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Omotenacism for women女性のためのオモテナシズム

あなたが謙虚すぎるなら

2018年5月7日

優先席例えばGWや週末に家族やパートナー、友達と食事へ出掛けたり、旅行をするという話になった場合、あなたはどこまで自分の希望を主張できますか。

 

私は交渉が苦手です。特に仕事においては苦労します。一応社長の身としては致命的だと思っています。

しかし、男性が中間に入ってくれるときはさほど問題はありません。というよりかなり自分自身で行った交渉より有利にことが運びます。私だけだとどうも下手に出てしまい、内心思っていた条件を言い出せないこともあります。これはなぜなのでしょうね。

やはり男性は説得力があるのだろう、私が交渉力が弱いのだろうと考えていました。

しかし、先日、女性から仕事の依頼を受けたとき「こんなことまでお願いしては悪いですよね、、、」とお客様なのに、こちらが対価として当然するべきことなのに、とても謙虚で遠慮がちな人に会い、あら、この人も私と同じタイプなのかしら、と苦笑いをしました。

 

ちょうど、そんなとき、カーネギーメロン大学の経済学者リンダ・パブコック氏の調査について本で読みました。

それによると、アメリカにおいてすら一般的に同レベルの学歴や能力の男女の場合、女性の給与のほうが男性と比較して低い傾向があるそうです。そしてその原因は、男性と女性にお金をもっと要求しようという意欲にかなりの違いがある、からだそうなのです。

日本においても男女の賃金格差は指摘されていて、その原因は職位や勤続年数の違いにあると言われていますから、要求の意欲だけでは語れないのかも知れません。

とはいえ、私が外資系企業に勤務していた時のことを考えると、確かに昇給交渉時、男性社員は明確な希望年収を伝えてくる人が多くいました。女性は「お任せしますが考慮してください」というようなオブラートに包んだ表現をする傾向はあったように思います。

確かに女性はお金に対する交渉は得意でないのかも知れません。

 

 

パブコック氏は、男女に同じ条件で、自分のために賃金交渉をさせる実験をしたそうです。男性被験者のほとんどが女性より良い条件を得ることが出来たそうです。

しかし、他人のための賃金交渉をさせた場合は、男性被験者も女性被験者も交渉の結果に差はなかったそうなのです。

つまり女性は自分のためのお願いごとが苦手だけれど、他人のためにはお願いごとが出来る傾向があるのです。

つまり「女性は控えめで優しいもの」という一般的な期待を裏切りたくないため、積極的な交渉が出来ない、しかし「女性は思いやりがあり他人を支援する」という期待があるので、他人のためのお願いごとには頑張る傾向がある、ということではないかとその調査結果は分析されています。

 

皆さんはいかがでしょうか。

そういえば、私のセミナーにいらっしゃる女性も「私のことは良いのだけれど、部下がかわいそうだから部下のためには主張する」というような意見をよく耳にします。

また、もうひとつ交渉がうまく行かない理由としては、「相手の立場や周囲のことを考えて自分が我慢する」ということもあげられます。会社の状況や同僚との比較をして「あの人も頑張っているのに私だけが要求しては申し訳ない」というようなケースもあるでしょう。

 

人間関係を重視する女性の特性です。

しかし、全体を考えたとき、自分(女性)の未来は次に続く人のために自分が作るのですから、自己犠牲だけではなく自分のこともきちんと主張し前例を作ることは大切です。

昨今、社会で騒がれている上司や取引先のセクハラも、年齢や経験を重ねると「まあ仕方ないか」と我慢しがちですが、それは大人の対応ではなく、後進を考えたときにはやはり言うべきことは言うことが未来への問題解決につながります。

 

何度もお伝えしていますが、男性はステップ思考。ステップ思考の人は、一つ一つ物事に対峙しその結果を自分の成果として主張出来るし、上手くいかない場合は状況が悪いと考え自分を責めることはしません。全体を網の目のように眺めて状況を察知するウェッブ思考の女性は、全体の関係性を配慮し物事を進めていきますが、少しでも気になる点をみつけると尻込みしてしまいます。

どちらも大切なことですが、あえて女性は少しだけステップ思考に傾いて、自分の成果を後ろめたくなく遠慮することなく主張してみましょう。

自分を優先することが、何より周囲の人のためになる!と思ってもいいでしょう。あなたが謙虚すぎるなら。

(YK)

 

参考図書:

GIVE&TAKE「与える人」こそ成功する時代  アダム・クラント著 三笠書房

なぜ女は男のように自信が持てないのか   キャティー・ケイ&クレア・シップマン著 CCCメディアハウス