ビジョンとは~なりたい自分を思い浮かべることが出来ますか~
2016年8月6日
少し先のことを考えて目を閉じたときに
自分の将来の姿を思う浮かべることが出来ますか。
または10代の頃を思い出してみてください。
大人になった自分の姿をどのように描いていたでしょうか。
毎月、実施している公開セミナー「女性のための自己変革の技術」では
参加者に『ビジョン』を考えて頂くのですが
なかなかこれが難しい様子です。
『ビジョン』と言うと、何か難しい企業の5か年計画や
あるいは大志を抱いている人が持つことのように取られがちですが
もっと単純に、「心に思い描く自分の理想の姿」だと
考えていいのではないでしょうか。
それは、きっと誰でも子供の頃には描いていたはずだと思います。
ところが、年齢とともに現実的になり
段々と描くなっていくうちにその習慣がなくなってしまうのでは
ないでしょうか。
数年前に作家の林真理子氏が「野心のすすめ」という本を出しました。
その中で、著者が19才の時に、59才になった自分を想定し19才の自分への
手紙を書いていたというエピソードが書かれています。
強い劣等感を持っていた林氏は、将来自分は必ず幸せになっていると信じて、
将来の自分からその時の自分への励ましのメッセージを書いたそうです。
将来は幸せなんだと想像することで元気になるし
将来の自分の姿を思い描けば今、何をしなくてはならないかを考えられると林氏は言っています。
今に見ていろという思いで、やたらと空想にふける彼女ですが、
妄想力は目標達成のバネになると、林氏は確信しています。
妄想であれば女性は得意なのではないでしょうか。
男性の場合、もともとが目標に向かって突進する傾向が特性としてあるので(以前、この欄でご説明しました)
多くの男性が、定年を到着地点として会社の中での成功を『ビジョン』として
なんとなく描いている人が多いのではないでしょうか。
ビジネスパーソンの『ビジョン』としてはそれはは見当違いではありません。
一方、女性は、平均寿命は男性より長く、そして女性の興味や関わることに
定年はありません。(それに男女の違いはないはずなのですが、女性はそもそも企業の決めたレールを前提としていない人が多いので)
とすると、漠然として過ごしてしまうのではなく、長い目で見たときに自分はどんな人生を送りたいのか
時間軸も分野も広く考えることが出来るはずです。
何も誰もに尊敬されるような高尚な夢や未来像だけがビジョンではありません。
他人がどう思うかではなく、自分がこんなことが出来たら満足だ、幸せだと
思うことを妄想することからビジョンは生まれるのではないでしょうか。
今は低欲望社会と言われています。
適当に満ち足りていてムリをしてまで欲しい物はない、ムリするくらいなら現状維持を
望む人が多い時代です。
とはいえ、こういう風にありたい、という理想のライフスタイルや、
これが好きだからやり続けたい、という自分だから出来ることは男性より明確に
心に抱いているのではないでしょうか。
また、女性の場合、昔から欲望よりも「悔しさ」をバネとして
こうでない自分、社会を思い描いて実現した人も多いように思います。
女性にとっての成功とは、競争で勝って一番になったり、
パワーを持ったりすることではなく
自分らしく自分も周囲も幸せな人生を歩むことなのではないでしょうか。
逆にそのために競争に勝ち、パワーが必要なこともあるかも知れません。
書家の紫舟さんが少し前のTV番組で
「自分の書いた文字がハリウッド映画のタイトルで使われて、それを映画館で見てみたい」
そうすれば、彼女は世界の人に書を通して日本を発信出来たと実感できるだろうと
話していました。
まさしく『ビジョン』です。
紫舟氏のような世界の人を相手にるするような夢でなくても
「自分の作った健康に良いパンで、にこにこ微笑みながら喜んで食事をする子供を増やしたい」だとか
「定年後、年間の半分は海辺の家に住み、好きな本を読んでブログで想いを発信し続けたい」
などというような、人それぞれに夢はあるでしょう。
それは立派な『ビジョン』です。
直接的な仕事の目標でなくても良い、きわめて個人的な物かも知れません。
それを明確にして言葉にすれば『ビジョン』になるのです。
しかし、このなりたい姿を明確に描けなければ、それを実現するための手段である
キャリアは選べないはずです。
妄想だけでは現実にはなりません。
現状の目の前の仕事をこなしているだけでは、たどり着けないかも知れません。
今の自分がどうあるべきか、これは慎重に考えなければいけません。
自分のありたい人生を実現するために、どのような仕事をし生活の糧を得て行くのか
設計図をひくことが必要です。
そして、『ビジョン』を持っている人は魅力的なのです。
目をつぶって将来の自分はどんな姿をしていますか。
夏休みは、想いを馳せる絶好の機会かも知れません。
参考図書;
「野心のすすめ」 林真理子著 講談社現代新書