施策が取られるようになりました。
私が勤務していた香港の航空会社では
私が入社した頃は、定年は40才でした。
え、早すぎると思いますよね。
でも20代の私には、どうせ定年まで同じ仕事はしていないだろうし、
むしろ40才までいかに充実させて退職金をもらって次のステップへ
行けるかが考えられる良い年齢だと感じていました。
しかも早期退職を防ぐために、10年以上勤務しての退職者には退職後のベネフィットが付きます。
また、副業、兼業も自由。
これもまた、お給料をもらいながら起業したり
家業を手伝ったりできる良い制度だと思いました。
企業にとっては、人員調整がしやすいという利点があるようでした。
例えば、戦争や疫病などによって乗客数が大きく変わる航空会社では
一次的なフライトの減少による自宅待機や、無給休暇などが発生することがありましたが、
そんな時も、ではこれを機会に自分磨きをしたり、副業に専念したり
ある意味、企業に頼らない準備が出来ている社員も多いようでした。
これは良い制度だ!
と思い、日本に帰国して人事部に勤務した会社で一生懸命提案をしたのですが、常識外れであるとか、出来るわけがない、ということで通らずじまい・・・
でも今、実践している企業も出て来ているわけで、あの時、取り入れられていたら社員にも会社にもプラスになる施策として最先端を行けたのに!
さてここからが本題。
何故、私の意見は聞いてもらえなかったのか、実践できなかったのか。
考えて見ました。
このことだけではありません。
いくつも革新的なアイデアを(と自分では思っている)提案して来たつもりでも
取り入れらないことが多かったという事実。
何故なのでしょう。
私は自分で自分の論理力のなさ、交渉や説得、そして政治力がないことが原因だと思っていました。
また、私自身がサービス業出身であるというバックグランドから来るコンプレックスもありました。
どうせ経営のことなど分からないと思われているのだろうと。
これを克服したくて、随分、あちらこちらのビジネススクールに通ったりして来ました。
でも、今頃気が付いたこと、
そんなことが問題ではなく私には成果貯金と人間関係貯金が十分ではなかったのだと。
成果預金とは
職務をきちんとこなし、個々の仕事ですぐれた成果を上げることで生じる信用や評判、強み。
成果貯金=(知性+経験+効果的な実行)x頻度
人間関係貯金とは
培ってきた人間関係と、その関係から得られる力の強さ
もちろん、怠けてはいなかったし、力を尽くして仕事をして来たつもりですが、私の仕事は周囲の人の信用や評判を得ていただろうか。
人間関係においては、周囲の部下や上司とは良い関係を築く努力はしていたけれど、それ以外の人達に自分をわかってもらってサポートしてもらえるような関係を持っていだろうか。
考えて見ると、外資系企業にいた私は、本国の人達や直属の上司しか見ていなかったのかも知れません。
私の仕事によって影響を被る人達の存在は見えていなかったのだなあと思います。
そして、実際、社内の評判は、一見直接はつながっていない関係ないところにいるような人達によって作られていくのです。
一生懸命働いているときには気が付かなかったこと。
社内の付き合いは、向こうも望んでいないと思い込んでいたことが悔やまれます。
付き合いとは、何も飲み会だけではありません。
給湯室のお喋りでも良いしお話聞かせて欲しいとランチに誘うことでも良いのかも知れません。
そんな時間はない、と忙しい人達は思うでしょう。
でも結局ビジネスは人がやること、
知識や論理的なプレゼンだけではなく、丁寧な付き合いが自分の意思を通しやすくするのですね。
そして何より、私の提案が他の人達にとってどんなメリットがあるのかもっと直接、説明すれば良かったなあ・・
後悔先に立たずですが、これからも覚えておきたいと思います。
参考図書;
「モルガンスタンレー最強のキャリア戦略」カーラ・ハリス著 豊国印刷
(YK)