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Columnコラム

察する前に尋ねましょう

2023年11月19日

airfranceアメリカ人と仕事を一緒にする機会がありました。

そのアメリカ人に指摘されたのは、日本人の表現は否定的だということ。

仕事中に少し皆が疲れを感じてくる頃に私が「がんばりましょう」と声をかけると、ほらそれは否定的な表現だと指摘されました。

「頑張る」は今が辛いのを前提としている、そうではなく「楽しくやりましょう(Let’s enjoy) 」のほうが肯定的だというのです。

褒められたときに「まだまだです」というのは否定的。「ありがとうございます」のほうが肯定的。

「御迷惑おかけしますが」よりは「良いチームにしましょう(We are going to be a good team)」

「お疲れさまでした」よりも「ありがとうございました」

確かに私が外資系航空会社で働いていた時代、「Let’ enjoy flying  !」とフライト前に声をかけていました。

日本人は疲れる前から「お疲れ様です」が挨拶言葉になっていますよね。

 

しかし日本人との会話ではついついいつもの言葉を使う私に、そのアメリカ人が「ほらまた日本人の癖」と指摘してくると段々反発する気持ちが生まれて来ました。

確かに英語のコミュニケーションではそうだけれど、日本人の謙虚な文化はそれほど悪いのだろうか、日本が否定されているようで不愉快になって来ました。

自分を下げて相手を上げる。謙譲語を使いなれている私たちの文化であって、それが日本人には心地よい、まさに「日本の文化」だと思うのです。

いくら多様性と言っても築いてきた文化を変える必要はないのではないか。

大切なのは、英語のコミュニケーションと日本語のコミュニケーションではマインドセットが異なるということを知っておくことだと思います。

 

 

もう一つ、日本人の特技であり外国人に不可解なのは「察しの文化」です。

察してもらえることを前提として主張しない。訊かないで察しようとするコミュニケーションの形です。

これも謙虚さから生まれる行動であり、お互い、察する側も察してもらう側も、相手の考えがあるのに先に主張してしまっては申し訳がないという相手への思いやりから発達した文化です。

お茶会で、お互いを察して物事を進めていくことから生まれた文化です。

主張をする以前に相手はこちらのことを考えてくれている、という美しい前提にたっています。

 

 

しかし、多様な時代、これは外国人だけではなく日本人同士であっても成り立たなくなってきました。

価値観の異なるもの同士、言わなくては通じない、訊かなくては分かりません。。

 

先日、フランスを訪ねて気づいたことがありました。

フランス人はこちらが何か言おうとすると非常に辛抱強く待つ、ということです。

私がにぎわっている店でチーズをお土産に買おうとして、数多くのなかから何を選ぶか、どのように包装してもらおうか、長い時間商品ケースの前で悩んで言葉を詰まらせていたのですが、気がつくと店員はじっと待ってくれているのです。

ホテルのフロントでも同じようなことがありました。

こちらの言葉を尊重しようとする。そして意味が通じないと質問をする。途中で想定して勝手にことを進めたりあきらめたりしない。ちゃんと向き合ってもらえたという心地よさを感じました。

尊重されている、と感じました。

相手へのレスペクト。

私たち日本人はすぐ「察しよう」とします。

むしろ外国人に対しては言葉が通じない相手には、この人何が欲しいんだろう、何を言いたいんだろう、察して動こうとしてしまいますがそれが必ずしも正解とは限りません。

個人主義のフランス、言葉を大切にする国だけあって「聴く」と「尋ねる」ことで相手の意図を尊重することが習慣化されていることを感じました。

 

肯定的な表現を使うこと、自分の意見を言うこと、これは公平で活発なコミュニケーションの鍵となります。

実は、自分を肯定すること、意見を言うこと、この二つは企業で働く女性に苦手な人が多いのも事実です。

なぜなら、自分に自信がないとこの二つはなかなかできない。

そもそも自分の意志や意見が自分自身で整理できていなければ主張できない。

日本人に限ったことではないようですが、女性の多くの課題が自信がないことだからです。

 

皆さんの周囲では活発なコミュニケーションが行われていますか。意見が出て来ますか。

是非、周囲の人から意見が出てこないのであれば「尋ねる」習慣を取り入れましょう。

「あなたはどうお考えですか」「何が必要ですか」とこちらから尋ねる。

そして辛抱強く待ちましょう。

勝手に察しようとするのはやめましょう。

相手の気持ちを引き出す双方向の良い会話ができるはずです。

(YK)

