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Columnコラム

笑顔は習うより誉めろ!

2018年3月16日

Obama smile

どの業種であれ新人研修のカリキュラムに必ず出てくるのが「第一印象の重要性」。そしてそれに続いて、第一印象は表情で決まるとあり、笑顔の練習が行われるのがお決まりです。

口角を挙げてラッキー、クッキー、ウィスキーだとかハッピーだとか「いいい」と伸ばして練習をさせられた経験のある人も多いでしょう。

 

しかし、その笑顔はやがてどこへ行ってしまうのでしょう、と日本企業の不思議さを感じます。

管理職になると笑わなくても良くなるのでしょうか。もちろん全ての人がそうとは限りませんが、多くの会社の在籍年数の長い社員、特に男性社員の笑顔に出会うことは少ないような気がします。もちろんいつも笑顔の管理職の人もいますし例外はあるのですが、大多数が口角を下げて口を一文字に結んでいることが多いような気がします。

 

そのほうが偉そうに見えるからでしょうか。大企業や固めの業種の企業ほどその傾向が増すようです。

私も新入社員の頃(CAになる前です)にこにこと愛想を振りまいていると同僚から「そんなに皆にいい顔していると仕事が増えて損だから気を付けたほうがいいわよ」と忠告されてびっくりしたことがありました。「へー、にこにこしていると損ならば、ニコニコしている仕事に就いたほうが楽しいなあ」とCAに転職したわけではありませんが、笑顔でいて誉められることはサービス業以外ではそうないのかも知れません。

「へらへらしている」というような表現で特に男性は笑顔を奨励されない傾向があるのかも知れません。権威が下がるとでも思われるのでしょうか。

イタリア人を代表にラテン系の国民は、皆、知らない人にでも目をキラキラさせて笑顔を投げかけます。そんな様子を見ると日本人は「なんだか調子がいい」と言います。でもその一方でそれが魅力的であるとは心の中で思っている人は多いはずです。

そしてむしろ笑顔で人に向き合えるのは自信の表れだと思うのですが・・・

 

そうなのです。日本では、笑顔でいたからと言って面と向かって誉められないのですね。

道理で新人研修で笑顔を指導しても身につかないわけです。でもカリキュラムに「笑顔」が入っているのは、誰にとっても「笑顔は感じが良い」ということは分かっているからでしょう。

そしてたいていの上司は部下の笑顔を見たいと思っているはずです。

笑顔が自分に向けられると好感を持たれているのかな、仕事が楽しいのかなと感じられますし、笑顔がないと、何か不満があるのだろうか、機嫌が悪いのだろうかと思うは当然の反応です。

そして、「笑顔がある職場」をコミュニケーションがうまく行っている職場の指標として捉えている体もあります。

だったら自分も微笑めばいいのに。

 

私がよく訪れるあるビルの受付に笑顔がとても素敵な女性がいます。

おそらくパートタイマーなのですが、もう長い間そのビルの受付に勤務していて来客者と顔なじみになっていて、いつも人気がある様子です。先日、失礼だとは思いつつ「前のお仕事は何をなさっていたのですか。どこでその笑顔は身に付けたのでしょう」と聞いてみました。

すると彼女は旅行会社に勤務をしていたそうですが、笑顔の秘密は「母から子供の頃から美人ではなくても笑顔でいれば皆に好かれるから、とにかく笑顔でいなさい」と厳しく躾けられたのだと教えてくれました。そして「笑顔でいることを目標にしているので誉めて頂いて嬉しいです」と付け加えてくれました。

 

笑顔がある人は好かれます。笑顔でいるから、笑顔が返る。そして笑顔が返るから仕事も楽しくなりさらに笑顔になる。好循環が生まれます。

笑顔は連鎖するのです。

ということは、新人研修でラッキー、クッキー、ウィスキーだとかハッピーだとか口角をあげて笑顔の練習をするよりは、上司や先輩がにっこり笑いかけたほうが余程効果がありそうです。

そして良い笑顔に出会ったら誉めてあげること。

笑顔はまず自分から!

それだけで、周りの環境は驚くほどよくなるはずです。

誰にでも出来る「働き方改革」ではないでしょうか。

(YK)