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Omotenacism for women女性のためのオモテナシズム

貸し借りの関係が苦手な女性

2018年10月21日

ネットワークよく時代劇に出てくる男性同志の会話があります。

お代官様「越前屋、おぬしも悪よのう~」出入り商人「お代官様こそ」両者「うっしっし(笑)」

 

両者が両者の関係を上手に利用して、利益を得るために手段を選ばないというシーンですが、悪事は働かないにしても今の時代でも男性同士には見られるシーンではないでしょうか。

女性は、いくら利益が得られても自分の目標が達成できるとしても、他人を利用して上手くやることを潔くないとする人が多いのではないでしょうか。

 

一般的に女性は良い人間関係を築くことが得意です。同僚や他部署の人たち、そして会社に関わるパートナー企業の担当者や顧客企業の人たちとも良好な関係を作ってくれるので助かると、管理職の男性からよく聞こえてくる女性評です。

しかし、一方、女性は自分が必要なときにそうした良好な関係を築いている人に助けを求めるのが不得意です。

独立して間もない頃、私は男性の経営者にアドバイスをされたことがありました。これまで仕事で関わってきた人の名刺をリストにして、一人一人を訪問して行きなさい、「独立しました」と挨拶をしていけば、知人の多いあなたのことだし、あなたのファンは仕事をくれるでしょう、と言われたのです。

確かに周囲の男性たちはそのような営業を当たり前に行い、ビジネスを拡大している人もいるようです。が、私自身は「とんでもない」そんなこれまでの人間関係を壊すようなことはとても出来ないと思いました。

これまで私を信頼してくれていたのに、そういう知人を「利用は出来ない」「そもそも見返りを求めて仲良くしていたわけではないのだから、そんなことをしたら関係が破たんしてしまう」私はそう考えました。

それに、もし先方が動いてくれたとしても「私はとてもお返し出来るようなものはない」とも思いました。

 

人間関係をはぐくむのが得意だが、活用するのは苦手な女性。

私のコーチングの師であるMarshall Goldsmith 博士と女性リーダーシップの専門家のSally Helgesen氏が最近出版した「How Women Rise」のなかで、これは多くの女性に見られる、女性の活躍を阻む習慣のひとつだと指摘されています。

 

男性は、人間関係は相互利益のもとに成り立つことを理解しています。たとえば、Aさんが良い品物を販売していたとして、それをBさんに誰かに売りたいので紹介して欲しいと相談したとします。そしてBさんの知人のCさんがその品物を購入したとします。

相談したAさんが女性であれば、「煩わしい」と思われたくないと思うので相談をためらいます。相談を受けたBさんが女性であれば、「そんなことで誰かを煩わせたくない」と思うかも知れません

しかし、よくよく考えてみれば、Bさんの紹介によってCさんはAさんから良い商品を得ることが出来るわけですし、もしかしたら紹介ということで安く購入することが出来るかも知れません。となると、BさんはAさんにもCさんにも喜ばれるわけです。

もし私たちがAさんだとして、自分の目標が正しいものだと信じているとしたら、遠慮せずに他の人を巻き込んでも良いのではないでしょうか。

 

女性が、自分の人間関係を仕事に活用することをためらうもうひとつの理由には、「誰かに「借り」を作ると返せない」という自信のなさがあるようです。

自分は返せる立場にはいないし、そんな財力も権力もない、という思いが「貸し借りなし」の関係でいたいという理由になっているのかも知れません。

しかし、本当に自分には返す力がないのか、振り返ってみてください。立場ではなく財力でもなく、良好な関係を築けている相手に役立てる情報やコネクションがありませんか。また、彼・彼女を助けることにつながるあなたに起こせる行動がありませんか。自分の力を小さいと思ってしまっていると、相手が必要としていることが見えていない場合があります。

もらうだけの立場であったら、そもそも良好な関係も築けていないはずです。しっかりと返して行きたいものです。

 

そして最悪なのが、「借り」たことに気づいていないというケースです。

お膳だてしてもらっていることにちゃんと気づいていますか。自分はその立場ではないから、してもらって当然と思っていませんか。

女性はときに「ちゃっかり」が上手ですが、いつまでも可愛がられる若い女性ではありません。

男性同士は「貸し借り」の帳簿は厳しくつけています。

返してもらえないから、と言って文句は言わないけれど、黙って去るのみです。

 

自分の成功は、一人で戦っても得られるものは少ない。まして大きな組織いおいては、一人の力は小さいのです。

だからこそ築いた人間関係は上手に活用し、また活用してもらえる人、お願いをしてもらえる人でいたいものです。

(YK)

参考: HOW WOMAN RISE   by Sally Helgesen, Marshall Goldsmith