共感力の効能~「いいね」は自分に返る~

2018年2月3日

SNSにあれだけ皆が夢中になれる理由、それは自分が興味を持ったことや感じたことに対して「いいね」と共感してもらえるからでしょう。

「アオシドリたちップした写真を良いと思ってもらえた」「気持ちをわかってもらえた」というような嬉しさや仲間意識です。

SNSをする人はたいてい自分の投稿に誰が「いいね」を押してくれたのか認識しています。そして自分に「いいね」をくれた人の投稿には「いいね」をお返ししています。

これは律儀な日本人に限ったことでもなくインスタグラムなどでも見知らぬ人に「いいね」を押すと「いいね」が返ってきます。

「いいね」と共感してくれた人には「いいね」のお返しがあるのです。

だから、たくさんの人をフォローしている人にはフォロワーも多くいます。

 

ここからわかることは「共感してもらうと誰もが借りが出来たような気持ちになる」ということです。

そして同時に自分に共感してくれた人は好きになるのです。自分と仲間だと感じるのかも知れません。

だから、人に好かれたいと思ったら、自分の良さを主張するのではなくまず相手に共感を示すことは得策ではないでしょうか。

一方的な人気者は芸能人でもない限りいないのです。

 

【共感力の効能】

①相手の味方だということを示す

②相手に心を開いてもらえる

③相手をいい気持ちにさせる

 

しかし、SNSとは異なり日常生活において「いいね」と共感してもらえることは、そんなに多くはありません。

簡単でもありません。「あなた素敵ですね」とはなかなか言いにくいですね。

SNSだけではなく、日常で「いいね」をどうしたら示せるのでしょうか。考えてみました。

 

 

【共感の示し方】

(1)相手の話をとことん聞く

傾聴のできる人は共感力が優れています。なぜなら、誰もが自分の話を聞いて欲しいものだからです。自分の話に反論もせずとことん聞いてもらえると「理解された」と感じることがのです。

そもそも誰もが自分のことが好きです。相手の話を聞くよりは自分の話をしたい。だからこそ自分の話を聞いてくれる人を好ましく思うのです。

自分はいつもしゃべりすぎると自覚している人は、意識して会話の30%しか話さない、あとは「聴くぞ!」と決めてください。

沈黙を恐れてはいけません。沈黙は相手が考えていることもあるので、良い話が聞ける前触れかも。じっと待つ忍耐も必要です。

 

(2)相手の言葉を繰り返す

人は自分の言葉を繰り返されると「聞いてもらっている」「理解してもらえた」と安心します。

単純なことですが、これが意外に難しい。反論しないで相手の言葉を繰り返す、というのは忍耐も必要となります。

親切な人ほどアドバイスもあげたくなって「聴いてあげるよ」と言いながら自分が話してばかりのこともありますね。

「会社辞めようかな」と言われたらどうでしょう。すぐに「辞めないほうがいいよ。まだ入社したばかりじゃないか」などとすぐに自分の意見を伝えていませんか。たいていの人が自分の考えを即座に伝えたくなるのです。

しかし話した相手はというと「ただ愚痴を言っただけなのに」「そんなことは分かっているけど」と反論したくなると同時にもう話を続けたくなくなります。ただ聴いて欲しかっただけなのに、かえって不愉快さが増したりするのではないでしょうか。

そこでこう言い換えてはいかがでしょう。「辞めたいと思っているんだ?」相手の感情を繰り返してみてください。

そう言われると、相手は気持ちを受け止めてもらえたと安心して心を開いてくれるでしょう。

 

(3)感情に共感する

誰かに何かを伝えるとき、人が期待するのはそれに寄り添う言葉です。

「今日お誕生日なんだ」と言ったとき「へー節分の日に生まれたんだ」だとか「いくつになったの?」と言われたらあまり楽しくありませんね。すぐに言って欲しい言葉はやはり「おめでとう!」の一言でしょう。

たとえば「今日、携帯なくしちゃって」と言われたらなんと返しますか。「すぐ届けたほうがいいよ」だとか「あ、あきらめたほうがいいね。出てこないから」と言っていませんか。不安のダメ押しをしていませんか。

困ったなあ、と思っているとき相手から欲しい言葉は「それは大変だね!」という共感でしょう。

 

「共感」はちょっと意識して訓練すれば、すぐに反応が返せるようになりますよ。

今日から、現実の世界でも「いいね」をたくさん返しましょう。

(YK)